パキスタンに接近を図るイラン[2021年01月04日(Mon)]
パキスタンとイランは、2020年12月19日にグワダル-リムダン地点に、2番目の公式国境検問所を開設した。この新たなゲートウェイ開設によって、パキスタンのグワダル港とイランのチャバハール港が最短の陸路で結ばれることになる。中国が支援するパキスタンのグワダル港と一時期インドが関心を示していたイランのチャバハール港の開発は、ライバル視されていたが、インドのチャバハールからの事実上の撤退と、グワダル-リムダンの国境通過ポイントが開設されることにより、パキスタンのグワダル港とイランのチャバハール港が有機的に結ばれ、アフガニスタン、中央アジア、トルコ他への輸送も視野に入れたイランとパキスタン、中国の経済連携が深まることになる。他方で、インドとの関係を強化しているサウジは、パキスタンにローンの返済を迫り、それを中国が新たなパキスタンへの借款提供でサウジへの返済分を補完するという財政が絡む地域のライバル国間の主導権争いが生じている。
(参考1)イランとパキスタン間の新たな国境通過ポイントの開設
●イランとパキスタンは、2020年12月19日、両国間の貿易・往来拡大のため、両国間に新たな国境通過ポイント開設記念式典を開催した。イラン外務省のスポークスマンは、2020年11月にイランのザリーフ外相がパキスタンを訪問した際、両国がリムダン・ガブド(Rimdan-Gabd)国境通過ポイントを開くことに合意していたと述べた。
●イランのスポークスマンは、友好的な近隣国である両国が国境ゲートウェイを建設し、最近のカフヘラット鉄道プロジェクトの発足は、イランイスラム共和国が近隣諸国との交流と協力を特に優先していることを示していると述べた。イラン東部とアフガニスタン西部を結ぶ共同鉄道プロジェクトは12月10日に開始され、隣接する両国大統領がビデオ会議を通じて鉄道建設が、地域全体の貿易関係を強化することを期待していると述べた。
●パキスタンビジネスカウンシル(PBC)によると、隣接する2か国間の二国間貿易は2018年時点で3億6,900万ドルであった。パキスタンは、イランから液化石油ガス、その他の鉱物燃料、電気エネルギーを輸入する一方で、紙や板紙、米、文房具をイランに輸出している。イランは1,000メガワットの電力をパキスタンに販売しており、これを最大3,000メガワットに増やして、パキスタン国内の約4,000メガワットの不足分を補う計画である。
●70年近くの間、イランとパキスタン間の唯一の公式の国境ゲートウェイは、バルチスタンの州都であるクエッタより北にあるミルジャバ-タフタン(Mirjavah-Taftan)国境検問所であった。
http://en.otaghiranonline.ir/news/22685
(参考2)サウジへの借金返済で露呈したパキスタン・サウジ関係の緊張
●サウジアラビアは、2018年後半にパキスタンに30億ドルの融資と32億ドルの石油購入融資枠を提供した。パキスタンは紛争地域のジャンムー・カシミール自治州でのインドによる自治権はく奪に抗議し、イスラム諸国会議機構(OIC)の支援を求めていたが、OICのホスト国サウジアラビアはパキスタンに融資の返済を迫った。
●30億ドルの融資については、2020年7月パキスタンは、10億ドルをサウジアラビアに返済し、さらに12月に10億ドルを返済した。この返済にあたって、パキスタンは中国にサウジへの返済を可能にするための融資を申し入れ、中国が応じた。本年1月中にさらに10億ドルがサウジに返済される予定。
https://www.reuters.com/article/pakistan-china-saudi-arabia-idUSL8N2IW3N2
(参考1)イランとパキスタン間の新たな国境通過ポイントの開設
●イランとパキスタンは、2020年12月19日、両国間の貿易・往来拡大のため、両国間に新たな国境通過ポイント開設記念式典を開催した。イラン外務省のスポークスマンは、2020年11月にイランのザリーフ外相がパキスタンを訪問した際、両国がリムダン・ガブド(Rimdan-Gabd)国境通過ポイントを開くことに合意していたと述べた。
●イランのスポークスマンは、友好的な近隣国である両国が国境ゲートウェイを建設し、最近のカフヘラット鉄道プロジェクトの発足は、イランイスラム共和国が近隣諸国との交流と協力を特に優先していることを示していると述べた。イラン東部とアフガニスタン西部を結ぶ共同鉄道プロジェクトは12月10日に開始され、隣接する両国大統領がビデオ会議を通じて鉄道建設が、地域全体の貿易関係を強化することを期待していると述べた。
●パキスタンビジネスカウンシル(PBC)によると、隣接する2か国間の二国間貿易は2018年時点で3億6,900万ドルであった。パキスタンは、イランから液化石油ガス、その他の鉱物燃料、電気エネルギーを輸入する一方で、紙や板紙、米、文房具をイランに輸出している。イランは1,000メガワットの電力をパキスタンに販売しており、これを最大3,000メガワットに増やして、パキスタン国内の約4,000メガワットの不足分を補う計画である。
●70年近くの間、イランとパキスタン間の唯一の公式の国境ゲートウェイは、バルチスタンの州都であるクエッタより北にあるミルジャバ-タフタン(Mirjavah-Taftan)国境検問所であった。
http://en.otaghiranonline.ir/news/22685
(参考2)サウジへの借金返済で露呈したパキスタン・サウジ関係の緊張
●サウジアラビアは、2018年後半にパキスタンに30億ドルの融資と32億ドルの石油購入融資枠を提供した。パキスタンは紛争地域のジャンムー・カシミール自治州でのインドによる自治権はく奪に抗議し、イスラム諸国会議機構(OIC)の支援を求めていたが、OICのホスト国サウジアラビアはパキスタンに融資の返済を迫った。
●30億ドルの融資については、2020年7月パキスタンは、10億ドルをサウジアラビアに返済し、さらに12月に10億ドルを返済した。この返済にあたって、パキスタンは中国にサウジへの返済を可能にするための融資を申し入れ、中国が応じた。本年1月中にさらに10億ドルがサウジに返済される予定。
https://www.reuters.com/article/pakistan-china-saudi-arabia-idUSL8N2IW3N2
Posted by 八木 at 11:59 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)