CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
イスラム世界との結びつきを通じて、多様性を許容する社会の構築についてともに考えるサイトです。

« 2020年02月 | Main | 2020年04月 »

検索
検索語句
<< 2020年03月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
最新記事
最新コメント
タグクラウド
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
プロフィール

中東イスラム世界社会統合研究会さんの画像
日別アーカイブ
https://blog.canpan.info/meis/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/meis/index2_0.xml
リビアの東部政権との外交関係再開でトルコにさや当てするロシアが支えるアサド政権[2020年03月02日(Mon)]
シリア国営通信SANAによれば、3月1日、ダマスカスでワリード・アル・ムアッレム副首相兼外務大臣は、アブドル・ラハマン・アル・アヒレシュ副首相およびリビア東部政権のアブドル・ハーディ・アル・ハワイジ外交・国際協力大臣を含むリビア(東部政権)の公式代表団を迎えて、会談した。
会談後、両政権間の外交使節本部および領事館の再開と、域内ならびに国際場裡における両国間の立場の調整、就中、両国が直面するトルコの干渉と攻撃に対して立ち向かい、その拡張主義と植民地政策を暴露し、さらにあらゆる分野での協力を強化するための覚書に署名した。
ムアッレム外相は声明の中で、テロ、傭兵、トルコの侵略を含む両国が直面している課題に立ち向かい、両国民をこれらの脅威から救うために調整することを目的とした双方の協議が実りあるものであったことを確認した。ムアッレム外相は、双方の外交関係はトリポリのシリア大使館がトリポリでまもなく開設されるまでの間、各ダマスカスとベンガジで一時的に再開されると指摘した。アル・ハワイジ外相は、共通の課題に直面している両国、両国政府、両国民の間の外交的および経済的関係を再開することの重要性を確認した。1日に署名された覚書には、両国間の46の共同協力合意が含まれており、それが直ちに適用されることを示唆した。
https://www.sana.sy/en/?p=187087

(コメント)2011年にアラブの春でカダフィー政権が崩壊したリビアは、国際社会からの同国の安定と国民和解のための様々な取り組みにもかかわらず、いまだ、国内のあらゆる勢力に支持された統一政府が樹立しておらず、国連から承認され、トルコやカタール、イタリアなどが支持するトリポリを拠点とするシラージュ暫定政権と、リビア国民軍(LNA)のハフタル将軍が支え、エジプト、UAE、ロシア、仏などが支援するトブロクを拠点とする東部政権が互いを正式政府と認めず、対立する構図が続いている。2019年4月から外国からの支援を受けたハフタル軍が、トリポリに向け進軍を開始し、紆余曲折を経ながら、2020年1月19日、ベルリンにリビア問題関係国が参集し、リビア危機への対応が話し合われ、会合終了後合意文書が署名された。同合意では、とりあえず、トリポリを拠点とするシラージュ暫定政権と東部を支配するハフタル将軍率いるレバノン国民軍(LNF)間の停戦、諸外国の武器禁輸等を監視し、実施をフォローするための軍事委員会の設置とそのメンバー5名ずつの指名が実現した。しかし、両者とも、国連安保理決議、ベルリン合意に反して、外国からの軍事的支援を受けていることが明らかになり、同合意は早くも有名無実化している。カダフィー後の旧リビア政府は、2012年2月、ダマスカスのリビア大使館を閉鎖し、以来、シラージュ政権が誕生した後も大使館はダマスカスに復帰していない。今回、シラージュ政権と対峙するハフタル将軍が支える東部の国際的に承認されていない政権が、アサド政権との外交関係の再開と大使館の暫定設置に合意したということになる。トルコは、シラージュ政権と昨年11月末治安・安全保障協定と、海上境界線設定協定の両方を結び、ハフタル軍の侵攻に苦しむシラージュ政権を助けて、トルコ軍とトルコが支えるシリア反体制派民兵部隊をトルコに派遣している。2月23日には、前日のエルドアン大統領のトルコ兵殺害を認めた発言を受け現地メディアが、トルコ兵16名とシリア反体制派傭兵100名が殺害されたと報道した。2月27日にシリアの反体制派の拠点イドリブで、トルコ軍兵士33名がアサド軍の攻撃で死亡した報復として、トルコは、シリア政府軍に大規模軍事攻勢をかけており、こうした中、3月1日にリビアの東部政権とアサド政権が外交関係の再開に踏み切ったことは、ハフタル軍とアサド政権軍の両方に軍事的圧力を加えるトルコ軍に対して、両政府が共同で対処し、トルコの狙いを阻止しようとの思惑があるとみられる。双方の接近は、ロシアが仲介したことに間違いない。ロシアのプーチン大統領は、ハフタル将軍支援のためにロシアの傭兵をリビアに送り込んでいたと伝えられており、ロシアとトルコがリビア戦線とシリア・イドリブ戦線の両方で同時に綱引きを行っていることが認識される。

Posted by 八木 at 15:18 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

中東におけるコロナウィルス感染の拡大状況(3月1日現在)[2020年03月02日(Mon)]
3月1日現在、コロナウィルス感染者は、イランで千名近くに達しており、死者の数も54名と、中国に次ぎ世界第二位となっている。周辺のイラク、クウェート、バーレーン、カタール、オマーンでも感染の増加が確認された。
1.イラン 感染978件 死亡54名(死者数が一日で11名、感染数が385件増加した。2月21日の国会議員選挙で当選した1名が死亡した。すべての学校が、2月29日から3日間閉鎖されることとなった。2月27日、イラン当局は中国人の入国を禁止した)
2.イラク 感染19件 (前日から6名増加。2名はバグダッド、4名はソレイマーニーヤ在住。6名すべてイランからの帰国者)
3.クウェート 感染46件(前日から1名増加。感染者のほとんどは、イランに渡航して戻った人たちか、彼らと接触した人々。)
4.バーレーン 感染47件(6名の感染増加。うち3名は、イランから第三国経由で帰国したバーレーン国民。バーレーン政府は、イランへの渡航を禁止している)
5.UAE 感染21件(イタリア人選手2名の感染が確認されたため、UAEでのサイクリング競技会中止。UAEは自国民のイラン、タイへの渡航を禁止)
6.オマーン 感染6件 (イランへの渡航者2名が新たに感染確認。先に感染した1名が回復)
7.カタール 感染3件 (2月29日イランからの帰国者1名初感染者確認。さらにイラン渡航者2名追加感染確認)
8.イスラエル 感染4件 (変化なし)
9.レバノン 感染10件(イランからの帰国者3名増加。中国、韓国、イラン、イタリア4か国からの入国禁止)
10.エジプト 感染1件(変化なし)
11.アルジェリア 感染1件(変化なし)
https://www.middleeasteye.net/news/coronavirus-middle-east-iran-israel-kuwait-bahrain-iraq-uae

Posted by 八木 at 11:22 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

緊迫するイドリブ情勢と、シリア難民を対欧州のカードに使用するエルドアン大統領[2020年03月02日(Mon)]
シリア北西部のシリア反体制派の拠点イドリブ情勢が緊迫している。イドリブ解放をロシア軍の支援のもと軍事攻勢を強めてきたアサド政権軍の攻撃で、2月27日緊張緩和地帯を移動中のトルコ軍兵士33名が死亡したことへの報復として、トルコ軍は、アサド軍への反撃を開始し、アサド軍陣地多数が破壊され、死者も増えている。トルコのアカール国防相は、今回の軍事作戦を「春の盾」と、命名した。トルコ側の発表では、1日現在シリア政府軍側の死者は2212名とのこと。一方、2月以降のトルコ軍兵士の死者は55名とのこと。3月1日には、トルコ空軍のF16戦闘機がアサド軍のスホイ24戦闘機2機を撃墜し、地対空防衛システム3基を破壊し、ネイラブ空軍基地を空爆した。トルコ軍に支援されたシリア反体制派は、反撃に転じアサド政権軍が一旦解放した9つの村を奪還したとされる。一方、アサド軍は、イドリブ上空に飛行禁止を宣言し、空域を侵犯する航空機、ドローンを撃墜すると宣言した。アサド軍は、1日には、トルコ軍のドローン3機を撃墜したとされる。
アサド軍を支援するロシアのラブロフ外相は、2月28日、シリア政府軍がイドリブ県のテロリストを抑圧する権利を有しており、それを防ぐことはできないと述べた。これに対して、2月29日トルコのエルドアン大統領は、ロシアのプーチン大統領に、ロシア軍がトルコ軍のシリア政府軍との戦闘を妨害しないよう電話会談で申し入れたことを明らかにした。また、エルドアン大統領は、トルコが抱えている難民の欧州への移動の扉を開放すると述べ、欧州がイドリブでの戦闘激化、あるいは新たに発生する難民への対応を静観するのであれば、トルコは、2016年3月のトルコ・EU合意に縛られず、難民の欧州への移動の扉を開けると警告した。
(参考1) ラブロフ外相の発言(2月28日)
●シリア軍は、イドリブ地域で繰り返し行われている停戦違反に対応し、テロリストを抑圧するあらゆる権利を有している。シリア軍があらゆる形態のテロとの妥協のない戦いに関する国連安全保障理事会決議の規定を実施するのを止めさせることはできない。
●我々は、イドリブの緊張緩和ゾーンで履行すべきロシアとトルコの大統領によって達成された合意への完全なコミットメントを再確認する。同ゾーンにおいてテロリストからの通常の反体制派を分離させ、そこからシリア軍の陣地とロシア軍基地を砲撃しているゾーンの内側のベルトを非武装化し、そのゾーンを通過する高速道路の通行が妨げられない使用を確保する必要がある。これらが、トルコのカウンターパートとの間の共通の目標であることに変わりはない。事態が1年半の間適切に機能しなかったため、いまこそ合意の履行を開始することが極めて重要である。
https://tass.com/politics/1124861
(参考2)エルドアン大統領のAKP議員団に対する発言要旨(2月29日)
●ロシアのプーチン大統領に、トルコ軍が直接シリア政権軍と戦うことができるようにすべきだと要請した。ロシアは我々の意図を理解できていないようだ。
●トルコはその領土を拡大するための冒険や機会を求めているのではなく、単にアサド政権に対峙することで領土の一体性の保護しているだけである。テロリストを国境から一掃しないと、後でトルコ内でより大きな戦争を戦わなければならないかもしれない。
●トルコ軍はイドリブの南でのアサド政権軍の包囲を完全に破ることができ、そのような大規模な軍事行動をトルコに押し付けたのはアサド政権である。
●2月28日夜に行われた電話会談でプーチン大統領とトランプ大統領の双方に、ロシアと米国は、トルコとの国境からPKKと同根のクルド人民防衛隊(YPG)とその武器を除去する計画に同意したにもかかわらず、両国はトルコに対するこの地域の約束を履行しなかったと伝えた。
●トルコ軍がシリア国内の7つの化学物質関連貯蔵庫と94台の戦車を含む300近くの軍用車両、飛行場、弾薬庫、防空システム、格納庫等を破壊し、2,100人以上のアサド政府軍兵士を殺害した。
●トルコは難民がEUに入るために扉を開けたままにする。難民がトルコから欧州に移動できるようにする。新たに戦争で荒廃したシリアから逃れる人々の新しい波をトルコはもはや扱えない。体制の暴力から逃れるためにトルコの国境に向かって移動する約400万人と150万人のシリア人がすでに国境付近にいる。EUは、欧州連合がトルコの難民の財政的負担を分担するために2500万ユーロを割り当てるという約束を守らなかった。我々は難民の新たな流入に対処することはできないが、それらの人々をアサド政権の慈悲に任せることもできない。2月28日、我々は何をしたのか。我々は扉を開けた。我々はそれらの扉を閉めないだろう。何故か。それはEUが約束を守るべきだからである。
https://www.dailysabah.com/politics/diplomacy/russia-should-stay-out-of-turkeys-fight-against-assad-regime-erdogan-tells-putin
(参考3)不規則移民のトルコから欧州への移動
スレイマン・ソイル内相によれば、トルコから欧州に向け移動する不規則移民の数は、3月1日の夜の時点で100,577人に達している。移民は、ギリシャとブルガリアと国境を接するエディルネ県北西部を通ってトルコ領を出ようとしている。しかし、ギリシャ側は境界のフェンスを閉ざして、催涙ガスや放水を使用し、その流入を阻止しようとしている。移民はそれでも欧州への移動をあきらめず、繰り返し境界のエブロス川をボートで渡ろうとする試みも行われている。1日夕の段階で、ギリシャ当局は、ギリシャ領にたどり着いたトルコからの難民数は73名と発表したが、トルコ側は、10万人以上と見解が大きく離れている。
https://www.aa.com.tr/en/turkey/over-100-500-migrants-leave-turkey-to-reach-europe/1750484
(コメント)トルコは、2017年に開始されたアスタナ・プロセスを通じて、シリアの国内での停戦と緊張緩和を共に実現してきたパートナーであるロシアに対して、イドリブ県でのアサド政権軍による軍事攻勢を止めさせ、イドリブをアサド軍の侵攻前の状態に戻すよう求め、アサド軍の軍事攻勢をロシアが止めさせないのであれば、実力を行使すると宣言し、F16戦闘機も投入して、シリア政権側陣地を破壊し、アサド政権軍を押し返そうとしている。トルコは、一方で、イドリブから新たに大量の難民が発生しようとしている危機感をプレイアップするため、トルコがすでに国内に抱えている難民の欧州側への移動を促す措置を取り始めており、イスタンブールからギリシャ国境付近までのバスの無料移送さえ開始していると報じられている。トルコからの難民が多数押し寄せているギリシャ国境付近では、ギリシャ当局が難民を実力で追い払おうとしており、現場での混乱が広がっている。今後の注目点は、第一に、トルコストリーム・パイプライン建設や、ロシア製原発プロジェクト、観光貿易面やトルコによるロシア製対空防衛システムS400の導入等過去4年間、急速に二国間関係を強化してきたトルコとロシアの両首脳が、経済的恩恵を台無しにしてまで、軍事的対立を深めるのか、あるいは妥協するのかであり、第二に、2016年3月にメルケル独首相が、エルドアン大統領との間でまとめたシリア難民に関する合意にかかわらず、トルコが難民の欧州側への移動を促した場合、EUは、合意の維持のためにトルコにいかなる果実を提供できるかである。コロナウィルス感染が中東を含め拡大する中、中東の火薬庫が再び火を噴くことを防ぐため、当事国の自制と緊張緩和に向けた国際社会のより大きな当事国への働きかけが求められる。

Posted by 八木 at 10:25 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

| 次へ