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このタイミングでサウジの有力王室メンバー3名を拘束したMBS皇太子の意図[2020年03月07日(Sat)]
サウジの事実上の最高権力者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(34歳)は、サルマン国王の弟で叔父であるアハマド・ビン・アブドルアジーズ王子といとこのムハンマド・ビン・ナーイフ元皇太子兼元内相ならびに元皇太子の弟ナワーフ・ビン・ナーイフの3人の有力王室メンバーを拘束した。NYTやWSJ、MEEなどの報道によれば、拘留の事実は、3月6日王室のメンバーと王室に近い人物によって明らかにされた。彼らは皇太子について公に発言することにリスクがあるため、匿名を条件に話した。元米政府高官も拘留の事実を確認した。サウジ政府は拘束の事実を公表しておらず、ワシントンのサウジ大使館はコメントを避けた。

(コメント)今回逮捕されたアハマド王子は、サルマン現国王と同じ初代アブドルアジーズ国王の36名の息子のひとりでサルマン国王の弟であり、MBSへの権力一極集中を批判してきた有力王族である。また、MBN元皇太子は、内相としてインテリジェンス協力を通じて米国との強い信頼関係を築いていたが、トランプ政権の誕生後、MBS体制の強化を支援する米国に見放された形で、2017年6月21日、王宮内でいきなり閉じ込められ、国王から退位を迫られて、やむなく皇太子の座を明け渡した。MBS皇太子は、2017年11月にリッツ・カールトン・ホテル内に汚職・腐敗の容疑で王室の有力者や国内の有力ビジネスマン200-300名を軟禁し、私的財産を支払った者から解放するという手荒い手段を行使した。MBSは数十億ドルを手にしたとされる。軟禁者の中には、世界有数の富豪といわれたワリードビン・タラール王子や、前アブドッラー国王の息子で国家警備隊長を務めたムトイブ王子も含まれていた。2017年MBNの内相解任とムトイブの国家警備隊長解任で、MBSは、自身が長を務める国防省に加え、サウジの重要な治安機関2つを事実上影響下に収めることになった。MBSは、世界最大の国営石油会社アラムコを支配し、さらにサウジの経済発展プランであるビジョン2030を打ち上げ、治安・経済両面で権力を独占し、サルマン国王の後継者として国内での地盤固めを進めてきた。
権力をほぼ独占するMBSが今のタイミングで、3名の有力王族拘束に踏み切った理由は想像するしかないが、あえて推察すれば、@84歳と高齢のサルマン国王存命中に、自分の王位継承の脅威となる有力王族の影響力を削いでおく、A2018年10月2日のイスタンブールのサウジ総領事館で起きたサウジの有力ジャーナリストのジャマル・カショギ氏の殺害について、世界各国からのMBS皇太子の関与の疑惑にもかかわらず、トランプ政権がサウジとの巨大なビジネス関係を理由に、MBSの疑惑追及の動きを遮断してきたため、MBSはサウジ国内政治上は決定的な影響を受けずに済んできたが、秋の米国大統領選挙で、民主党候補がバイデン元副大統領になる可能性が高まり、必ずしもトランプ大統領の勝利とならない可能性が出てきたため、保険をかけて、サウジ国内で、自身へのライバルとなりうる有力王族の芽を早めにつぶしておく必要が出てきたこと、Bサウジがメッカ、メディナという二つのイスラム教の聖地の保護者として、世界中のムスリムの求心力を確保してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大ですでに小巡礼(ウムラ)が一時中止に追い込まれており、7月末からの大巡礼(ハッジ)で200万人を超える巡礼者への感染が発生し、ハッジが大混乱に陥れば、自身の責任を追及されることにもなりかねず、この観点からも有力王族を退ける必要に迫られた可能性がある。本年G20の議長国でもあるサウジの内政の展開は、今後とも注視する必要がある。

Posted by 八木 at 11:42 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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