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イスラエル軍のラファ侵攻を控え、真剣さを増す人質解放交渉[2024年02月12日(Mon)]
2月5日、イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラエル軍がイスラム組織ハマスの戦闘員の半数以上を死傷させており、「完全勝利」まで戦いを続けるとして、戦闘停止を否定。更にネタニヤフ首相が2月8日の閣議で、エジプトと境界を共有するガザ最南部ラファへの地上侵攻作戦をイスラム教のラマダン(断食月)が始まる3月10日までに終えるよう指示したとされる。2月10日のABCなどの報道によれば、ネタニヤフ首相は、イスラエルのラファ侵攻に際し、100万人以上のガザ住民の避難に関する「詳細な計画」に取り組んでおり、ラファへの侵攻に先立ち住民のための「安全な避難回廊」を提供する、と述べた。

一方、ハマスの軍事部門アル・カッサーム旅団は、2月11日、過去96時間にわたるイスラエルによるガザ地区爆撃の結果、イスラエル人捕虜2名が殺害され、他8名が重傷を負った(その後、うち3人が死亡し、指名等については、他の負傷者の状況確認の上、公表するとしている)と発表した。アル・カッサーム旅団は声明で、捕虜に適切な治療を提供できないため、捕虜の状態はさらに危険になっていると述べ、「継続的な爆撃と侵略を考慮すると、敵(注:イスラエル軍のこと)は負傷者の生命に対して全責任を負っている」と非難した。

こうした中、イスラエルの新聞「エルサレム・ポスト」は、ハマスとの捕虜交換協定に関連する最新の動向について話し合うため、モサドとシン・ベトの首脳がエジプトの首都カイロを訪問する予定であることを明らかにした。更に、イスラエル政府が捕虜取引交渉で役割を果たすため、デビッド・バルネア・モサド長官とロネン・バーシン・ベット長官を来週カイロに派遣することを検討していると報じた。会談には米国ウィリアム・バーンズCIA長官氏、エジプトのアッバース・カーメル総合情報長官、カタールのムハンマド・アブドル・ラハマン・ビン・ジャシーム・アール・サーニー首相兼外相が参加すると示唆した。

イスラエルの国営通信は、エジプト政府が、イスラエル軍がラファに地上侵攻した場合、エジプトは、1979年3月26日に署名された二国間平和条約を停止することをイスラエル側に通告した、と伝えた。エジプト政府は、ハマスにも警告を発し、2週間以内に捕虜交換協定を締結しなければならない、さもなければイスラエルはガザ地区で地上作戦を続けるだろうと伝えたとされる。

2月12日のCNNによれば、イスラエル軍は12日早朝ラファで、60歳と70歳の男性2名のイスラエル人人質を解放したと発表。これで、過去4ヵ月で3人が救出され、最初の救出はイスラエル軍兵士であったとのこと。一方でバイデン政権は、この人質奪還作戦に関連して、100名のパレスチナ人が犠牲になったとして、懸念も表明した。

(コメント)アルジャジーラによれば、2月12日時点でイスラエルは、ガザ地区には126人の捕虜奪還を目指しているとされる(91名がイスラエル人、11人の遺体、24人の外国人)。一方、少なくとも9,000人のパレスチナ人がイスラエルの刑務所に収容されているとみられている。ラファをはじめとするガザ南部には、150万人規模の避難民が移動しているとされ、イスラエル軍による本格ラファ地上作戦が開始されれば、現在累計で2万8千人を超えているパレスチナ人の死者がさらに急増することは避けられない。作戦開始を目前に控え、イスラエル、米国、エジプト、カタール間の情報治安機関・政治機関間の人質交換の実現を見据えた真剣協議が開始されようとしている。ネタニヤフ首相は、ラファ地上作戦で、昨年10月7日のハマスによる襲撃計画の首謀者とみられるシンワル軍事部門責任者をはじめとするハマス軍事部門の無力化を実現するには、ラファ侵攻が不可欠とみている。また、現在の作戦は人質解放のためにも必要と主張している。その意味で、12日、イスラエル軍が2名人質を解放したことは、ネタニヤフ政権にとって、ラファ侵攻作戦が正しいと訴える材料になるとみられる。一方で、仮にラファ侵攻で、イスラエル人人質の大半が死亡するような事態になれば、その時点で、ネタニヤフ政権は崩壊する。その弱みもついて、イスラエルとハマスが代理人を通じてぎりぎりのところで折り合うことができるのか、米国やエジプトの圧力が功を奏するのかが注目される。とりわけ、ラファ侵攻となり、多数のパレスチナ人が死亡すれば、エジプト側は、パレスチナ人を見捨てた、見殺しにしたとの批判を浴びることにもなりかねないため、ラファ検問所を開放せざるを得ない事態も想定される。しかし、ラファ検問所を開いて、100万人規模のパレスチナ人がシナイ半島側に移動してきた場合、当面パレスチナ人はガザに帰還する見通しはなくなり、パレスチナ人が居なくなったガザは、イスラエルからみれば、安全な土地になるものの、国際社会が二国家共存を進めてきたパレスチナ国家の建設も胡散霧消し、1947年の国連分割決議と48年のイスラエル建国によって祖国を追われたパレスチナ人の永遠の敗北が決定する。
https://arabi21.com/story/1573932/
https://arabi21.com/story/1573982/

Posted by 八木 at 10:21 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)