• もっと見る
イスラム世界との結びつきを通じて、多様性を許容する社会の構築についてともに考えるサイトです。

« 2023年11月 | Main | 2024年01月 »

検索
検索語句
<< 2023年12月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
最新記事
最新コメント
タグクラウド
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
プロフィール

中東イスラム世界社会統合研究会さんの画像
日別アーカイブ
https://blog.canpan.info/meis/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/meis/index2_0.xml
目まぐるしく動く中東外交(プーチン大統領のUAE、サウジ訪問他)[2023年12月07日(Thu)]
ガザ危機発生から約2か月、中東をめぐる外交が目まぐるしく動き出している。GCC首脳会議ドーハ会合開催と久々のロシアのプーチン大統領のUAE、サウジ訪問、イランのライシー大統領のロシア訪問である。
1.GCC首脳会議
2023年12月5日、ドーハで、第44回GCC首脳会議が開催された。会議はタミーム・カタール首長がホストし、サウジのMBS皇太子、UAEのMBZ大統領ほかGCC諸国代表とトルコのエルドアン大統領が出席し、ガザでの地上作戦を再開したイスラエル軍に即時休戦を求めた。
共同声明(URL参照)によれば、GCC諸国の指導者は、ガザ地区の人道停戦合意に至ったカタール、エジプト、米国の共同調停努力を高く評価し、完全かつ持続可能な停戦を達成し、すべての人道援助および救援物資と基本的ニーズの受け入れを実現し、電力と水道供給を再開させ、ガザ住民のための燃料、食料と医薬品の供給を確実にするために、この人道休戦を直ちに再開する必要性を強調した。これは、一時休戦終了後、ガザ全域に地上作戦を再開するイスラエルを非難するとともに、イスラエルの動きを抑制できる唯一の国である米政権に、イスラエルのネタニヤフ政権に対してより強い圧力を行使するよう促すためのものと考えられる。
https://www.gcc-sg.org/en-us/MediaCenter/NewsCooperation/News/Pages/news2023-12-5-1.aspx
https://fm.gov.om/final-statement-of-the-44th-gulf-summit-in-doha/

2.プーチン大統領の中東訪問
こうしたなかて、ロシアも久々に中東での外交活動を活発化させている。プーチン大統領は、12月6日、UAEとサウジを訪問し、それぞれムハンマド・ビン・ザーイド・アールナヒヤーンUAE大統領、ムハンマド・ビン・サルマン(MBS)サウジ皇太子と会談した。プーチン大統領はとんぼ返りをして、7日には、2021年8月の就任以来二回目の訪問となるイランのライシー大統領を迎え、会談の予定となっている。
(参考)2023年10月18日、プーチン大統領は、ICCによる逮捕状発出以来2回目となる、国外に出て、中国主催の「一帯一路」ハイレベルフォーラムに出席し、習近平国家主席と会談した。10月12日にキルギスを訪問し、13日にはCIS=独立国家共同体の首脳会議に対面で出席した。一方、7月の上海協力機構首脳会議はオンラインで開催され、8月のBRICS首脳会議は、プーチンはオンラインで出席した。
(コメント)プーチン大統領の中東地域への訪問は、2022年7月にイランでハメネイ最高指導者と会談して以来となる。2023年3月国際刑事裁判所(ICC)がプーチン大統領に逮捕状を発出して以来、プーチン大統領は、南アでのBRICS首脳会議はじめ、外遊を基本的に取りやめてきた。目立った外遊は、10月中国で開催された一帯一路ハイレベル会合ぐらいである。今回の訪問先のUAEもサウジアラビアもICC設立条約に署名しておらず、プーチン大統領を逮捕する義務を負っていない
プーチン大統領のUAE、サウジ訪問の動機は何であろうか。以下のとおりいくつか考えられる。
@ 世界中のひとびとの間では、毎日毎日、報道を通じて、ふたつの戦争での悲劇が繰り返し流され、厭戦気分、戦争疲れが広がっている。侵略者に対してとことん相手が屈服するまで、武器支援を続けるべき、軍事作戦を続けるべきとの主張が逆風をうけ、どのように停戦を実現すべきか、欧米は、はたして停戦に向けての青写真をもっているのかという反発も広がっている。プーチン大統領は、ガザにおいて、イスラエルの「自衛権」支持を背景に、パレスチナ人の犠牲者が1万7千人にも達しているにもかかわらずイスラエル軍の過剰反応ともいえる軍事行動を抑制することができない欧米とは別の解決策を、中東主要国であり、また、拡大BRICS諸国となる国々と模索していることをアピールしようとしている。
A 2024年3月のロシア大統領選挙に立候補するプーチン大統領は、自分が世界の指導者との関係で国際的に孤立していないということを国民に示す必要がある。プーチンの意図に応えたMBZ大統領は、公式訪問ではないにもかかわらず、21発の礼砲と、ロシア国旗の色の煙を空に描いたUAE戦闘機の飛行に出迎えられた。MBZ大統領はプーチン大統領を「親愛なる友人」と呼んだと報じられている。UAEでは、ドバイでCOP28が開催中であり、プーチン大統領はそもそもCOP会場を訪れる予定はなかったものの、世界の関心がUAEに注がれているタイミングでのUAE訪問となった。
B アブダビ訪問のあと、プーチン大統領は、2019年10月以来の対面となるサウジアラビアのMBS皇太子と会談した。11月30日のOPECプラス会合では、一部アフリカ諸国の反対で、OPECプラス全体としての減産合意には至らなかったものの、8か国による2024年1月〜3月までの自主的な220万b/dレベルの減産が決定した。ブラジルに対するOPECプラスメンバー国招待も発せられた。MBS皇太子とは、原油価格を維持するために引き続き、両国が協力していくとの確認がなされたものとみられる。なお、UAEは、12月8日、9日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相を迎える予定とされる。
C サウジとUAEは、2024年1月から拡大BRICSの正式メンバーになることが決定している。次回のBRIC首脳会議は、ロシアがホストすることが決定しており、8月の首脳会議で、正式メンバーに招待されたアルゼンチンがBRICS加盟を見送るとの次期政権の外相発言があったことも踏まえ、2024年10月、ロシアのタタールスタン共和国の首都カザンで開催される次回首脳会合へのMBS、MBZの出席を促すとともに、現在、ロシアが準備中とされる新BRICS通貨や加盟国間の新決済システム構想にも両国の支持を得る目的があったとみられる。
(参考)南米アルゼンチンの大統領選で勝利したハビエル・ミレイ氏率いる新政権で、次期外相となるディアナ・モンディノ氏が11月30日、「我々はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)に参加しない」と、X(旧ツイッター)に投稿した。
D 12月7日のイラン大統領を迎えての会合は、ガザ危機への直接的介入は控えるとの立場をとりつつ、レバノンのシーア派組織ヒズボラと紅海でのイスラエル関連船舶を拿捕しているイエメンの一部を実効支配するフーシー派の行動に事実上の影響力を有するイランとガザ危機への対応を協議するとともに、対ウクライナ戦争で使用しているカミカゼドローンとも称される「シャヘード136」などのドローンのロシア国内での生産協力を確認する目的もあるとみられる。さらに、ロシアは、イランとの間で、インドからイラン、カスピ海、ロシアまでを結ぶ南北回廊の整備に乗り出しており、このプロジェクトでの協力も確認するとみられる。拡大BRICS正式招待や7月に上海協力機構(SCO)の正式メンバーとなったイランとの間で、両国は、欧米の制裁を回避するための協定にも合意しており、特にBRICS新通貨や新決済システムに関心をもち、調整を進めているとみられる。
(参考)イランとロシアは、2023年9月18日、ラシュト・アスタラ間の鉄道建設に向けての覚書に署名。建設資金はロシアが提供予定。同鉄道は、南北回廊の一部となる。
https://tass.com/politics/1716207
https://www.aljazeera.com/news/2023/12/6/putin-makes-rare-trip-to-middle-east-to-meet-with-uae-and-saudi-leaders

Posted by 八木 at 11:55 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)