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米軍のパトリオット対空防衛システムのサウジからの撤去[2020年05月11日(Mon)]
中東メディア各紙は、WSJの特別レポートを引用して、米国は、昨年9月サウジアラビアのアラムコ施設へのドローンと巡航ミサイルによる攻撃を受け、サウジに展開したパトリオットの対空ミサイル防衛システムとその運用の隊員ならびに飛行中隊を他の地域への移動を計画しており、すでにその一部を実行していると報じた。5月8日には、トランプ大統領がサウジのサルマン国王に電話し、両国間の強固な防衛パートナーシップと世界のエネルギー市場安定の重要性を確認したとホワイトハウスが発表しており、これはミサイル撤去の影響を鎮めるためのものでWSJの報道が正しかったことが裏付けられた。エスパー国防長官は、記者会見で、米軍ミサイルシステムのサウジ撤去への具体的な言及を避け、一方、ポンペイオ国務長官は、通常の部隊の交代であるとして、その重要性を取り繕った。
(参考)WSJを引用した記事の主要点
●ミサイルと航空機の攻撃から地上の資産を保護することを意図したパトリオット地対空ミサイルの4つのバッテリーがサウジの石油施設から撤去される。防空システムとともに配備された数十人の軍人も再配置される。
●米国の戦闘機の2つの中隊がすでにこの地域を去っており、米国の当局者は湾岸での米海軍の存在の減少を検討している。
●削減は、イランがもはや米国の戦略的利益に差し迫った脅威を与えていないという一部の当局による評価に基づいている。
https://www.aljazeera.com/news/2020/05/remove-patriots-military-assets-saudi-arabia-200507183258484.html

(コメント)
サウジの対外軍事作戦への関与は、コロナ・パンデミックと石油価格激減に苦しむサウジ財政にとって大きな負担になっている。2015年3月にサウジが主導して軍事作戦を開始したイエメンでは依然フーシー派との手打ちの見通しはたっておらず、対フーシー派で共闘していた南部暫定評議会グループが袂を分かち、アデンで自治を宣言するに至っている。イエメンには、スーダンの地上部隊も展開しているが、サウジが資金を提供している。今回サウジアラビアから撤去されるパトリオット対空ミサイル防衛システムは、昨年9月14日にサウジアラビアのアラムコ石油施設への攻撃の後、急遽配備されたものであるが、その駐屯費用はすべてサウジが負担しているといわれる。こうした中、3月のOPEC+の減産協議決裂(注:4月にトランプ大統領の介入により、ロシアとサウジは減産に合意)により、サウジが原油の安値輸出攻勢をかけ、米国内のシェール産業を脅かし始めたことに、トランプ政権を支える共和党のケビン・クレイマー上院議員らが怒り、トランプ大統領とMBSとの電話会談翌日の4月3日、クレイマー議員は米国の大統領に、「友人たち(サウジを指す)が私たちをこのように扱うなら、数十億ドルを費やしてサウジアラビアを守るのは価値がない」と語った。今回のパトリオット防空ミサイル・システムと関係要員のサウジ撤去は、軍事的な考慮によるものというよりは、トランプ政権がサウジに対して、米国の石油産業にもっと配慮するよう圧力をかけていることを、国内の共和党支持者に印象付ける狙いがあったものとみられる。
一方、中東でのコロナ・パンデミックの震源地ともなったイランは、1月3日に地域のシーア派反米軍事組織連帯の要であったカーセム・ソレイマニIRGCコッズ部隊司令官を殺害されており、人工衛星打ち上げといったデモンストレーションがあったものの、当面、域内の近隣国に軍事的脅威を拡大する余裕はない。サウジを取り巻く内外の状況の悪化とイランが置かれた現状にかんがみ、サウジのMBS皇太子がイラクのムスタファ・カディミ新首相に、バグダッドを仲介してサウジアラビアとイランの間の緊張関係を緩和するよう要請したとしても驚きにはあたらない。カディミ新首相は新イラク政府の首相として議会の信頼を得た直後の5月8日に電話を受けており、その際、MBSは、カディミ新首相に就任のお祝いを伝えるとともに、「イラクはこの地域の見方を近づける上で基本的な役割を担っている」と述べ、イラクの役割に期待していることを伝えたとされる。カディミ氏は、2017年にハイダル・アバディ首相(当時)に同行し、サウジの首都リヤドを訪問した時以来、MBSと親交があるとみられている。 カディミ新首相にはサウジから訪問招待が発せられている。

Posted by 八木 at 11:35 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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