米・イスラエルのイラン攻撃(西側にも「国際法違反」を表明する指導者がいた)[2026年03月04日(Wed)]
トランプ大統領は、3月3日のホワイトハウスでのメルツ独首相との記者会見のスピーチで、サンチェス首相が率いるスペイン政府がスペイン空軍基地からの米軍機によるイラン攻撃を禁じたことをうけ、同政府を「ひどい」「非友好的」と非難し、EU第4位の経済大国であるスペインとの貿易を全面的に停止すると警告した。この件について、以下のとおり紹介する。
1.politicoEUによれば、サンチェス首相は、イランへの攻撃を「国際法違反」であり「不当で危険な軍事介入」だと非難している。3月1日、スペインはEUに対し、国際法違反を理由に米国を非難するよう求め、国連憲章の適用におけるEUの二重基準を批判した模様。マルガリータ・ロブレス国防相は3月2日、スペインのモロン・デ・ラ・フロンテーラとロタの空軍基地に駐留する米軍部隊は「国際法の枠組み内で活動しなければならない」と説明し、これらの基地は「人道的見地から必要な場合を除き、支援を提供すること」を禁じられると述べた。航空追跡ウェブサイト「FlightRadar24」によると、先週末、10機以上の米軍機(ボーイングKC-135空中給油機数機を含む)がモロンとロタの基地を出発し、7機がドイツのラムシュタイン空軍基地に展開した。一方、トランプ大統領は、ホワイトハウスでドイツのフリードリヒ・メルツ首相と行った記者会見において、「我々はスペインとの貿易を全て遮断するつもりだ。我々はスペインとは一切関わりたくない。米国はスペイン領土内の基地を使用するのにスペインの許可を必要としない。我々は望めば彼らの基地を使用できる。ただ飛んできて使えばいい。誰も我々に使用を禁じることはできない」と述べ、米軍機によるイラン攻撃をスペイン空軍基地から禁じたスペイン政府を「ひどい」「非友好的」と非難し、EU第4位の経済大国であるスペインとの貿易を全面的に停止すると警告した。
ホワイトハウスでドイツのメルツ首相との会談時に、もうひとり酷評された西側指導者がいる。トランプ米大統領は3日、英国がイラン攻撃に非協力的だとして「相手はチャーチルではない」と述べた。第2次世界大戦で今に続く米英の「特別な関係」を築いた英宰相を引き合いに現在のスターマー政権を酷評した。英国が領有するインド洋のディエゴガルシア島の基地をイラン攻撃の初期に使えなかったとして「英国に不満だ」と話した。
https://www.politico.eu/article/spain-pedro-sanchez-emerges-eu-chief-critic-donald-trump-war-in-iran/
2.メルツ首相との記者会見の際のトランプ発言(2026年3月3日)
●我々は(対イラン作戦を)非常にうまくやっている。イランには海軍がなく、壊滅状態だ。空軍もなく、空中探知システムもない。イランのレーダーシステムもほぼ全てが壊滅状態だ。
●(28日の攻撃前に中東にいたアメリカ人の避難計画がなかった理由について大統領執務室で問われ)すべてが非常に急速に起こったからだ。攻撃される状況になるだろうと思っていた。彼らはイスラエルを攻撃する準備をしていた。
●(イスラエルが「強制した」のかと問われると)いや、実際には私が強制したかもしれない。
●(イランの将来の指導者に関する憶測について、レザ・パーレビ氏に言及し)彼はとても良い人のように思える。しかし、私には内部から誰かが政権を取った方が良いように思える。
●(政権交代のリスクに関し)最悪のシナリオは、我々がこれを行った後、前任者と同じくらい悪い人物が政権を握ることだ。それは起こり得る。我々はそんなことは望んでいない。
●(攻撃のタイミングについて)あの狂人たちと交渉していたのだが、私は彼らが先に攻撃してくると思っていた。彼らが攻撃するつもりであった。我々が攻撃しなければ、彼らが先に攻撃してくるだろうと思っていた。私はそのことに強く気づいていた。
(コメント)メルツ首相との会談におけるトランプ大統領の発言は、イランからの差し迫った攻撃を阻止するため武力を行使したとの根拠のない主張で軍事行動を正当化しようとしている。一方、サンチェス首相の明快な「国際法違反」の発言は、力の支配に精一杯逆らおうとする信念を感じさせる。サンチェス発言と自国基地使用を禁じた件は、サンチェス首相を、2003年イラク開戦前に国際法と多国間主義を訴え、米国のイラク侵攻への反対を唱える勢力を奮い立たせた当時の欧州指導者として名を馳せたジャック・シラク(当時)フランス大統領の毅然とした姿勢をだぶらせることになった。スペインはEUに対し、国際法違反を理由に米国を非難するよう求め、国連憲章の適用におけるEUの二重基準を批判したとされる。西側指導者が、米国の大統領にこのように強く異を唱えることにより、貿易面を含め、スペイン国民が不利益を被ることは十分予想される。サンチェス首相も、イラン革命政権体制を支持してきたわけではない。しかし、それでも、このような形で、トランプ政権が、気に入らない体制指導者を世界最大の軍事力を行使して次々に排除する「ジャングルの掟」の行使を、国際社会全体が沈黙し、容認するのではないということを示す指導者がいたということに安堵の念を覚える。東海大学国際学部教授のアルモーメン・アブドーラ氏はニューズウィーク日本版の「イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する世界の「6つの衝撃的な真実」とは?」と題する投稿で、「今回のイランへの直接攻撃は、中東の地図を書き換えるだけでなく、私たちが信じてきた国際社会の秩序という幻想を永遠に葬り去りました。 たとえこの軍事行動が物理的に終了したとしても、一度刻まれた「存在を賭けた戦い」の傷跡は、単なる表面的なダメージとして消えることはありません。それは歴史の深層に、絶望と憎悪、そして不信という拭い去れない痕跡を刻み込みます。 既存のルールが崩壊し、力のみが正義を語るようになったこの「ジャングルの法則」が支配する世界で、私たちは何を指針にすべきなのか。答えの見えない問いを抱えたまま、私たちは未知の、そして極めて危険な新秩序へと足を踏み入れようとしています。」と結んでいる。我々は、すでに地獄の底を覗き込もうとしているのかもしれない。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2026/03/589139.php
1.politicoEUによれば、サンチェス首相は、イランへの攻撃を「国際法違反」であり「不当で危険な軍事介入」だと非難している。3月1日、スペインはEUに対し、国際法違反を理由に米国を非難するよう求め、国連憲章の適用におけるEUの二重基準を批判した模様。マルガリータ・ロブレス国防相は3月2日、スペインのモロン・デ・ラ・フロンテーラとロタの空軍基地に駐留する米軍部隊は「国際法の枠組み内で活動しなければならない」と説明し、これらの基地は「人道的見地から必要な場合を除き、支援を提供すること」を禁じられると述べた。航空追跡ウェブサイト「FlightRadar24」によると、先週末、10機以上の米軍機(ボーイングKC-135空中給油機数機を含む)がモロンとロタの基地を出発し、7機がドイツのラムシュタイン空軍基地に展開した。一方、トランプ大統領は、ホワイトハウスでドイツのフリードリヒ・メルツ首相と行った記者会見において、「我々はスペインとの貿易を全て遮断するつもりだ。我々はスペインとは一切関わりたくない。米国はスペイン領土内の基地を使用するのにスペインの許可を必要としない。我々は望めば彼らの基地を使用できる。ただ飛んできて使えばいい。誰も我々に使用を禁じることはできない」と述べ、米軍機によるイラン攻撃をスペイン空軍基地から禁じたスペイン政府を「ひどい」「非友好的」と非難し、EU第4位の経済大国であるスペインとの貿易を全面的に停止すると警告した。
ホワイトハウスでドイツのメルツ首相との会談時に、もうひとり酷評された西側指導者がいる。トランプ米大統領は3日、英国がイラン攻撃に非協力的だとして「相手はチャーチルではない」と述べた。第2次世界大戦で今に続く米英の「特別な関係」を築いた英宰相を引き合いに現在のスターマー政権を酷評した。英国が領有するインド洋のディエゴガルシア島の基地をイラン攻撃の初期に使えなかったとして「英国に不満だ」と話した。
https://www.politico.eu/article/spain-pedro-sanchez-emerges-eu-chief-critic-donald-trump-war-in-iran/
2.メルツ首相との記者会見の際のトランプ発言(2026年3月3日)
●我々は(対イラン作戦を)非常にうまくやっている。イランには海軍がなく、壊滅状態だ。空軍もなく、空中探知システムもない。イランのレーダーシステムもほぼ全てが壊滅状態だ。
●(28日の攻撃前に中東にいたアメリカ人の避難計画がなかった理由について大統領執務室で問われ)すべてが非常に急速に起こったからだ。攻撃される状況になるだろうと思っていた。彼らはイスラエルを攻撃する準備をしていた。
●(イスラエルが「強制した」のかと問われると)いや、実際には私が強制したかもしれない。
●(イランの将来の指導者に関する憶測について、レザ・パーレビ氏に言及し)彼はとても良い人のように思える。しかし、私には内部から誰かが政権を取った方が良いように思える。
●(政権交代のリスクに関し)最悪のシナリオは、我々がこれを行った後、前任者と同じくらい悪い人物が政権を握ることだ。それは起こり得る。我々はそんなことは望んでいない。
●(攻撃のタイミングについて)あの狂人たちと交渉していたのだが、私は彼らが先に攻撃してくると思っていた。彼らが攻撃するつもりであった。我々が攻撃しなければ、彼らが先に攻撃してくるだろうと思っていた。私はそのことに強く気づいていた。
(コメント)メルツ首相との会談におけるトランプ大統領の発言は、イランからの差し迫った攻撃を阻止するため武力を行使したとの根拠のない主張で軍事行動を正当化しようとしている。一方、サンチェス首相の明快な「国際法違反」の発言は、力の支配に精一杯逆らおうとする信念を感じさせる。サンチェス発言と自国基地使用を禁じた件は、サンチェス首相を、2003年イラク開戦前に国際法と多国間主義を訴え、米国のイラク侵攻への反対を唱える勢力を奮い立たせた当時の欧州指導者として名を馳せたジャック・シラク(当時)フランス大統領の毅然とした姿勢をだぶらせることになった。スペインはEUに対し、国際法違反を理由に米国を非難するよう求め、国連憲章の適用におけるEUの二重基準を批判したとされる。西側指導者が、米国の大統領にこのように強く異を唱えることにより、貿易面を含め、スペイン国民が不利益を被ることは十分予想される。サンチェス首相も、イラン革命政権体制を支持してきたわけではない。しかし、それでも、このような形で、トランプ政権が、気に入らない体制指導者を世界最大の軍事力を行使して次々に排除する「ジャングルの掟」の行使を、国際社会全体が沈黙し、容認するのではないということを示す指導者がいたということに安堵の念を覚える。東海大学国際学部教授のアルモーメン・アブドーラ氏はニューズウィーク日本版の「イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する世界の「6つの衝撃的な真実」とは?」と題する投稿で、「今回のイランへの直接攻撃は、中東の地図を書き換えるだけでなく、私たちが信じてきた国際社会の秩序という幻想を永遠に葬り去りました。 たとえこの軍事行動が物理的に終了したとしても、一度刻まれた「存在を賭けた戦い」の傷跡は、単なる表面的なダメージとして消えることはありません。それは歴史の深層に、絶望と憎悪、そして不信という拭い去れない痕跡を刻み込みます。 既存のルールが崩壊し、力のみが正義を語るようになったこの「ジャングルの法則」が支配する世界で、私たちは何を指針にすべきなのか。答えの見えない問いを抱えたまま、私たちは未知の、そして極めて危険な新秩序へと足を踏み入れようとしています。」と結んでいる。我々は、すでに地獄の底を覗き込もうとしているのかもしれない。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2026/03/589139.php
Posted by 八木 at 11:31 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)



