UAEとロシアの外交上のギブアンドテイク(ロシアによるイエメン・フーシー派のテロリスト・グループとしての位置づけ支持)[2022年03月16日(Wed)]
2月25日の安保理会合で、ロシアのウクライナ侵攻を非難する決議に、UAEは中国、インドとともに棄権した。UAEは拘束力のある安保理決議を棄権したものの、3月2日の拘束力はないが国際社会の意思表示である国連総会決議では賛成に転じた。このUAEの立ち位置をどう解釈するのか、についての説明のひとつが、2月28日のイエメンに関するUAE提出の安保理決議案の採択であった。この決議案で、UAEは、イエメンでアラブ連合軍と戦い、サウジやUAEのインフラをたびたびドローンやミサイルで攻撃するフーシー派を、国連安保理の場で2014年のイエメン危機発生以来、はじめて「テロリスト・グループ」と位置付けることに成功した。ロシア代表は、棄権することも反対することもなく、「(フーシー派への)制限措置がイエメンの人道的状況の悪化につながるべきではない」とのみ述べた。ロシアにとっては、ウクライナ侵攻で西側の制裁を受ける中、中東の重要な産油国であり、アラブ世界を欧米陣営に押しやってしまわないように、シリア内戦では、ともにアサド政権を支援してきたイランの意向に反する形でも、UAEの立場を支持することが絶対不可欠な状態にあったとみられる。
(参考)決議2624採択に関しての国連プレスリリース要旨
2月28日、国連安保理は、UAEが提出したイエメンに関する決議案に基づき、決議2216(2015年)によるイエメンへの武器禁輸と、決議2140(2014年)による平和を脅かす人々の渡航禁止と資産凍結を1年間更新することを決定した。決議2624(2022)は、反対なしで、常任理事国5か国を含む賛成11票で採択され、4か国が棄権(ブラジル、アイルランド、メキシコ、ノルウェー)した。但し、この決定は、イエメンの民間人に人道上の悪影響を与えることを意図したものではないことに留意するとしている。同時に安保理は、2023年3月28日まで、イエメン関連の専門家パネルの任務を延長した。
さらには、安保理は民間人と民間インフラを襲ったサウジアラビアとUAEへの攻撃を含む、フーシー派「テロリスト・グループ」による国境を越えた攻撃を強く非難した。
https://www.un.org/press/en/2022/sc14810.doc.htm
https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/N22/271/73/PDF/N2227173.pdf?OpenElement
(参考)決議2624採択に関しての国連プレスリリース要旨
2月28日、国連安保理は、UAEが提出したイエメンに関する決議案に基づき、決議2216(2015年)によるイエメンへの武器禁輸と、決議2140(2014年)による平和を脅かす人々の渡航禁止と資産凍結を1年間更新することを決定した。決議2624(2022)は、反対なしで、常任理事国5か国を含む賛成11票で採択され、4か国が棄権(ブラジル、アイルランド、メキシコ、ノルウェー)した。但し、この決定は、イエメンの民間人に人道上の悪影響を与えることを意図したものではないことに留意するとしている。同時に安保理は、2023年3月28日まで、イエメン関連の専門家パネルの任務を延長した。
さらには、安保理は民間人と民間インフラを襲ったサウジアラビアとUAEへの攻撃を含む、フーシー派「テロリスト・グループ」による国境を越えた攻撃を強く非難した。
https://www.un.org/press/en/2022/sc14810.doc.htm
https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/N22/271/73/PDF/N2227173.pdf?OpenElement
Posted by 八木 at 16:35 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)