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【カショーギ殺害(トルコ・サウジ両国検事総長協議の結果)】[2018年11月01日(Thu)]
1.10月29日から3日間の訪問予定で、イスタンブール入りしていたサウード・アルモジブ・サウジ検事総長は、2度にわたるトルコ側検察当局との協議、総領事館現場視察、トルコの情報部MIT訪問を終え、10月31日帰国した。同検事総長の出発後、まもなく、トルコ側のイルファン・フィダン・イスタンブール検事総長は声明を発出し、次の2点を公に確認するとともに、「カショーギ氏の遺体の所在」と殺人事件の「地元の協力者」が誰かについて、さらにサウジ側が「暗殺計画段階について何らかの捜査結果を得ているかどうか」を書面で問い合わせたこと、犯行が行われたのはトルコ国内であり、18名の容疑者の裁判はトルコ側で行われるべきであるとの立場を改めて伝えたものの、具体的情報・回答は得られず、サウジ側からは、合同捜査のためイスタンブール検事総長はじめトルコ側捜査関係者のサウジ訪問の招待を受けたことを明らかにした。
(トルコ側イスタンブール検事総長が今回確認した点)
(1)被害者ジャマール・カショーギは、2018年10月2日に結婚手続きのためにサウジアラビア領事館に入った直後に、計画的に絞殺された。
(2) カショーギの遺体は計画的な方法で解体されて処分された。
2.以上のとおり、カショーギ氏殺害の捜査はサウジとトルコの腹の探り合いにより、両国検事総長間協議では、具体的進展がなかったが、米国のサウジへの1100億ドルにおよぶ武器売却取引と売却した武器がイエメン内戦でサウジ軍により使用され、市民にも被害をもたらすとの懸念から、これまで、イエメン内戦の終結に向けて積極的イニシアティブが示されてこなかったトランプ政権の重要閣僚2名から、イエメンでの停戦、政治協議再開に向けた極めて強いメッセージが発出された。30日マティス国防長官は、ワシントンD.C.の会合で演説し、長らく泥沼状態にあったイエメンの停戦を実現させるため、すべての関係当事者が国連特使の下、スウェーデンに集まり、30日以内に結果を出す必要があると強調した。米国務省もこれに呼応してポンペイオ国務長官がイエメンにおける敵対行為の停止と国連特使の下での政治的協議の再開を呼びかけ、11月中に第三国で開始するよう関係当事者に要請した(下記URLの国務長官声明参照)。https://www.state.gov/secretary/remarks/2018/10/287018.htm
カショーギ氏殺害事件を契機に、米国のみならず、英、仏、独、スペイン、カナダでもサウジへの武器売却の是非を問う議論が沸き上がっており、この関連で、2015年3月のサウジ主導のアラブ連合軍のイエメンへの軍事介入開始以来、解決の兆しが全く見えないイエメン内戦の停戦と政治協議の再開により、米国政府は、「死の商人」として武器売却に奔走しているわけではなく、国際平和のために尽力しているとの姿勢をアピールするとともに、イエメン和平の推進により、カショーギ氏殺害事件への関与が疑われているムハンマド・ビン・サルマン(MbS)皇太子への国際的な信頼回復を後押ししようとの狙いも看取される。

Posted by 八木 at 11:22 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)