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「パンドラの箱」を開けたかにみえる米・イスラエルのイラン攻撃と沈黙を続ける西側指導者[2026年03月03日(Tue)]
トランプ大統領は、3月2日、イランとの戦争は「4〜5週間と見込まれる」としたものの、「それ以上になる可能性もある」とし、「どんな手段を使っても構わない」と述べた。そして「揺るぎない決意」で任務を継続すると誓った。ピート・ヘグゼス国防長官は2日早朝、国防総省でのブリーフィングで今のところ米軍は地上部隊を派遣していないことを確認しつつ、これは「終わりのない戦争」ではないと米国民に保証しようとした。しかし、明確なタイムラインや、エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦の終結宣言前に達成すべき具体的な目標が示されていないことに、記者たちは依然として不満を募らせていた。ある記者の質問に対し、ヘグゼス長官は激怒し、国防総省内の緊張が高まっていることを露呈した。米軍が地上部隊を派遣しているかどうかとの質問に対し、ヘグゼス長官は「いいえ」と答えたものの、作戦継続中に米国が何ができるかについては明言を避けた。湾岸諸国、特にUAEの主要国際空港はミサイルとドローンの攻撃を受けており、湾岸全域でバーレーンの第五艦隊司令部を含む米軍基地も引き続き攻撃を受けている。キプロスの英米合同基地でさえドローン攻撃を受けている。中央軍(CENTCOM)は、この作戦で計6名の米兵が死亡したことを確認している。クウェートでは、米軍機3機(U.S. F-15E Strike Eagles )が、クウェート軍の誤射(但し、うち1機はIRGCが撃墜と主張)とみられる被弾により、墜落している。米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長は2日、中東に追加部隊を派遣すると述べた。

主要国の反応
1. イランの最高安全保障評議会(SNSC)のラリジャニ書記は3月2日、米国と交渉しないとし、米大統領が「妄想的な野心」を抱いており、米兵の犠牲を懸念しているとXに投稿した。イランのペゼシュキアン大統領は1日、自身と司法府代表、護憲評議会のメンバーで構成する「臨時評議会」が暫定的に最高指導者の職務を引き継いだと表明した。
2. 中国:新華社通信によれば、王毅外相は3月1日、ロシアのラブロフ外相に対し、米とイランが交渉中に行われた米国とイスラエルによるイランへの攻撃は「容認できない。主権国家の指導者殺害や体制転換の扇動は容認できない。中国は軍事行動の即時停止、対話と交渉への早期復帰、一方的な行動への共同反対を呼びかけている」と述べた。
3. ロシア:3月1日、プーチン大統領は、イランイスラム共和国の最高指導者セイエド・アリ・ハメネイ師とその家族の暗殺は、人間の道徳規範と国際法のすべてを皮肉る侵害行為であり、これに関して深い哀悼の意を表する、とロシアの指導者はイランのペゼシュキアン大統領に宛てた電報で述べた。
4. トルコ:エルドアン大統領はラマダ‌ン(断食)明けの夕食会で、今回の攻撃は「国際法の明らかな‌違反」だとし、「隣人、‌そして兄弟として、われわれはイラン国民の痛みを共有する」‌と発言。その上で、イスラエルの挑発行為によ‌り、米イラン間の対立は戦争に発展したとの‌考えを示した。 また、停戦が達成され外交の⁠余地が生まれるまでトルコは「あらゆるレベルで」接触を強化するとし、ト⁠ルコは「戦闘、戦争、緊張、虐殺」‌を望んでいないとの考えを改めて示した。
5. マレーシア:アンワル・イブラヒム首相は、イランが最高指導者アリー・ハメネイ師と40人以上のイラン指導者を殺害したと発表した広範囲にわたる空爆に対処するため、議会への緊急動議を発出。アンワル首相は、オマーンが仲介する和平プロセスにおいて、イランが米国との交渉を続けている最中に空爆が行われたことを痛烈に批判し、この行動を偽善的だと非難した。米国や欧州の指導者たちと接する中で、彼らが人権と民主主義について語ることに不安を覚える。もはや、彼らのそのような主張を鵜呑みにすることは不可能だ。マレーシアは、米国とシオニスト政権によるイランへの攻撃を強く非難する、と述べた。
6. カナダ:カーニー首相は、カナダが、イランが核兵器を取得し、その政権が国際平和と安全をさらに脅かすのを防ぐための米国の行動を支持すると発言。
7. 仏・独・英(共同声明発出):フランス、ドイツ、英国は、イラン政権に対し、イランの核開発計画の停止、弾道ミサイル計画の抑制、地域および我が国の祖国における不安定化をもたらす活動の自制、そして自国民に対する恐るべき暴力と弾圧の停止を一貫して求めてきた。我々はこれらの攻撃には参加していないが、米国、イスラエル、そしてこの地域のパートナーを含む国際的なパートナーと緊密に連絡を取り合っている。我々は、地域の安定と民間人の生命の保護へのコミットメントを改めて表明する。我々は、イランによる地域諸国への攻撃を最も強い言葉で非難する。イランは無差別軍事攻撃を控えなければならない。我々は交渉の再開を求め、イラン指導部に対し、交渉による解決を模索するよう強く求める。最終的には、イラン国民が自らの未来を決定する権利を有しなければならない
8. 湾岸アラブ諸国(共同声明発出):湾岸協力理事会(GCC)加盟国は、自国の安全と領土を守るために「あらゆる必要な措置」を講じる「凶悪」かつ「裏切り行為」とみなされるイランの攻撃に対応する権利を留保する。因みに、UAE国防省、防空システムが弾道ミサイル9発とドローン148機を迎撃したと発表。カタールも、イランの石油・ガス開発を標的にしたイラン機を撃墜したと発表
9. 日本:高市首相は2日の衆院予算委員会で、米国とイスラエルの対イラン攻撃の国際法上の評価を巡り、「これが自衛のための措置なのかどうかも含めて詳細な情報を持ち合わせているわけではないため、我が国としてその法的評価をすることは差し控える」と答弁

(参考1)各国での被害状況
•イラン:米軍は、作戦開始以来イランで1,250カ所以上の標的を攻撃したと発表。イラン人の死者は600人以上に上り、その数は増加中とのこと。イラン赤新月社によると、米イスラエル合同攻撃開始以来、少なくとも555人が死亡。イラン国営メディアは、女子小学校への空爆で168人の生徒が死亡し、さらにテヘランとイラン北部での別々の攻撃で3人の生徒が死亡したと報じている。中国外務省は、中国人1人も死亡したことを確認した。イスラエル国防軍情報長官は、我々は40秒でイランの最重要人物40人以上を排除したが、まだ終わりではない。敵が見つからない場所はどこにもない、と発言。
•米軍:中央軍(CENTCOM)は3月2日時点で、米兵6人が戦闘で死亡、18人が「重傷」としている。
•レバノン:レバノンでは、ヒズボラが参戦し、イスラエルは報復として再びレバノン南部とベイルートを攻撃。イスラエル国防軍は、レバノンにあるヒズボラの武器保管施設70カ所以上を攻撃したと発表。レバノン保健省によると、イスラエルによるレバノン南部とベイルートへの空爆で少なくとも31人が死亡した。
•イスラエル:イスラエルがイランに対する作戦を開始して以来、少なくとも10人が死亡、200人以上が負傷したと、イスラエルメディアが報じている。死者のうち9人はベイト・シェメシュで、ミサイルが防空壕に着弾したことによる。
•イラク:米イスラエル合同作戦による攻撃で、イラクのイランと連携する人民動員軍(PMF)の本部が攻撃を受け、隊員4人が死亡したと、同軍メディア局が発表。
•サウジ:3月2日リヤドの米国大使館にドローンが衝突した模様。ロイター通信は2つの情報源を引用し、リヤドの米国大使館で爆発が発生し火災が発生したと報じている。
•アラブ首長国連邦:国防省によると、イランによる報復攻撃で、UAEで3人が死亡。犠牲者はパキスタン、ネパール、バングラデシュの国籍で、イランのドローンが同国の防空網を突破した後に死亡した。
•クウェート:事情に詳しい関係筋によると、3月1日早朝、ドローンによる攻撃とみられる攻撃で米兵3人が死亡した。また、クウェート保健省はイランの攻撃による死亡者1人を報告した。
•バーレーン:バーレーン国営メディアによると、サルマン工業都市で迎撃されたミサイルの破片が「外国船」の船内で火災を引き起こし、1人が死亡した。
https://www.zerohedge.com/geopolitical/three-us-f-15s-downed-over-kuwait-iran-war-spirals-reports-paranoia-anxiety-pentagon
(参考2)エネルギー関係
カタール:カタールエナジーは、2日、液化天然ガス(LNG)の生産を停止した。カタールは米国に次ぐ世界第2位のLNG輸出国‌であり、アジアおよび欧州のLNG市場需要のバランスを⁠とる上で重要な役割を果たしている。LNG生産量は世界供給量の約20%に相当する。
イスラエル:イスラエル沖では、イスラエル政府が米石油大手シェブロンに対し、イスラエル最大の天然ガス田「リバイアサン」の一‌時閉鎖を指示。同ガス田で‌は、シェブロンがエジプトへの350億ドルの輸出契約の一環として、年間約210億立方メートルの生産能力拡大を進めて‌いる。シェブロンの広報担当者は、同社施設は安全であると述べた。シェブロンはイ‌スラエル沖の天然ガス田「タマル」も操業する。
イラク北部クル‌ディスタン:ノルウェーのDNO、英石油ガス探査・生産会社ガルフ・キー⁠ストーン・ペトロリアム、アラブ首長国連邦(UAE)のダナ・ガスなどが予防措置として油田での生産を停止した。現時点では被害は報告されて⁠いない。
サウジ:2日、国有石油会社サ‌ウジアラムコが、ドローン攻撃を受けてラスタヌラ製油所の操業を停止した。ペルシャ湾岸に位置する同製油⁠所は日量55万バレルの処理能力を持中東最大級の施設で、⁠サウジ産原油の重要な輸出拠点。

(コメント)軍事力では、圧倒的にイランを上回る米軍・イスラエル軍であるが、イランの最高安全保障委員会(SNSC)のトップであるラリジャニ書記は3月2日、米国と交渉しないと発言し、徹底抗戦の姿勢を明らかにし、イランの革命防衛隊(IRGC)は、「真の約束4」作戦の第13波を開始し、湾岸諸国やイスラエルへの攻撃を継続している。トランプ政権は、地上軍派遣の選択肢は否定しないものの、「揺るぎない決意」で任務を継続すると述べ、イラン攻撃を継続している。こうした中で、米軍基地を抱える湾岸アラブ諸国の被害も目立ち始めているカタールのLNG生産は一時的に停止し、サウジアラムコが運営するラスタヌラ製油所も操業を停止した。世界原油の約2割が通航する海上輸送のチョークポイントとしてしられるホルムズ海峡も、IRGCの警告により、事実上封鎖に追い込まれている
トランプ大統領や政権高官の発言をみても、米国は何をいつまでに実現しようとしているのか、明確にはなっていない。大統領本人でさえ、目標を確信しているとは思えない。ベネズエラでのマドゥロ拉致作戦の成功で、ハメネイ師の殺害により、イラン革命体制が震え上がって自分たちに寝返る、あるいは、民衆蜂起が発生して、革命政権体制が簡単に崩壊すると考えていたのであれば、読み違えであろう。米国の中間選挙を控え、トランプ政権は、国民に不人気な地上作戦を発動するのであろうか、トップが殺害されたイランで何を目標に空爆を続けるのであろうか。暫定政権の幹部やIRGCへの空爆継続により、反抗する政権側勢力への殺害を次から次に実行するのであろうか。自国内の施設を攻撃された湾岸アラブ諸国のイランに対する怒りは理解できるものの、その種をまいたイスラエルと米国に対する不満はないのであろうか。西側の指導者をみても、湾岸諸国等を攻撃したイランを批判することはできても、自分たちは、米・イスラエルによるイラン攻撃に参加していないということが精いっぱいである。米国とも近いNATOメンバー国トルコのエルドアン大統領は、今回の攻撃を「明らかな国際法‌違反」と位置づけ、停戦実現に全力で取り組むと述べている。国連加盟国であれば、当然共有すべき認識であると思われる。トランプ大統領の経済政策を強く非難したカナダのカーニー首相は、今回は一転して、トランプ大統領のイラン攻撃を支持した。いま、世界の各国、エネルギー消費国は、原油価格高騰、LNG価格高騰によりガソリン価格や電力料金の上昇、物価上昇など巻き込まれたくもない、正当性もない迷惑な紛争の影響をうけはじめている。世界の指導者が停戦実現に真剣に動こうとしていなことが信じられない
https://www.cbc.ca/news/politics/iran-united-states-canada-carney-9.7111856

Posted by 八木 at 14:03 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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