世界中を驚かせ続ける覆面アーティスト「バンクシー」とパレスチナ・イスラエル分断の壁[2018年10月08日(Mon)]
神出鬼没で謎のストリートアーティストであるバンクシーがまた世界中を驚かせた。10月5日、ロンドンのオークションで、有名なバンクシーの2002年の作品である絵画「風船と少女」が104万英国ポンド(1億5千万円以上)で落札された瞬間、自動的にシュレッダーが起動して、絵画の下半分がズタズタに裁断されてしまった。これは、バンクシー自身が仕組んだもので、オークションの会場にカメラをしかけ、落札から裁断にいたる様子を撮影するとともに、どのようにシュレッダーを額縁に仕組んだかを示す映像を組み合わせ、インスタグラムにアップして、公表した。バンクシーは、自分の作品がオークションにかけられるのを望んでおらず、この行為にいたったと考えられている。この映像は、次のURLからアクセスできる。https://youtu.be/iiO_1XRnMt4
バンクシーといえば、本年8月に日本国内で、「バンクシーを盗んだ男」が公開された。舞台は、ヨルダン川西岸にあるキリストの生誕地といわれるベツレヘムである。かつては、何もなかったが、今ではパレスチナ人地区とイスラエル入植者地区を分断する高さ8メートル、全長450キロメートルを超える巨大な壁が聳え立つ。パレスチナ側の壁の一部にバンクシーが、「ロバと兵士」という壁画を描いた。この絵は一部のパレスチナ人の反感を買った。アラブ世界では、ロバは、アラビア語で「ホマール」と呼ばれ、重い荷をひかされたり、ごみ収集車を引かされたりしても、抵抗することなく、悲しい目で、飼い主に従うだけの存在として、忍耐強いがしばしば臆病者とみなされている。描かれた兵士は、パレスチナ人からみれば、パレスチナ人を手なずける占領者であるイスラエル人兵士と受け取られた。反発した地元のタクシー・ドライバーが壁面を切り取った。そして巨大なコンクリートの壁画はベツレヘムから海を渡り、美術収集家たちが待つオークションハウスへ送られるところからストーリーが始まる。この映画は、ストリートアートが現場を離れて、展示の方法や環境が変わってもその価値を維持できるのか、誰に所有権があるのか、著作権はどうなるのか等様々な疑問も提起している。
ところでバンクシーはパレスチナ人を侮辱するためにこの絵を描いたのではない。まさに、巨大な壁が、パレスチナ人が隔離状態におかれていることを壁画を通じて、この状況を放置している世界中の人々を啓発することが目的であったのは間違いない。その証拠として、バンクシー自身が壁のすぐ前のパレスチナ人居住地区側に、壁画や分離壁の向こう(イスラエル人居住地側)を眺めることができるホテル(THE WALLED OFF HOTEL)を2017年3月にオープンさせた。このホテルには、パレスチナ・イスラエル紛争について、議論できる部屋もあるとのこと。ホテルの様子は次のURLからアクセスできる。https://youtu.be/IHtcy0VLa7I
「ここ(ホテルには博物館やギャラリーも併設され、作品の盗難等を守るため宿泊者には1000ドルのデポジットを納める必要がある)に収められた作品は、パレスチナのコミュニティと彼らの闘争のために寄付した」と、バンクシーはネット上で明らかにした。壁は、人々の往来と交流を妨げる。交流が遮断されれば、相互理解もありえない。バンクシーの時に驚愕させるような行動も、現地の状況打開に動こうとしない国際社会に対するメッセージであるともに、紛争の一方の当事者であるイスラエルの人々にも向けられたメッセージであり、バンクシーは、イスラエルの人々にこそ、壁を越えて、このホテルに宿泊してほしいと述べている。
バンクシーといえば、本年8月に日本国内で、「バンクシーを盗んだ男」が公開された。舞台は、ヨルダン川西岸にあるキリストの生誕地といわれるベツレヘムである。かつては、何もなかったが、今ではパレスチナ人地区とイスラエル入植者地区を分断する高さ8メートル、全長450キロメートルを超える巨大な壁が聳え立つ。パレスチナ側の壁の一部にバンクシーが、「ロバと兵士」という壁画を描いた。この絵は一部のパレスチナ人の反感を買った。アラブ世界では、ロバは、アラビア語で「ホマール」と呼ばれ、重い荷をひかされたり、ごみ収集車を引かされたりしても、抵抗することなく、悲しい目で、飼い主に従うだけの存在として、忍耐強いがしばしば臆病者とみなされている。描かれた兵士は、パレスチナ人からみれば、パレスチナ人を手なずける占領者であるイスラエル人兵士と受け取られた。反発した地元のタクシー・ドライバーが壁面を切り取った。そして巨大なコンクリートの壁画はベツレヘムから海を渡り、美術収集家たちが待つオークションハウスへ送られるところからストーリーが始まる。この映画は、ストリートアートが現場を離れて、展示の方法や環境が変わってもその価値を維持できるのか、誰に所有権があるのか、著作権はどうなるのか等様々な疑問も提起している。
ところでバンクシーはパレスチナ人を侮辱するためにこの絵を描いたのではない。まさに、巨大な壁が、パレスチナ人が隔離状態におかれていることを壁画を通じて、この状況を放置している世界中の人々を啓発することが目的であったのは間違いない。その証拠として、バンクシー自身が壁のすぐ前のパレスチナ人居住地区側に、壁画や分離壁の向こう(イスラエル人居住地側)を眺めることができるホテル(THE WALLED OFF HOTEL)を2017年3月にオープンさせた。このホテルには、パレスチナ・イスラエル紛争について、議論できる部屋もあるとのこと。ホテルの様子は次のURLからアクセスできる。https://youtu.be/IHtcy0VLa7I
「ここ(ホテルには博物館やギャラリーも併設され、作品の盗難等を守るため宿泊者には1000ドルのデポジットを納める必要がある)に収められた作品は、パレスチナのコミュニティと彼らの闘争のために寄付した」と、バンクシーはネット上で明らかにした。壁は、人々の往来と交流を妨げる。交流が遮断されれば、相互理解もありえない。バンクシーの時に驚愕させるような行動も、現地の状況打開に動こうとしない国際社会に対するメッセージであるともに、紛争の一方の当事者であるイスラエルの人々にも向けられたメッセージであり、バンクシーは、イスラエルの人々にこそ、壁を越えて、このホテルに宿泊してほしいと述べている。
Posted by 八木 at 13:19 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)