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ホワイトハウスでのUAE・バーレーンとイスラエルとの国交正常化合意署名式[2020年09月16日(Wed)]
9月15日、ワシントンDCのホワイトハウスで、トランプ大統領立ち合いのもと、イスラエルのネタニヤフ首相、UAEのアブドッラー・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン外相、バーレーンのアブドル・ラティーフ・ザヤニ外相が出席して、UAE、バーレーンとイスラエルの国交正常化合意がそれぞれ署名され、米国を含む4国代表によるアブラハム合意宣言が署名された。UAEの実質的な指導者で、今回の合意を推進したUAEのムハンマド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン・アブダビ皇太子ならびに直前にイスラエルとの関係正常化を宣言したバーレーンのハマド・ビン・イッサ・アルハリーファ国王は、署名式に出席せず、それぞれ外相を派遣して、署名を行わしめた。
(参考1) アブラハム合意宣言(2020年9月15日 於WH)
●署名者である私たちは、相互理解と共存、および人間の尊厳と信仰の自由を含む自由の尊重に基づいて、中東および世界中の平和を維持し、強化することの重要性を認識しています。
●私たちは、異宗教間および異文化間の対話を促進し、アブラハムの3つの宗教とすべての人類間の平和の文化を推進するための努力を奨励する。
●私たちは、課題に対処する最善の方法は、協力と対話を通じてであり、国家間の友好関係を育むことは、中東および世界中の永続的な平和の利益を促進すると信じている。
●私たちは、この世界を、人種、信仰、民族に関係なく、尊厳と希望の人生を享受することができる場所にするために、すべての人に寛容と尊敬を求める。
●私たちは科学、芸術、医学、商業をサポートし、人類を鼓舞し、人間の可能性を最大化し、国家をより緊密に結びつける。
●私たちはすべての子供たちにより良い未来を提供するために過激化と紛争を終わらせることを希求する。
●私たちは中東と世界の平和、安全、繁栄のビジョンを追求する。
●この精神において、私たちはアブラハム合意の原則に基づいてイスラエルとその地域の近隣諸国との間の外交関係構築のためにすでになされた進展を心から歓迎し、励まされている。 私たちは、共通の利益とより良い未来への共通のコミットメントに基づいて、そのような友好関係を強化、拡大するために進行中の取り組みに勇気づけられている
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/the-abraham-accords-declaration/
(署名文PDF)https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2020/09/ABRAHAM-ACCORDS-DECLARATION.pdf
アブラハム平和合意:アラブ首長国連邦とイスラエル国家間の平和条約、外交関係、完全な関係正常化(2020年9月15日)
アラブ首長国連邦政府およびイスラエル国政府(以下、「締約国」)は、
@ 地域のすべての国と人々のために、安定して平和で繁栄する中東地域のビジョンを実現することを目指し、
A この協定に従って、平和、外交的かつ友好的な関係、協力関係、そして彼らとその国民との間の関係の完全な正常化を構築し、彼らと地域の国々に潜在的な可能性を解き放つための新しい道を一緒に描くことを望も、;
B 2020年8月13日付けの「米国、イスラエル国、アラブ首長国連邦の共同声明」(「アブラハム合意」)を再確認し、
C 友好関係のさらなる発展は中東における永続的な平和の利益を満たし、課題は紛争ではなく協力によってのみ効果的に対処できると信じ、
D 両国の永続的な平和、安定、安全、繁栄を確保し、そのダイナミックで革新的な経済を発展、強化することを決意し、
E 外交的関与、経済協力の拡大、その他の緊密な調整を通じて、関係を正常化し、安定を促進するという両国の共通の責任を再確認し、
F 平和の確立と両国間の完全な正常化は、経済成長に拍車をかけ、技術革新を強化し、人と人とのより緊密な関係を築くことによって中東の変革を助けることが出来るとの彼らの共通の信念も再確認し、
G アラブ人とユダヤ人が共通の祖先であるアブラハムの子孫であり、その精神の中で、中東ではイスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒、あらゆる信仰、宗派、信仰、国籍の人々がともに生活しており、共存、相互理解、相互尊重の精神を持ち、それにコミットしていることを認識して、
H トランプ大統領が平和へのビジョンを提示した2020年1月28日に開催されたレセプションを想起し、イスラエル・パレスチナ紛争に対する公正で包括的、現実的かつ永続的な解決策を達成するための努力を継続することを約束する。
I イスラエル国とエジプト・アラブ共和国間およびイスラエル国とヨルダン・ハシミテ王国間の平和条約を想起し、正当なニーズを満たし、両国民の願望、そして包括的な中東の平和、安定と繁栄を前進させるためにイスラエル・パレスチナの紛争の交渉による解決を実現するために協力することを約束して、
J イスラエルとUAE間の関係の正常化は両国民の利益であり、中東と世界の平和の大義に貢献するという信念を強調し、
K この歴史的な成果への多大な貢献について、米国に深い感謝の意を表して、
以下のとおり合意した。
1. 平和、外交関係と関係正常化の構築:アラブ首長国連邦とイスラエル国との間に、平和、外交関係および二国間関係の完全な正常化が構築される。
2. 一般原則:締約国は、国連憲章の規定および国家間の関係を規定する国際法の原則により、その関係が導かれる。 特に、彼らは互いの主権と平和と安全に生きる権利を認め、尊重し、彼らとその国民との間の協力の友好関係を発展させ、平和的な手段によってそれらの間のすべての紛争を解決する。
3. 大使館の設置:締約国は、この条約の調印後可能な限り速やかに駐在大使を交換し、適用される国際法の規則に従って外交および領事関係を遂行する。
4. 平和と安定:締約国は、平和と安定の領域での相互理解、協力、調整を、関係の基本的な柱として、また中東全域でのそれらの領域を改善させる手段として、極めて重要視する。 彼らは、それぞれの領域内でテロ行為や敵対行為を防止するために必要な措置を講じ、また、そのような海外での活動に対する支援を拒否し、それぞれの領土でのそのような支援を許すことを拒否する。 締約国は、平和と友好関係の新時代、ならびにそれぞれの人々と地域の福利が安定の中心であることを認識し、これらの問題を定期的に検討および議論し、調整と協力のための詳細な合意と取り決めを結ぶ。
5. 他の分野における協力と合意:平和、繁栄、外交的かつ友好的な関係、協力および完全な正常化へのコミットメントの不可欠な一部分として、締約国は中東全域における平和の大義、安定および繁栄を前進させるために活動する。 そして、彼らの両国と地域に大きな可能性を解き放つ。 そのような目的のために、締約国は、可及的速やかに、以下の領域あるいは合意される可能性のある相互に関心のある他の領域において、二国間合意を締結する。@金融および投資、A民間航空、Bビザおよび領事サービス、Cイノベーション、貿易 と経済関係。
-健康管理
–宇宙、科学、技術、平和利用
–観光、文化、スポーツ
–エネルギー
–環境
- 教育
–海事の手配
–電気通信および郵便
–農業と食料安全保障
- 水
–法的協力
・この条約の発効前に締結されたそのような合意は、別段の定めがない限り、この条約の発効とともに効力を生じる。 特定の分野での協力に関する合意された原則は、この条約に付属しており、その不可欠な部分を形成する。
6. 相互理解と共存:両当事者は、共通の祖先であるアブラハムの精神の中で、社会間の相互理解、尊重、共存、平和の文化を育むことを約束し、この協定によって、人と人との交流プログラム、宗教間の対話、文化的、学術的、青少年、科学的、その他の民族間の交流を育むことを含む平和と友好関係の新時代が到来した。彼らは、必要なビザと領事サービスの契約と取り決めを締結・実施して、それぞれの国民が互いの領域に効率的かつ安全に旅行できるようにする。締約国は、憎悪と分裂、テロリズムとその正当化を促進する過激主義と闘い、過激化と過激分子のリクルートを防止し、扇動と差別と闘うために協力する。彼らは、これらの目標を前進させることに専念する平和と共存のためのハイレベル合同フォーラムの設立に向けて努力するものとする。
7. 中東の戦略的アジェンダ:アブラハム合意に加えて、締約国は、地域外交、貿易、安定、その他の協力を拡大するための「中東の戦略的アジェンダ」を立ち上げるために米国に協力する用意がある。 彼らは、両国間ならびに中東全域の平和の大義、安定および繁栄を前進させるために、必要に応じて米国およびその他の国々と協力することを約束する。 それにより、地域のセキュリティと安定を促進し、 地域経済の機会を追求し、 地域全体で平和の文化を促進し、共同の援助と開発プログラムを検討する。
以下省略
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/abraham-accords-peace-agreement-treaty-of-peace-diplomatic-relations-and-full-normalization-between-the-united-arab-emirates-and-the-state-of-israel/
(署名文PDF)https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2020/09/DECLARATION-OF-PEACE.pdf
(参考2)アブラハム合意:(イスラエル・バーレーン間)平和、協力、建設的な外交・友好関係の宣言(9月15日)
ベンジャミン・ネタニヤフ首相とアブドル・ラティーフ・アル・ザヤニ外相は、両者の会合において、完全な外交関係を樹立し、永続的な安全を促進し、脅威と武力の行使を避け、共存と平和の文化を前進させることに同意した。 この精神で、彼らは今日、この新しい章を彼らの関係で始める一連のステップを承認しました。 バーレーン王国とイスラエル国は、投資、観光、直行便、セキュリティ、通信、テクノロジー、エネルギー、ヘルスケア、文化、環境、および相互利益の他の分野についても、今後数週間で合意を求めることに同意しました。 大使館の相互開放について合意に達したとして。
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/abraham-accords-declaration-peace-cooperation-constructive-diplomatic-friendly-relations/
(署名文PDF)https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2020/09/DECLARATION-OF-PEACE.pdf
(コメント)アブラハムは、イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒にとって、一神教の祖として位置付けられており、今回のイスラエルとUAE、バーレーンとの国交正常化合意署名を、米国はアラブ・イスラエル紛争の解決というより、一神教間の融和、共存のステップと位置付けようとしている。9月11日にイスラエルとの関係正常化を宣言したバーレーンの合意は、9月15日時点で、イスラエルとの関係を完全に正常化するとの意思を確認した内容となっているが、8月13日に関係正常化を宣言したUAE・イスラエル合意は、具体的な協力関係の詳細に踏み込んでいる。すなわち、@金融および投資、A民間航空、Bビザおよび領事サービス、Cイノベーション、貿易 と経済関係、D健康管理、E宇宙、科学、技術、平和利用、F観光、文化、スポーツ、Gエネルギー、H環境、I 教育、J海事アレンジ、K電気通信および郵便、L農業と食料安全保障、M水、N法的協力をカバーしている。そして、合意文書のアネックスで、財政・投資、民間航空、観光、技術革新・貿易・経済関係、科学・技術・宇宙の平和利用、環境、電気通信・郵便、保健、農業・食糧安全保障、水、エネルギー、海事、法制面での協力の詳細に踏み込んでいる。すでに、UAEはイスラエルに対するアラブボイコット廃止を決定しており、両国関係は、急速に正常化していくものとみられる。

今回のUAE・イスラエル合意において、中東和平に関する比重は小さく、トランプ大統領が平和へのビジョンを提示した2020年1月28日に示されたトランプ大統領の新和平プラン「世紀の取引」をベースに、イスラエル・パレスチナ紛争に対する公正で包括的、現実的かつ永続的な解決策を達成するための努力を継続することを約束する、としている。ここで、注目されるのは、以前は決して含まれることがなかった「現実的」ということばが加わったことである。UAEは、イスラエルとの国交正常化にあたり、イスラエルによる西岸の一部併合を先延ばしにするとの約束を米国から取り付けたとされており、ネタニヤフ首相は、併合計画を断念したわけではないと主張しており、一部報道では、2024年1月までの暫定約束であるとの見方がある。「現実的な」が加わった意味は、イスラエル政府のエルサレムや入植地への立場に変更を求めない範囲での、紛争解決をUAEは支持すると宣言したに等しく、パレスチナ人にとっては、アラブ連盟でのUAE・イスラエル関係正常化を拒否する決議を却下され、アラブ世界でも孤立し、一時期国際社会がこぞって支持した安保理決議242、338の実現、二国家共存を目指すオスロ合意も過去の遺物になろうとしている。

さらに、今回の湾岸二か国のイスラエルとの国交正常化は、イランの喉元で、イスラエルが自由に活動できるようになることを意味し、今回の合意では、軍事協力、情報協力、イランに対する明示的な共同行動に言及はないものの、イランは、UAE・イスラエル合同のイランへの諜報活動や外部勢力による最近頻発している国内の火災・爆発事件の続発に神経を尖らせることになるのは間違いないとみられる。

Posted by 八木 at 11:52 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)