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イスラエル軍によるダマスカスのイラン領事部攻撃と注目点[2024年04月02日(Tue)]
3月31日アレッポ市のウマイヤド・モスクでマグリブ・アザーン(祈りの呼びかけ)が再び鳴り響き、シリア第二の都市で、シリア内戦の激戦地でもあったアレッポに12年間の休止期間を経て活気が戻ってきたことを告げた。アレッポ市近隣の住民1,400名と、この考古学上貴重な建築物の修復と再建に貢献した労働者や職人が集まったラマダン・イフタール晩餐会(注:ラマダン期間中の日没後最初の食事会)のことであった。

このような平和の出来事の直後、シリア、イラン両国の外交当局者は4月1日、シリアの首都ダマスカスのメッゼ地区にあるイラン大使館隣のイラン領事部がイスラエル軍の空爆で破壊されたと発表した。当初イラン革命防衛隊(IRGC)幹部を含む7人が死亡したとされ、その後、シリア人権監視団は11名が死亡したとAFPに伝えている(参考:ラミ・アブドルラフマン(Rami Abdel Rahman)所長はAFPに対し、「死亡したのはイラン人が8人、シリア人が2人、レバノン人が1人と指摘。いずれも戦闘員で、民間人は含まれていない」と述べた)。 IRGCによれば、ムハンマド・レザ・ザヘディ(Mohammad Reza Zahedi)、ムハンマド・ハーディ・ハジ・ラヒーミ(Mohammad Hadi Haji Rahimi)両准将らが死亡した。ザヘディ准将はIRGCの精鋭として知られるコッズ部隊(Quds Force)の司令官で、パレスチナやシリア、レバノンを担当していたとされる。 イランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)組織ヒズボラ(Hezbollah)は4月2日、IRGC幹部が殺害されたのを受け、「この犯罪に対し、敵(イスラエル)は必ず罰と復讐(ふくしゅう)を受ける」と警告した。  

シリア人権監視団によると、2024年に入ってからのイスラエルによるシリア領内への攻撃は、今回が初めてではなく、既に、30件の攻撃を記録しており、その内訳は空爆22件とロケット弾攻撃8件で、その間イスラエルはシリアの複数の拠点を標的にし、建物、武器弾薬倉庫、司令部、センター、車両など59近くの目標を破壊し、 これらの攻撃により戦闘員123名が死亡、47名が負傷したとしている(イラン革命防衛隊隊員21人、レバノンのヒズボラ19人、イラク人12名、イランの支援を受けたシリア民兵23名、イランの支援を受けた非シリア民兵10人、政権軍兵士38名。加えて、これらの攻撃により女性1人を含む民間人10人が死亡)。
4月1日のニューヨーク原油市場は、この件で、中東情勢がさらに緊迫化するとの懸念が高まったことなどから、国際的な原油WTIの先物価格が去年10月下旬以来およそ5か月ぶりに一時1バレル=84ドル台まで上昇した。
(コメント)イスラエルは、今回の攻撃について、実施の有無等コメントしないとしている。上述のシリア人権監視団発表の2024年のイスラエルによるとみられる攻撃30件のうち、首都ダマスカスならびに郊外への攻撃は、15件に達し、ダマスカスが狙われるのは今回が特別ではない。特別なのは、今回イスラエル軍が、ゴラン高原付近から各国大使館などが立ち並ぶメッゼ地区の外交使節をミサイルで白昼攻撃したという点である。イスラエルの攻撃でほぼ完全に破壊された領事部ビルの一部は、駐シリア・イラン大使の公邸でもあった。イラン大使館のとなりの領事部の隣は、カナダ大使館が位置していた。ホセイン・アクバリ・イラン大使は、攻撃時不在で、犠牲になることはなかったが、「イスラエルによるイラン領事部への攻撃は、いかなる国際法も認めず、望むことを達成するために非人道的なことは何でもするシオニスト組織の現実を反映している」とコメントしている。今回の攻撃で、注目されるのは、次の諸点である。
@ 外交関係に関するウィーン条約が支持する国際外交規範によって「保護」されるはずの大使館施設に対するこのような外国正規軍の攻撃は前例のないことであり、この点につき、まもなく開催される安保理緊急理事会でどのような議論が交わされるのか。特に、米国は、イスラエルの安全保障のため、ヒズボラの作戦を支援していたとされるIRGCコッズ部隊司令官の殺害を、大使館領事部という保護された場所への攻撃にもかかわらず正当化するのか
A 今回の攻撃は、ザヘディ司令官やIRGC幹部が協議しているところをピンポイントで狙ったとの見方もあり、シリア国内のIRGC幹部の動きをイスラエル側情報機関が正確かつタイムリーに把握していた可能性もあり、シリア国内に情報密告者が多数潜伏していたのではないか
B ロシア軍は、シリアに2015年9月以来駐屯し、対空ミサイル防衛システムを活用して、イスラエル軍のシリア領内攻撃を防ぐこともできるはずであるのに、なぜそうしないのか。イスラエルによるイラン部隊攻撃は見逃すとのロシア・イスラエル間の了解があるのか
C イスラエルのネタニヤフ政権は、国際社会からのガザ停戦に向けた強い圧力を受けており、最大の同盟国米国も安保理でのラマダン期間中の停戦決議に拒否権を行使せず、バイデン政権との間に溝が生じているとされているだけでなく、国内からも、人質解放の処理を含め、ネタニヤフ政権の責任を問い、政権交代を求める意見が高まっている。この状況を打開するため、戦闘を、イランを直接巻き込む形で拡大することで、分裂し始めている国内世論を再び対イランで団結させ、さらに人道問題で国際社会から厳しい目が向けられているガザから国際社会の関心を、イランとの軍事的対立に向けさせようとしているのではないか。
なお、3月29日には、シリアのアレッポで、軍の武器庫を狙ったイスラエルによる攻撃で、40人以上が亡くなっており、一方、4月1日未明には、親イランとされるイラクの民兵組織によるイスラエルのアカバ湾出入口の港湾都市エイラートの海軍基地への攻撃が実行されており、イスラエル軍は、イランの関与なく、このような攻撃は出来ないとみなして、IRGC幹部を狙った可能性も排除できない。イランは10月7日のガザ危機は発生以降、イエメンのフーシ派によるイスラエル支援につながる船舶への攻撃やレバノンのヒズボラあるいは親イランのイラク民兵組織による散発的なイスラエルあるいはイラク領内の米軍やイスラエル権益への攻撃を間接的に支援してきたとみられるものの、事態のエスカレーションを警戒し、これまで、イスラエルと直接対峙することは避けてきた。しかし、イスラエルは、イランを挑発しているとも考えられ、イランが今回の攻撃への報復攻撃に出れば、国際社会のネタニヤフ政権への支持を再び呼び起こすことができると考えている節があり、今、イランに求められているのは、とにかく自制することであろう
https://en.irna.ir/news/85432290/Attacking-Iran-s-consulate-violates-all-int-l-obligations-conventions
https://www.thenationalnews.com/news/mena/2024/04/01/syria-damascus-iran-embassy-strike/
https://www.syriahr.com/en/329911/
https://www.tasnimnews.com/en/news/2024/03/29/3060595/iran-condemns-israeli-airstrikes-on-aleppo

Posted by 八木 at 14:26 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)