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トルコ・ロシア間の北部シリアに関する合意に留保を付すクルド人勢力[2019年10月25日(Fri)]
10月24日、シリア民主軍(SDF)のマズロウム・アブディ司令官はシリア北東部ハッサケで記者会見に臨み、北部シリアに関するトルコとロシアの合意に関して、クルドの人々の利益に役立たないいくつかの項目について立場を留保したこと、ならびにトルコ占領軍の傭兵が停戦に違反し続けていることに留意し、保証国にこれらの違反に対する責任を負うよう求めた。SDF司令官が、電話会談でトランプ大統領ならびにロシア軍首脳に伝えた感謝は、トルコの軍事作戦の停止により、多くのクルド人の更なる犠牲が避けられたという一点に関するもので、クルド人にとっての悪化した状態を、最悪の状態にならないよう歯止めをかけたに過ぎない。2015年1月に3か月の激戦のすえ、クルド人民防衛隊(YPG)がISIS戦闘員を駆逐して、対IS戦のシンボルにもなったコバネ(アラブ名:アイン・アルアラブ)や、2016年8月にやはり数十日の激戦を経てYPG主導のSDFが制圧したマンビジからは、SDFは撤退し、代わりにロシア軍部隊が進出した。クルド人政治勢力は、2013年11月トルコ国境沿いのシリア北部のアルジャジーラ、コバネ、アフリーンにロジャバcantonとよぶ自治機構を発足させ、2016年3月17日には、3つのcantonを統合した「連邦自治統治機構」発足を宣言した。しかし、2018年1月に開始されたトルコの越境攻撃「オリーブの枝」作戦で、シリア北西部のアフリーンをまず失い、今回の「平和の泉」作戦で中部のコバネ、マンビジを失い、さらに、トルコ・ロシア合意でイラク国境に続くトルコ国境から深さ30kmの緩衝地帯から排除されることで、北東部アルジャジーラを失うこととなり、対IS戦で、1万1千名の犠牲者を出しながら、シリアのクルド人の自治権行使の夢は、結局主要国のどこからも見捨てられ、潰えようとしている。このような状況下においても、クルド人は、SDFをシリア国軍の中に位置づけることで存続の可能性を探るとともに、シリア東部のユーフラテス川沿いのオマル油田等の権益に関心を有するトランプ大統領とのパイプを維持し、米、ロシア、アサド政権間のかじ取りの中で、トルコの圧力に対抗していこうとしている。
(参考)アブディSDF司令官記者会見主要点(10月24日、於:ハッサケ)
1. トルコとの合意
●合意は存在しない。あるのは、トルコ国家の一派が違反して、今も攻撃を続けている「停戦」があるのみだ。保証国に攻撃を止めさせ、これらの違反に対する責任を負うよう求める。
2. 米国への期待
●米国はトルコの攻撃を軍事的に阻止しなかった。トルコによる攻撃をやめさせるよう強制させることに、ある程度肯定的に機能する制裁を課すことで経済的および外交的にトルコの攻撃を阻止することを望む。トルコの攻撃は続いている。これは米国とトランプ大統領の責任である。一方、シリア東部では米国人との関係は続いており、米国が過去の過ちを避けるように要請する。
●トランプ米国大統領との電話会話において、米国がトルコの攻撃を阻止しようとしたことに謝意を表明した。トランプ大統領は、米軍はこの地域で再展開しているとして、長期にわたる無期限の米軍の駐留を保証した。特にISIS傭兵のスリーパー細胞を除去する過程における次のステップと双方の協力方法について話し合っているところだ。
●シリアの解決策を見出だすことができる一つだけの勢力はない。米国の存在は政治的解決策を見つけるのに効果的であり、トランプ大統領はそれを確認した。
3. 国内避難民の発生
●この地域に対するトルコの攻撃の結果、この地域の40万人近くの住民がトルコ軍の都市への爆撃により国内避難を強いられることになった。
4. トルコとロシア間の合意に関する見解
●本日、ロシアに最終回答した。ソチ合意において留保する項目と我々の要求を伝えたトルコ・ロシア合意は、我々の利益に反して結ばれたもので、我々はその当事者ではなく、我が人民の利益がより重要である。
5. トルコ・ロシア共同パトロールについて
●共同パトロールがコバネ、マンビジ、およびディルバシーヤで行われるが、我が人民に関する事項が議論され、それらは、我が人民とその意思を守るための武力もないまま彼らを置き去りにすることはない
6. ISIS戦闘員の拘束維持
●カミシリ市のISIS傭兵が収容されている刑務所の1つに対するトルコの爆撃の結果、5人の傭兵が逃亡したISIS傭兵を収容するすべての刑務所は、(クルド側の)管理下にあり、誰も逃亡していない
ISIS傭兵とその家族の被拘束者ファイルはSDFの手にあり、彼らはその地域でSDFを支援した国々とのみ協力して責任を負い、将来はそれがシリア北東部に存在する勢力の責任となる。トルコもロシアもアサド政権もこれを心配していない。
7. SDFの今後の立ち位置
SDFがシリア国軍内で干渉をうけないことを条件に、シリアの政治的解決策を支持し、その立場を維持する。我々は、我々を支持してくれたすべての国々、米国議会、そして我が人民を支持してくれた人々に感謝する。クルドの政治勢力にSDFを支持するよう呼びかける。わが勢力の存在で勝利を得る大きな機会が存在する。
8. トルコとの関係
●我々は、トルコを決して信用していない。彼らは機会があれば攻撃を続ける。トルコの攻撃はまだ進行中であり、我が人民の未来は危険にさらされている。国際社会からの支援の継続が戦争を終わらせ、この地域の我が人民を守ることを望む。
https://anfenglishmobile.com/rojava-syria/abdi-we-have-reservations-on-some-items-of-the-agreement-38729

Posted by 八木 at 10:50 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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