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ハメネイ師の命を絶つことで革命政権体制転覆を狙った米・イスラエルのイラン攻撃[2026年03月01日(Sun)]
2月28日、イスラエルと米国は、イランに広範な武力攻撃を行い、24州が標的となり、少なくとも201人が死亡した。イランはこれに対し、イスラエルと中東全域の米軍施設を標的とした一連の反撃で応じた。トランプ大統領は、イランの最高指導者ハメネイ師が死亡したと発表し、イランの国営通信IRNAは、3月1日、ハメネイ師が殉教(死亡)したことを公式に認めた。更にハメネイ師の娘、孫、義理の娘、義理の息子が米国とイスラエルによる攻撃で死亡したと3月1日報じた。この他、ホルモズガーン州ミナブの女子小学校を狙ったイスラエル軍の攻撃により、生徒148人が死亡、95人が負傷(タスニーム通信3/1時点)した。戦闘は、少なくとも今後数日は続くとみられている。なお、最高国家安全保障会議書記ラリジャニ氏によれば、最高指導者の役割は、暫定的に、大統領、司法府長官、そして憲法評議会の法学者メンバーのうち1名で構成される暫定指導者委員会が引き継ぐとのこと。
https://en.irna.ir/news/86089972/Ayatollah-Khamenei-martyred-in-US-Israeli-attack
1.トランプ発言のポイント(2月28日深夜)
ハメネイ師は殺害された、その死はイラン国民だけでなく、すべての偉大なアメリカ国民にとって正義をもたらした
●ハメネイ師は米国の情報機関と高度な追跡システムを回避することができず、イスラエルと緊密に協力していたため、彼自身、そして彼と共に殺害された他の指導者たちには何もできなかった
●我々の目的は、イランの政権の差し迫った脅威を排除し、米国民を守ることであり、もはや我慢の限界だ。我々は彼らのミサイルを破壊し、ミサイル産業を徹底的に壊滅させる。イランが核兵器を取得できないようにする。攻撃は今のためではなく未来のためにやっている。これは崇高な使命だ
●これはイラン国民が祖国を取り戻す最大のチャンスだ。今こそ行動を起こす時だ。
武器を捨てよ、さもなくば、確実に死に直面することになる。イランの革命防衛隊、軍、その他の治安部隊、警察部隊の多くはもはや戦闘を望んでおらず、彼らに「免責」を与える用意がある。
●集中的かつ集中的な爆撃を今週中、あるいは目標達成に必要な限り、途切れることなく続ける
https://www.middleeasteye.net/news/trump-says-iran-khamanei-killed-strikes-after-tehran-says-safe-and-sound

2.暫定指導者委員会の設置
イスラム革命の指導者ハメネイ師が殉教したことをうけ、3月1日国営テレビのインタビューでイランの最高国家安全保障会議書記ラリジャニ氏は憲法第110条に言及し、国の指導者がいなくなった場合、大統領、司法府長官、そして憲法評議会の法学者メンバーのうち1名が、次期指導者が選出されるまでの間、暫定的に指導者の職務を引き継ぐと説明した。同氏は、この措置は可能な限り速やかに実施され、憲法に基づき暫定指導部設立のプロセスが現在進行中であると述べた。
https://www.tasnimnews.ir/en/news/2026/03/01/3528226/provisional-leadership-council-to-be-formed-in-iran-larijani

3.アラグチ・イラン外相の国連宛て書簡の全文(2026年2月28日)
慈悲深く慈愛深き神の名において
閣下
深い遺憾の意を表明し、閣下および国連安全保障理事会理事国の皆様に、アメリカ合衆国とイスラエル政権によるイラン・イスラム共和国の主権と領土保全に対する明白な侵略行為と協調的な大規模武力攻撃について、緊急に注意を喚起いたします。
本日2026年2月28日、アメリカ合衆国とイスラエル政権は、イラン・イスラム共和国の国家主権と領土保全を著しく侵害し、我が国の様々な都市にある多数の防衛施設および民間施設への攻撃を開始しました。米国とイスラエル政権による空爆は、国連憲章第2条第4項の明白な違反であり、イラン・イスラム共和国に対する公然たる武力侵略に該当する。
イラン・イスラム共和国は、この侵略行為に対し、国連憲章第51条に基づく固有の合法的な自衛権を行使している。イラン・イスラム共和国軍は、この犯罪的な侵略に対抗し、敵対行為を抑止するために必要なあらゆる防衛能力と手段を活用する。したがって、この地域における敵対勢力のあらゆる基地、施設、資産は、イランの合法的な自衛権行使の枠組みにおける正当な軍事目標とみなされる。イランは、侵略が完全にかつ明確に停止するまで、断固として、かつ躊躇することなく自衛権を行使し続ける
米国とイスラエル政権は、その違法行為から生じるいかなるエスカレーションも含め、あらゆる結果について全面的かつ直接的な責任を負う。今回の武力侵略が地域および国際の平和と安全に及ぼした重大かつ広範な影響に鑑み、イラン・イスラム共和国は、米国とイスラエル政権によるイランに対する甚だしい軍事侵略によって生じた国際の平和と安全の侵害に対し、国連、特に安全保障理事会が直ちに行動を起こすという核心的責任を想起する。
イランは、事務総長、安全保障理事会議長、そして安全保障理事会理事国に対し、遅滞なく職務を遂行するよう求める。この文脈において、イラン・イスラム共和国は、安全保障理事会理事国に対し、国際の平和と安全に対する現実的かつ深刻な脅威である米国とイスラエル政権による侵略行為、平和の破壊に対処するため、安全保障理事会の緊急会合を遅滞なく招集し、この違法な武力行使を阻止し、責任追及を確実にするために必要な即時措置を講じるよう、強く要請する。
イラン・イスラム共和国は、国際の平和と安全に責任を負うすべての国連加盟国に対し、この侵略行為を断固として非難し、これに対処するための緊急かつ共同の措置を講じるよう要請する。なぜなら、この侵略行為は、地域および世界の平和と安全に対する前例のない脅威であることは疑いないからである。
https://en.irna.ir/news/86089741/Iran-will-continue-legitimate-self-defense-until-aggression-ceases

(コメント)イランと米国は、2026年2月6日、17日、26日にマスカットとジュネーブでオマーンの仲介で協議を実施。最初の協議後、トランプ米大統領はイランに対し、合意に至らなければ「非常に悲惨な事態になる」と警告。25年の同様の協議は25年6月に決裂し、イスラエルがイランに対し12日間にわたる戦争を開始。米国もイランの核施設3か所を空爆。ジュネーブ会合では、イラン外相は一定の成果が上がっていたと表明し、仲介役のオマーン外相も協議が継続していることを認めていた。一方、トランプ大統領は、イランに対し核開発計画の抑制に同意させるため、武力行使も辞さないと繰り返し警告。イランは、これに対し、武力行使が実行されれば、反撃を行うと表明。トランプ大統領はまた、イランが最近イランで発生した全国的な抗議デモに対する死者を出した弾圧についてもイランを脅迫し、体制の転換支持を示唆していた。今回の米・イスラエルのイラン攻撃は、イランの核開発能力を抑えるというより、ハメネイ師を頂点とするイラン革命政権体制を崩壊させることが目的であることが、明らかになってきた。米国は、1953年8月のモサデク政権を崩壊させる軍事クーデターをCIAが支援し、その後、米国の支援で誕生したバーレビ国王体制の下、米・イラン関係を強化してきたが、1979年のイラン革命で、パーレビ体制が失脚し、米政権は、翌1980年のテヘランの米大使館占拠以後40数年におよぶイラン革命政権体制を揺さぶり続けてきたが、とりわけ、トランプ政権は、一期目の2018年5月にイラン核合意(JCPOA)から一方的に離脱し、石油輸出を禁じるなどの強固な制裁を発動し、二期目は、2025年4月から一旦核合意に向けた協議を再開したものの、25年6月にイランの核関連施設を攻撃し、そして今回、体制転換のための軍事行動に踏み切った。米国は、2003年のイラク侵攻にあたっては、国連安保理でパウエル国務長官がイラクの化学兵器保有を理由に攻撃を行ったが、今回は、国連安保理に諮らず、米国議会に対する説明もないまま、イラン攻撃に踏み切った。国際社会の反応は未だはっきりはしていないものの、米国が主導する「力の平和」に同盟国は沈黙し、ロシアや中国でさえ、実質的な関与は避けているようにみうけられる。ハメネイ師が殺害されたことにより、通常の場合、88名の法学者で構成される専門家会議がハメネイ師の後任を選ぶことになるが、そうなれば、その後継者も米国への従属を表明しない限り、米国・イスラエルに狙われることになる。イランの革命体制はここで終焉を迎えるのであろうか。第二次大戦後に発足した国連を中心とする安全保障体制は崩壊し、米国・イスラエルに気に入られるか否かが、世界の国々が体制を維持できるか否かの基準になるのであろうか。1月3日のベネズエラのマドゥロ大統領拉致作戦の成功とそれに対する国際社会の沈黙で自信を得たトランプ大統領は、国内の諸問題からの注意をそらす意味でも、今回、核協議が継続するタイミングで、体制トップの首をとるとの軍事行動に出たものと考えられる。因みに、エネルギー輸送のチョークポイントであるホルムズ海峡は、海運各社が被害を回避するため、事実上封鎖に近い状態に追い込まれているとのこと。

Posted by 八木 at 11:58 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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