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注目の日・イラン外相会談(イラン側の最大関心事は、凍結状態にあるイラン資金の解放)[2023年08月08日(Tue)]
2023年8月7日、午後3時から約90分間、林芳正外務大臣は、訪日中のホセイン・アミール・アブドラヒアン・イラン・イスラム共和国外務大臣(H.E. Dr. Hossein Amir Abdollahian, Minister of Foreign Affairs of the Islamic Republic of Iran)と外相会談を行った。この会談では、日本側から、@イランの核関連活動の拡大への深刻な懸念と、国際原子力機関(IAEA)との共同声明の完全かつ無条件の協力を含むイランの建設的な対応、Aイラン側からの軍事ドローンの提供を含むロシアへの軍事支援等の抑制を働きかけたことは間違いない。イラン側は、@については、交渉を通じたイラン核合意復活を追求しているとして、日本側の外交努力に謝意を表したものの、Aについては、イランはウクライナ戦争において、ロシアにいかなる武器、軍事用ドローンの提供も行っていないと日本側の懸念を突っぱねたとみられる。この会談におけるイラン側の最大関心事項のひとつは、イランからのエネルギー輸出に関連した日本の銀行で凍結状態にある未払い代金の回収にあるとみられる。これを裏付けるように、8月7日、ナセル・カナニ・イラン外務省報道官は、テヘランでの定例記者会見において同国は日本を含む各国で凍結資産の解除を確保するための取り組みを継続すると述べた。日本との凍結資産解放の問題は、2022年10月にニューヨークで開催された国連総会の機会をとらえた会談において、イランのエブラヒム・ライシ大統領から日本の岸田総理に提起されたとされる。カナニ報道官は、日本政府は債務を解決する用意があると繰り返し表明しており、そのために努力していると強調し、凍結資金解放問題に突破口が開かれることに期待を表明した。イラン側は、この問題をこれまでも繰り返し提起しており、たとえば、2021年8月22日、イランを訪問した茂木外務大臣(当時)は、ザリーフ外相(当時。退任するザリーフ外相にとって最後の外国要人との会談)、ライシ大統領、カラバフ国会議長と相次いで会談した。その際、イラン核合意を巡る問題や緊張状態にあったアフガン情勢のほか、日本がイランに負っている15億ドル相当(報道のまま)の債務問題が話し合われたとされる。茂木外相が表敬したライシ大統領は、日本の銀行で債務返済が滞っていることは正当化できないと強調した。カリバフ国会議長は、コロナウイルスのパンデミックとの戦いを緩和するために、日本政府がイランの資産を凍結解除するために真剣に行動することを期待していると述べていた。2021年7月13日、米国務省ブリンケン長官が、米国議会に行った通知によれば、米国務省は、韓国、日本国内の金融機関の口座で凍結されていたイランの資金を利用して、両国の輸出業者がイランに販売した制裁対象ではない商品、サービスの代金回収に凍結資金を利用することを可能にしたと発表しており、イラン側は、米政府がライシ新政権との関係改善を進める善意の証として、資産凍結解除に異議を唱えないと表明していたことを踏まえ、日本、韓国との債務問題の解消を図ろうとしたものとみられる。凍結資産の解放は、外貨不足に悩むイラン政府にとって最重要課題のひとつであり、イランは日本以外にも凍結資産の解放を働きかけてきており、一部の国々との間では、進展もみられる。
https://en.irna.ir/news/85191797/Iran-to-keep-up-work-to-secure-release-of-assets-blocked-abroad
(参考)凍結債務を抱えてきた各国の対応
(イラク)2023年6月、フアード・フセインイラク外相によれば、イラクはイランへの債務返済に際して米国の制裁を免除するとのブリンケン国務長官の言質をリヤドでの会合の機会に得たとして、イランからのガスと電気供給に対する凍結債務のうち約27.6億ドルをイランに支払うことに同意した。しかし、イラクの対イラン債務は100億ドルを超えているとの見方もあり、また、支払われる資金の用途に制限(イラン人の巡礼資金に充てられるとの見通しも出ていた)があり、送金のメカニズムも整えられていないため、この問題の全面的解決は依然見通せていない。
https://www.iranintl.com/en/202306125102?__cf_chl_tk=11ruzZrtrex6_6AcVmcR_Re.2H.6SeXm_WSm6efYUNU-1691473332-0-gaNycGzNC3s
(韓国)2021年段階で、韓国のイラン凍結資金は70億ドルとみられている。韓国は、イラン産原油の主要輸入国の一つであったが、トランプ政権が宣言した2019年5月以降のイラン産原油輸入による第三国への金融制裁を回避するため、イランに支払うべき代金を韓国の銀行内に凍結していた。2021年1月、韓国のケミカル・タンカーが、イランのIRGCに拿捕され、同年2月上旬に船員の一部は解放されたが、船と船長は解放されず、イラン韓国間の外交問題に発展していた。イランは、ケミカル・タンカーをいわば人質にとったともいえる状況にあった。しかし、同年4月に入って、イランと欧米とのイラン核合意を巡る協議再開と並行して、進展が見られた。韓国首相としては44年ぶりの丁世均(チョン・セギュン)首相(当時)のイラン訪問を直前に控え、同年4月9日、韓国外務省は、タンカー「Hankuk Chemi 」が解放されたことを確認した。当時、KBSならびにイラン国営通信などはと、韓国は、トランプ政権下で、凍結させていたイラン資産の一部を、自国内で製造しているアストラゼネカ・ワクチンのイランへの供給を通じて返済することで合意したと報じた。凍結債務の一部は支払われたとみられるが、依然、債務の大部分が残っているものとみられる。2023年5月下旬、米政府は、イランのウラン濃縮活動を抑制ならびにイランに拘束されている米・イラン二重国籍者の解放の見返りとして、韓国、イラクに凍結されている資金の一部解放を提案したとされる。さらに、6月上旬、イスラエルのハアレツ紙は、米政府は韓国とイラクとIMFが抑えている合計200億ドルの凍結資金の解放を提案とも伝えた。
https://www.iranintl.com/en/202306125102
(英国)イランは、1970年代のシャー時代に代金前払いで発注した英国製戦車1,500両の注文が1979年に起きたイラン・イスラム革命によりキャンセルされた結果、英国はイランに約4億ポンドの負債を負っていると主張してきたが、イラン側への負債の支払いを英国政府は長らく躊躇ってきた。英国政府は、オマーンの仲介もあり、2022年3月までに、債務を支払ったとされる。 2016年4月 英国とイランの二重国籍者ナザニン・ザガリ・ラトクリフが娘を連れて、英国旅券を使用し、イラン人両親の元に里帰りした際、出国時テヘラン空港でスパイ容疑で逮捕された。以後彼女は、6年にわたりイランで拘束、出国禁止措置をうけたが、英国政府のイランへの戦車代金支払いが確認された直後の2022年3月16日にイラン当局から解放されて英国に6年ぶりに帰還した。同年3月21日の記者会見で、自身は本来6年前に解放されるべきであったと語り、解放が遅れた責任の一端が、英国政府にあることを示唆した。
https://www.bbc.com/news/uk-60819018

Posted by 八木 at 15:29 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)