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ドイツのための選択肢(AfD)をはじめ欧州主要国での「移民排斥」を掲げる政党の躍進[2026年09月07日(Mon)]
26年9月6日、ドイツ東部ザクセン・アンハルト州で、州議会選挙があり、移民排斥を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が主要政党を大きく引き離し、劇的な勝利を収めた。選挙管理委員会の暫定開票結果によると、AfDは得票率43.8%を獲得し、キリスト教民主同盟(CDU)は前回の半分以下の17.2%で惨敗した。英国では、やや勢いが衰えたものの、やはり移民排斥を訴えるリフォームUKが地方を中心に大きな勢力となっている。ファラージ党首は、9月4日、仏の国民連合のバルデラ党首と会談し、英仏海峡を渡る不法移民を根絶する覚書に署名している

(参考1)これまでのAfDの州議会選挙・国政選挙での躍進
独では、 24年9月1日に旧東ドイツのチューリンゲン州とザクソン州で、州議会選挙が行われ、移民や難民の排斥を主張する極右のAfD(ドイツのための選択肢)が躍進し、チューリンゲン州では、得票率32.8%で第一党となった(極右が主な選挙で第一党になるのは初めて)。ザクセン州では、AfDは30.6%を得票し、CDU(キリスト教民主同盟)に僅差で2位につけた。24年9月22日のブランデンブルグ総選挙でもAfD躍進(SPD 30.89%、AfD 29.23%で辛くも勝利)。そして、25年 2月23日に投開票された独総選挙では、保守系野党のキリスト教民主・社会同盟 (CDU・CSU)が得票率(28.6%)を獲得、議席数を208議席とし第1党となり、第2党となったAfDは152議席と躍進した。 ショルツ首相(当時)の社会民主党(SPD)は120議席と大幅に議席数を減らし、3番手に後退。
(参考2)25年5月6日に発足したフリードリヒ・メルツ新政権は翌7日、難民申請希望者の大半について、国境で入国を拒否する方針を打ち出した。以来、シェンゲン域内にも拘わらず、国境での検問を強化している。メルツ首相は、不法移民の流入制限と極右の台頭抑制を目指してきた。2025年5月28日、補完的保護対象者の家族統合を2年間停止するための閣議決定を行った。25年7月18日、メルツ政権は、81名のアフガニスタン人の強制送還に踏み切った。ジュネーブ難民条約ならびにその核心である「ノン・ルフールマン原則」に従い、独では、難民申請が却下された者を「安全でないとみなされる国」には従来強制送還しなかった。2024年8月30日、独ショルツ前政権は、 独で犯罪者と認定された28名のアフガニスタン人の強制送還に踏み切った経緯はある。2026年3月30日、メルツ首相は、シャラア・シリア暫定大統領との共同記者会見で、「シャラア暫定大統領が希望を表明したように、今後3年間で、現在ドイツに居住するシリア人の約80%が祖国に帰還すると見込まれている」と述べ、多数のシリア人の本国帰還を、シリア暫定政府との協力のもと、進める意向を明らかにした。
(参考3)英国でのリフォームUKの躍進
英国イングランドの地方議会選挙、スコットランドおよびウェールズの議会選挙が26年5月7日に行われた。イングランド地方議会選挙では、国政与党・労働党が1,498議席減の1,068議席、保守党が563議席減の801議席と、伝統的な2大政党はいずれも大幅に議席を減らした。一方、右派のリフォームUKは、総議席5,036のうち、1,452議席増の1,454議席を獲得する大躍進を遂げた(以上ジェトロ記事による)。ファラージ党首は、献金スキャンダルなどでやや向かい風が吹いていた議員をいったん辞任した後の2026年8月14日に投開票された下院補欠選挙で大差で勝利し、議員に再選された。ファラージ党首とフランスの極右政党「国民連合(RN)」のジョルダン・バルデラ党首は9月4日、両党が政権を獲得した場合、英仏海峡を小型ボートで渡る不法移民を根絶する覚書に署名した。ファラージ氏は英イングランド中部バーミンガムで開催したリフォームUKの党大会でバルデラ氏と並んで登壇し、「われわれは本日、両党および両国間における真の新たな『英仏協商(アンタント・コルディアル)』を開始する」と述べた。バルデラ氏はバーミンガムの党大会における英語での演説で、両国が共有する「文化と文明」を称賛し、英仏海峡を渡る不法移民を根絶すると表明し、「近年、エマニュエル・マクロン大統領はフランスを守ることに失敗してきた」「われわれが政権を握った暁には、フランスがこれ以上、英国に流れ込む不法移民の出発地とならないよう全力を尽くす」と述べた。
https://www.afpbb.com/articles/-/3651579
(参考4)ムスリムに対する不信感拡散による事件:英国全土で2024年7月末から8月上旬にかけて騒乱事件が発生した。きっかけは「ムスリムの不法移民の仕業」という偽情報であった。2024年7月29日、英イングランド北西部サウスポートで、少女3人がナイフで殺害され、さらに8人の子供と2人の大人が負傷した。その日遅く、17歳の容疑者、アクセル・ルダクバナは、英国での過去10年間で最悪の暴動事件に関与した疑いで逮捕された。容疑者は「ムスリム、英仏海峡を渡った不法移民」との噂となり、SNSでその情報が拡散され、暴動が拡大した。しかし、容疑者は、ウェールズでルワンダ人の両親のもとに生まれたキリスト教徒で、ムスリムではなかった。
(参考5)ロンドンにおける反イスラム・ヘイトの報告数:反ムスリムヘイト追跡機関「Tell MAMA」によるロンドンでの確認済みのヘイト報告数は、2021年以降6倍以上に増加した。2022年から2024年にかけて前年比で急増した後、2025年も歴史的に高い水準で推移し、2026年は上半期だけで既に2023年通年の合計件数を上回っている。
•2021年:反イスラム・ヘイトおよび偏見に関する報告 313件
•2022年:報告 818件
•2023年:報告 1,028件
•2024年:報告 1,819件
•2025年:報告 1,909件(年間合計として過去最多)
•2026年:上半期(1月1日〜6月30日)だけで既に1,031件を記録
https://tellmamauk.org/record-levels-reached-on-london-based-reports-anti-muslim-hate-reports/

(コメント)欧州では、移民排斥を掲げる極右政党が躍進を続けている。とくに、本年英国でリフォームUKが地方選挙で大躍進したことは記憶に新しいが、ドイツ東部ザクセン・アンハルト州の議会選挙で、極右政党「ドイツのための選択肢」が大躍進し、第一党となることが確実になった。ドイツでは、AfDはすでに国政で第二党になっているが、さらに勢力を伸ばしており、メルツ政権のCDU(キリスト教民主同盟)は、大惨敗を喫し、国政への影響も懸念されている。フランスの国民連合党首のバルデラ氏は、2027年の国民議会(下院)選で国民連合が勝利した場合、フランスの首相に就任することを目指している。英国の総選挙は解散がない限り2029年まで行われないものの、移民排斥を訴える政党の躍進で、欧州主要国の政権与党も「不法移民排斥」を表に掲げざるをえず、庇護申請者・不認定者の強制送還、EU域外での収容・審査など、不法移民に対する措置がますます厳しくなっていくのは間違いないといえる。

Posted by 八木 at 17:28 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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