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トルコ・ロシア首脳会談前にハイレベルの米代表団をシリア反体制派の拠点イドリブ県に2011年以来初めて招き入れたエルドアン大統領の意図[2020年03月05日(Thu)]
3月5日、エルドアン大統領がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談する。2015年11月のトルコ軍機によるロシア軍機撃墜の後、両国関係は冷え切ったが、2016年6月にエルドアン大統領は、プーチン大統領に遺憾の意を表明し、同年8月以降、両首脳は、電話会談を含めて極めて緊密に連絡を取り合い、シリアにおけるアスタナ・プロセスをはじめとする具体的な緊張緩和のプロセスをともに進めてきた。しかし、2月下旬イドリブにおけるシリア軍機による空爆でトルコ軍兵士33名が殺害されたことで、エルドアン大統領の怒りは頂点に達し、トルコ軍は、シリア軍に猛反撃を加え、トルコ側の発表によれば、最新鋭のドローン攻撃機も使用しアサド政権軍勢力の2100名以上を殺害したとされる。こうした中、過去4年間の双方のトップの直接接触の歴史の中で、最も緊迫した直接会談が実施される。直前の電話会談では、両首脳間でこれまで例をみない怒号が飛び交ったとされる。

トルコは、2011年のシリアの内戦勃発以来初めて、シリア反体制派の最後の拠点であるイドリブ県に米国の高官を招き入れた。3月2日、シリア北西部のイドリブ県を訪問した米政府のハイレベルの代表団には、米代表団には、ジェームズ・ジェフリー・シリア特使、トルコ大使デビッド・サターフィールド、および米国国連代表部ケリー・クラフトが含まれていた。米代表団は、イドリブでの激しい戦闘を踏まえて、トルコに人道支援のみならず、軍事支援を提供する用意があることを確認した。トルコのハタイ県から陸路シリア領に入った代表団は、避難したシリア人に対する国際人道支援の進捗状況について説明を受け、イドリブ県のホワイトヘルメット等市民防衛のボランティアと会談した。シリア政権がロシアの支援を得て開始したイドリブ県での軍事作戦により、100万人近くが、戦闘が激化した過去3か月のうちにシリア北部の居住地からの国内非難を余儀なくされており、彼らがトルコ国境に集結している。トルコは、米国に対してパトリオット対空防衛システムの提供を要請し、米国はそれを検討していると報じられた。

(コメント)米国は、トルコがロシアの地対空防衛システムS-400の導入に、制裁もちらつかせて強硬に反対してきたが、トルコ・ロシア関係が悪化すれば、制裁をかけるまでもなく、S-400の取引が停止される可能性が出てきている。シリア難民については、エルドアン大統領が、欧州に向けたトルコ側の扉を開いたと宣言しており、これに対して、欧州の玄関口に位置するギリシャは、催涙弾、放水も使用して、難民の流入を実力で阻止しようとしている。EUもそれを全面的に支持している。2016年3月のシリア難民を巡るEUトルコ間の合意をまとめたメルケル独首相は、3月4日シリア北西部に「安全地帯」を設け、難民の流入をシリア側で阻止する必要性を訴えてたとされる。エルドアン大統領は、軍事的にアサド政権軍に圧力を加えるだけでなく、米軍の軍事支援の可能性をちらつかせ、欧州に対しては、トルコはもはやシリア難民を一国では支えきれないとして難民の欧州への移動を促す構えで、ロシアと欧州双方に圧力を加えている。一方、トルコも弱みがないわけではない。かつて、アサド政権の崩壊に向けてトルコとも手を組んだアラブ諸国も、リビア権益確保のため、とりわけUAEやエジプトは、ハフタル将軍への支援を通じて、トルコが支援するシラージュ政権に軍事的圧力を加えている。ロシアがハフタル軍を支援していることもよく知られている。トルコ・ロシア首脳会議で、エルドアン大統領は、イドリブの状況をシリア軍の攻勢開始前の状況に戻して、停戦を維持すべきとの立場であり、一方、アサド政権を支えるロシアのプーチン大統領は、トルコがアルカーイダ系のシャーム解放機構の行動を本気で抑制しようとしていないとして、テロリストの一掃を主張しており、両国の軍隊が直接戦火を交えるという選択肢はとらないまでも、プーチンとエルドアンが折り合うことができるのか正念場を迎えることになる。

Posted by 八木 at 18:29 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

世界中のイスラム教徒の振る舞いに影響を与えるコロナウイルスの感染拡大[2020年03月05日(Thu)]
世界各地での新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、イスラム教徒の礼拝や巡礼の実施に影響が出始めている。中でもサウジでは、巡礼月の定められた期間に実施する大巡礼(ハッジ)以外の期間に実施される小巡礼(ウムラ)が一時的に禁止され、本年7月の大巡礼も予定通り実施できるのか不安が生じはじめている。また、中東や中央アジアで、例年3月21日に実施され、クルド人などが春の来訪を祝福するネイルーズ祭の中止も懸念されている。最新の中東における感染者数と死者数の国別リストは、末尾のURLのMEE記事の一覧表参照。この中で、3月4日現在、イランが感染者2992、死者92と突出しているものの、隣国イラクでは2人目の死者が発生し、また、イタリアとの結びつきが強いアルジェリアで、感染者数が17に拡大している。
サウジ:国営サウジ報道機関(SPA)によると、王国は小巡礼(ウムラ)を禁止し、外国人がイスラム教の最も神聖な場所を訪れるのを一時停止した。先週、サウジアラビア当局は、外国人が聖なる都市メッカとカーバ神殿、大モスク(マスジド・ハラーム)の中心にある建物を訪れることを禁止し、メディナの預言者ムハンマド・モスクへの巡礼も禁止した。3月4日には、サウジ住民と市民の「ウムラ」を禁止した。SPAによれば、これらの決定は、定期的に見直され、状況が変化した場合には取り消されるとのこと。ただし、現時点では、禁止措置の期限は設けられていない。ウムラは、数時間で完了することができる巡礼であり、年に何回でも行うことができる。これは、より集中的かつ時間のかかる大巡礼(ハッジ)とは異なる。通常メッカに約300万人が来訪する今年のメッカ巡礼は、7月28日から8月2日に行われる予定で、当局はまだ制限措置を発表していない。今年の大巡礼にはすでに60,000人以上が参加を申し込んでいる。サウジでは、3月4日時点で2件のコロナウイルス感染例が報告されている。

観光ビザ所持者の入国停止:サウジ外務省は、声明でCOVID-19の「危険な発生」がある国からの訪問者は、一時的に入国が禁止されるとしたが、サウジへの旅行が禁止される国を指定しなかった。しかし、サウジ政府にリンクされているアル・アラビーヤのオンライン・サイトには、次の国がリストされている。
(リストアップされた国名)
アフガニスタン、アゼルバイジャン、中国、香港、インドネシア、イラン、イタリア、日本、カザフスタン、マカオ、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、ソマリア、韓国、シリア、台湾、タイ、ウズベキスタン、ベトナム、イエメン。

サウジ外務省は、湾岸諸国民の国民IDカードでのサウジへの渡航は禁止した。ただし、禁止には例外があり、すでに海外にいるサウジアラビア人、および現在サウジアラビアにいて、国民IDカードを使用して退去したいGCC市民は含まれない。この措置は一時的なものであり、最新の動向に従って定期的に見直されるとのこと。同省は、感染症が大量発生した国への自国民の渡航自粛を勧告止した。渡航勧告には、日本、イタリア、トルコが含まれる。国立疾病予防センターは、「健康と安全を守るために、必要な場合を除き、すべての市民と居住者に注意を払い、イタリアと日本への旅行を避けるよう促す。このアドバイスは、両国での症例の継続的な検出によるものである」とし、いまだ感染者が報告されていないトルコについても「コロナウイルスの最近の広がりと、旅行者、特に多数の症例がある地域から来た旅行者に対してトルコ当局が講じた予防措置により、大使館は、サウジの市民に不要不急のトルコへの旅行を延期するよう促している、すでにトルコにいる市民には、警戒し、混雑した場所を避け、サウジアラビア保健省が発行する予防アドバイスに従ってウイルスから身を守るよう勧告する。」
イラン:イランはコロナウイルスの封じ込めに苦労しており、毎日感染者と死者が増加し、4日夜の時点で、感染者数2,922と死者92であった。すべての州都での金曜礼拝は中止された。
シンガポール:The Straits Timesによると、シンガポールのイスラム担当大臣マサゴス・ズルキフリは、イスラム教徒に自分自身の礼拝用のマットをモスクに持ち込み、握手を避けるよう助言し、「今のような状況では、私たちは握手しない。しかし、そうする場合は、手を洗い、顔に触れないようにしてもらいたい。これは、常にそれを忘れている私たちの多くにとっての予防策である」 。数千人が集まるモスクで礼拝者の体温を測ることはロジスティック的に困難であり、マサゴス大臣は、コロナウイルスの症状を示した場合、イスラム教徒は家に留まるべきだと発言した。シンガポールではコロナウイルスの症例が100件以上あり、患者の大部分が回復した。
英国:英国最大のイスラム教徒傘下組織の1つである英国ムスリム評議会(MCB)は、政府のアドバイスに従って、イスラム教の施設に衛生アドバイスに従うよう呼びかけている。MCBはウェブサイトで、預言者ムハンマドのことわざに言及して、「このアドバイスの多くは、清潔さと衛生に重点を置いているが、イスラムの伝統と一致している。アブ・マリク・アル・アシャリは、アッラーの使徒は清潔さは信仰の半分を占める」と述べた。そして、マドラサ、または学校で手洗いを奨励するよう助言し、モスクには、特に汚染地域の近くで、十分な石鹸と手指消毒剤を用意すべきだと述べた。英国での感染者数は87人に増えた。
タジキスタン:人口9百万人でムスリムが半数以上を占めるタジキスタンでは、イスラム教徒は家で礼拝するよう求められており、金曜礼拝は中止されている。同国は、中国、アフガニスタン、そして韓国、イラン、イタリアとの往来を禁止した。タジキスタンでは、これまでに報告された症例はないが、3月21日から25日まで祝われるネイルーズまたはペルシャ新年の祝賀もキャンセルされた。
https://www.middleeasteye.net/news/saudi-arabia-coronavirus-umrah-ban-tourism-what-we-know
https://www.aljazeera.com/news/2020/03/muslims-advised-stop-coronavirus-spread-200304160256140.html
(中東における感染者数・死者数国別リストを含むMEE記事)https://www.middleeasteye.net/news/coronavirus-middle-east-north-africa-iran-outbreak-what-we-know

Posted by 八木 at 10:50 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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