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中東におけるコロナウイルス感染拡大(感染増が続くカタールで死者が少ない理由、5月5日時点)[2020年05月06日(Wed)]
5月5日時点で、トルコでは1日で、1832件、死者59名増加した。死者数の伸びは鈍化している。イランでは、一日の感染増が4桁に戻り、1323件で、死者は63名増であった。一部集会、商業活動の再開などが影響しているのか今後の推移に注目する必要がある。5日、サウジの1日当たりの感染者増は、1595件となり、感染の勢いは収まっていない。カタール、UAEは、それぞれ一日の感染増が951件、462件記録し高止まりを続けている。カタールは感染総数でイスラエルを初めて上回った。感染件数の多さにもかかわらず、カタールの死者数は12名にとどまっており、分析記事を参照願いたい。カタールは、2022年FIFAワールドカップのホスト国であり、外国人労働者多数を呼び込んで、建設ラッシュとなっている。外国人労働者が密集した状態で寝泊まりしていることが感染急拡大の背景にあるとみられている。しかし、外国人労働者の年齢が低いこと、感染の検査を広範囲に実施したこと、富裕国で医療体制が充実していることが死者が低く抑えられている背景にあるとみられる。医療体制が脆弱なイエメンで一日の感染増が10件、死者2名の増加が報告され、今後の感染拡大が懸念されている。
(主要国の感染動向) 5月06日05:32GMT現在
トルコ 感染件数129491(+1832)、死者3520名(+59)
イラン 感染件数99970(+1323)、死者6340名(+63)
サウジ 感染件数30251(+1595)、死者200名(+9)
イスラエル 感染件数16289(+43)、死者238名(+3)
カタール 感染件数 17142(+951)、死者12名(変化なし)
UAE 感染件数 15192(+462)、死者146名(+9)
イエメン感染件数22(+10)、死者4(+2)
(その他の国々)https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries
(トルコ)https://www.worldometers.info/coronavirus/country/turkey/
(イラン)https://www.worldometers.info/coronavirus/country/iran/
(サウジ) https://www.worldometers.info/coronavirus/country/saudi-arabia/

(参考1)カタールとシンガポールで感染死者が少ない理由
●カタールとシンガポールでは、死亡者数は報告された感染症例の0.1%未満。大規模な流行が発生している国では、カタールの致死率は16,000件を超えるうち、0.07%、12人と最も低くなっている。シンガポールの比率は、19,000件を超える感染のうち0.093%。両国はまた、人口に比べて、ウイルスによる死亡率を低く抑えており、10万人あたり0.5未満となっている。
●両国は、世界で最も裕福な国の1つでもある。つまり、必要な検査キットや病院のベッドをより多く用意できることを意味する。カタールとシンガポールの生存率のすぐ後には、ベラルーシ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が続く。
●ニューサウスウェールズ大学のグローバルバイオセキュリティの教授であるレイナマッキンタイア氏は、死亡率の低さは、検査、人口の年齢、集中治療室の収容能力の3つに要約される、より多くの検査を行い、より軽い症例を検出する国は、明らかに致死率が低いだろう、集中治療室と人工呼吸器の能力を超える高齢者が多い国でも、死亡率が高くなると述べた。
●シンガポールの人口は高齢化しており、カタールよりも年齢の中央値が高くなっているが、中東での感染者の多くは、若い移民労働力である。アラブ首長国連邦とカタールの人口の大部分は国外からの若い居住者であり、国に入る前に健康診断を受け、雇用期間が終了したら離職する必要がある。
https://www.aljazeera.com/ajimpact/virus-deaths-grow-nations-stand-fatality-rate-200505172201948.html

(参考2)イエメンでのコロナ感染拡大への不安
●アデンは他のコロナウィルスが蔓延した都市と異なり、その市場は今も活気に満ちており、信者であふれるモスク、人々で賑わう通りやレストランが開いている。病院で追加の予防措置が講じられていることを除いて、この港湾都市がCovid-19の不穏な感染拡大を目撃したという証拠はほとんどない。
●他方、WHOは、ほぼ確実にコロナウィルスが検出されることなく全国に広まっていると警告しており、迅速に対策を講じなければ、イエメンの3000万人の半分以上がCovid-19に感染する可能性があると予測した。
●イエメンで最初のCovid-19患者が4月10日にハドラマウト州のアルシールで確認されて以来、しばらく感染が報告されてこなかった。これに関して、アデンの保健所の情報筋は、2015年以降、イエメンの医療システムは崩壊しており、コレラやデング熱の患者を救うことはできず、広範囲にわたるCovid-19の発生に対処することができないと語った。南部暫定評議会(STC)が自治を宣言したアデンでは、5名の感染および2名の死者が報告され、さらに追加の感染者も報告されている。
https://www.middleeasteye.net/news/coronavirus-yemen-official-aden-mistrust-warnings-outbreak

Posted by 八木 at 15:46 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

独は初めてヒズボラ全体をテロ組織と認定し、独国内での活動を禁止[2020年05月06日(Wed)]
4月30日、独内務省は、レバノンのヒズボラならびに関連組織の独国内での活動を禁止する命令を発出し、関連施設の捜査を開始した。ヒズボラのナスラッラー書記長は、独の決定は政治的であり、ヒズボラは、欧州内にいかなる組織も有していないと反論した。

(参考1)独内務省プレスリリース骨子(2020年4月30日)
●4月30日、ホルスト・ゼーホーファー内務大臣は、ドイツでのシーア派テロ組織ヒズボラ(「神の党」の意味)によるすべての活動を禁止した。30日午前6時に、警察当局はベルリン、ブレーメン、ミュンスター、レックリングハウゼン、ドルトムントなどの都市の施設を捜査した。
●ヒズボラに対する禁止命令は、民間団体協会法(Vereinsgesetz、VereinsG)のセクション15(1)およびセクション18のセンテンス2とともに、セクション3(1)に基づいている。ヒズボラの活動は刑法に違反し、組織が国際理解の概念に反対しているためである。ヒズボラは外国の組織であるため、組織自体を禁止および解散させることはできない
●禁止を課す命令によると、ヒズボラのシンボルを公に、集会で、またはたとえば印刷物、音声または視覚資料で使用することは禁止されている。さらに、民間協会法の適用範囲で利用可能なヒズボラの資産は差し押さえられ、ドイツ連邦共和国の利益のために没収される。
●禁止の発令に責任を負う当局として、連邦内務・建設・コミュニティ省は、ヒズボラがイスラエル国の暴力的排除を公然と呼びかけ、イスラエル国の生存の権利に疑問を投げかけている。したがって、その組織は、それが政治的、社会的、または軍事的な構造として活動しているかどうかにかかわらず、基本的に国際理解の概念に違反しているとみなしている。
●ドイツの治安当局は、ヒズボラなどのテロ組織を取り締まり、ドイツでの活動に対して厳格な措置を講じるために、法の支配のすべての利用可能な手段を行使している。今日施行された禁止に加えて、これにはドイツを拠点とする下部組織の捜査が含まれる。
●この禁止令が発表されたときにドイツの潜在的な下部組織の証拠が隠滅されないようにするために、今日の午前6時、ノルトラインヴェストファーレン州、ブレーメン、ベルリンの警察当局は、合計4つの協会施設と各協会のリーダーの住居の捜査を行っている。捜査対象の協会は、テロ組織に対する財政的支援と宣伝のため、ヒズボラの一部を形成しているとの疑惑がもたれている。
https://www.bmi.bund.de/SharedDocs/pressemitteilungen/EN/2020/04/ban-of-hizb-allah-activities.html;jsessionid=7ED4FA5C84E743F7A76B019D39DD2DBD.2_cid364
https://www.dw.com/en/german-government-bans-hezbollah-interior-ministry/a-53287126

(参考2)ナスラッラー・ヒズボラ書記長の反論(5月4日)
●5月4日、ヒズボラのハッサンナスラッラー書記長は、アル・マナール衛星チャンネルでのスピーチで、ドイツ当局によるモスクやレバノン人の住宅への強制捜査を非難するとともに、今回のドイツの決定は政治的であり、イスラエルと米国を満足させることを目的としている、ヒズボラは欧州のいかなる国にも世界のどの国にも(関連)組織を持たない、ドイツに組織を有していないという時に我々は100%正直であると強調し、海外のレバノン人はイスラエルに対する抵抗を支持し、ヒズボラとは何の関係も有してないと述べた。
https://english.almanar.com.lb/1021935
(コメント)ヒズボラは、軍事部門のみならず民生部門、政治部門を有するレバノンの多面性を有する組織である。1982年のイスラエルのレバノン侵攻を契機に誕生し、イスラエルへの「抵抗」活動をスローガンに活動を継続してきている。レバノンの民兵組織としては、イスラエルへの「抵抗」を理由に唯一武装解除を免れ、政治組織としては、1992年のレバノン総選挙で128議席のうち12議席を獲得して以来、レバノンの議会に参加しており、2018年の選挙でもヒズボラ・ブロックは13議席を有している。レバノン内閣にも歴代閣僚2名を送り込んでいる。2013年、EUはヒズボラのいわゆる「軍事」部隊をテロ組織としてリストアップしたが、政治部門は、指定を免れてきた。EU内では、オランダと英国が、ヒズボラ全体をテロ組織にしており、ほかには、イスラエル、米国、カナダ、ホンジュラス、パラグアイ、アルゼンチンが同様の立場をとっている。米国は、まだオバマ大統領時代の2015年12月、ヒズボラへの金融制裁を強化するための法律HR2297を成立させている。湾岸諸国は、2016年2月にヒズボラをテロ組織に指定し、その立場は、翌3月のアラブ内相会合でも一部の国の留保はあったものの、エンドースされた。すなわち、アラブ諸国の多数は、依然アラブ諸国の一部を占領しているイスラエルとの戦闘を、もはや「抵抗」活動とは認めず、米、イスラエルとともに、イスラエルへの敵対行為を「テロ」行為であるとの立場をとったことになる。それは、GCCがヒズボラをイランの傀儡であるとみなし、旧来の敵であったイスラエルよりもイランを脅威と見だしたことを意味する。
独の今回の措置に対して、イスラエル、米国政府、米国ユダヤ人委員会、サウジは歓迎している。ヒズボラに対して、従来慎重な対応をとってきた独がなぜ、このタイミングで、イスラエル、米国と同じ立場を打ち出したのか。イスラエル軍筋は、過去1か月でシリア国内のイラン部隊関係の拠点を少なくとも5回攻撃しており、イラン部隊がシリアからの一部撤退を開始したことを明らかにした。ロシア国内のプーチン大統領に近いメディアからは、アサド大統領の再選の見通しが低いとの世論調査結果も発表された。4月10日、米国国務省は、ヒズボラのイラク駐在の重要人物であるムハンマド・カウサラーニの活動、ネットワーク、および仲間に関する情報に対して最高1000万ドルを提供すると発表した。これら一連の動きは、イランのイスラム革命防衛隊コッズ部隊司令官カーセム・ソレイマーニの殺害後のタイミングをとらえてヒズボラへのイランからの補給路に位置するシリアとイラクにおけるヒズボラの支援者とネットワークに打撃を与えようとの狙いが感じられる。独が、米、イスラエルの意向を受け入れ、ヒズボラの孤立化に舵を切ったとすれば、プーチン大統領を含め、この地域の主要プレイヤーが、アサド後をにらんで、今後のシナリオを共有し始めた兆しともいえ、今後のシリア・レバノン情勢は、要注視段階に入ったといえる。

Posted by 八木 at 14:19 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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