トランプ大統領に嫌われる2人目の世界的ムスリム市長の誕生確実となる[2025年11月05日(Wed)]
現地時間11月4日投票が行われたニューヨーク市長選挙で、民主党の候補ゾーラン・クワメ・マムダニ氏の当選が確実になった。マムダニ氏は、無所属で立候補したクオモ前ニューヨーク州知事と共和党スリワ氏を大差で破り去る情勢となった。2月の投票率1%未満という劣勢からスタートしたが、わずか4ヶ月後、草の根運動を展開し、数万人を動員して市内100万戸以上を戸別訪問し、56%の得票率で予備選を制し、民主党の市長候補の座を奪い取った。マムダニ氏のカリスマ性、キャッチーな動画、そして「ニューヨーク市を誰もが住みやすい場所にする」という彼の強い思いを発信し、有権者の心をつかんだ。
1)マムダニ氏生い立ち:マムダニ氏はウガンダのカンパラで、ウガンダ系インド人の父とインド人の母の間に生まれた。父マフムード・マムダニ氏は著名な学者で、植民地主義と帝国主義について多くの著作を残している。父親は1946年、インドのボンベイ(現ムンバイ)で、インドのグジャラート州にルーツを持つタンザニア系イスラム教徒の両親のもとに生まれた。1979年にアミンが打倒されると、マフムードはウガンダに戻り、その後ケープタウン大学、ダルエスサラーム大学、マケレレ大学などで教鞭をとり、現在はコロンビア大学人類学部のハーバート・レーマン政治学教授である。マムダニの母、ミーラー・ナイルは、人種、ジェンダー、階級に関する従来の見方に異議を唱える、アカデミー賞ノミネート経験のある著名な独立系映画監督で、彼女は1957年、インド東部のオリッサ州でパンジャブ系ヒンドゥー教徒の家庭に生まれた。マムダニが7歳の時、家族はニューヨーク市に移住した。高校卒業後、マムダニ氏はメイン州ブランズウィックのボウディン大学でアフリカ系アメリカ人研究を学び、批判的人種理論家や反植民地主義作家フランツ・ファノンの作品などを研究した。また、学生新聞の編集者として働き、同意に関する意見記事を執筆した。マムダニ氏はまた、「パレスチナ正義のための学生」の大学支部を設立した。アラブの春でムバラク政権が倒れたあとの2013年には、カイロのアラビア語学校に通っていた。
2)選挙キャンペーン:2024年10月23日、マムダニ氏はニューヨーク市長選への立候補を表明した。運動開始当時当時「テレビカメラは1台もなかった」と述べ、何ヶ月もの間、誰も彼に注目していなかった。選挙活動では、ウルドゥー語、スペイン語、アラビア語で長編ビデオに出演し、イディッシュ語のチラシを配布した。また、イマーム(イスラム教指導者)、ラビ(ユダヤ教指導者)、ヒンドゥー教徒のコミュニティを訪問し、面談を行った。洗練されたソーシャルメディア戦略や支持層の戸別訪問作戦も成功し、支持率1%台からの番狂わせを演じたことになる。
3)訴えた政策:マムダニ氏は、ニューヨークに住むすべての人にとって住みやすい街にすることを最優先とする政策を掲げて選挙戦を展開してきた。彼の政策案には、100万戸のアパートの家賃凍結、20万戸の低所得者向け住宅の建設、高速バスの無料化、5歳未満児の保育料無料を含むユニバーサル・チャイルドケアなどが含まれている。「家賃を凍結」「全ての人に保育を」「バスを速く、無料に」が、マムダニ氏が、最も強く訴えてきたキャッチフレーズである。
4)政敵の反応:マムダニ氏の社会主義的な政治的傾向とイスラム教徒としてのアイデンティティは、テロリスト、反イスラエル、反警察、反米主義者との非難の中で、党派を超えた攻撃の標的となってきた。トランプ米大統領は、一貫して彼を「共産主義者」と呼び、当選した場合、ニューヨーク市への資金提供を削減する可能性を示唆してきており、最終版ではクオモ元州知事支持を表明した。彼の最大のライバルであるクオモ氏と現ニューヨーク市長のエリック・アダムズ氏は、選挙日の2週間前にイスラム恐怖症に基づく攻撃を開始した。10月クオモ候補は、「神よ、再び9.11が起きることをお許しください。マムダニ氏が議席に就く姿を想像できますか?」と述べた。これに対し、マムダニ氏は後に「これはアンドリュー・クオモ氏の公職生活最後の瞬間なのに、彼はそれを人種差別的な攻撃に費やすことを選んだのだ。」と反論した。
https://www.middleeasteye.net/profile/who-is-zohran-mamdani-new-york-mayor
(コメント)トランプ大統領に嫌われている国際的な大都市の代表的市長は、サーディク・カーン・ロンドン市長である。カーン市長は、2021年5月選挙で再選された人気の高いパキスタン系ムスリムである。2025年7月末、 4日間の非公式夏季訪問中のスコットランドで行われた記者会見でトランプ大統領は、カーン・ロンドン市長を「ひどい仕事をした」「意地悪な人物」と非難した。2025年9月18日国賓として、英国に招かれたトランプ大統領は、カーン市長を「世界最悪の市長の一人だ」と酷評した。晩さん会には、カーン市長の姿はなかった。さらに、国賓訪英を終えたトランプ米大統領は9月18日、カーン市長を「世界最悪の市長の一人だ」と酷評した。25年9月23日トランプ大統領は国連総会で、 「ロンドンにはひどい市長がいる。今はシャリア法をやろうとしている。でも国が違う。そんなことできない」と主張した。2019年6月の英国訪問に際し、トランプ大統領(第一期目)はこう書き込んだ。「ロンドン市長としてひどい仕事をしたと誰もが認めるサーディク・カーン氏は、英国にとって間違いなく最も重要な同盟国である米国大統領に対し、愚かにも『意地悪』な態度を取った。彼は冷酷な負け犬で、ロンドンの犯罪に焦点を当てるべきであって、私ではない。カーン氏は、同じくひどい仕事をした、非常に愚かで無能なニューヨーク市長、デブラシオ氏を強く思い起こさせる。身長は彼の半分しかない」と述べていた。これに対して、サーディク・カーン・ロンドン市長報道官は、「(トランプ氏の)とんでもない、偏見に満ちた発言をまともに相手にして、回答するつもりはない、ロンドンは世界で最も偉大な都市で、米国の主要都市よりも安全だ。私たちは、記録的な数でここに移住している米国民を歓迎する」とコメントしていた。
今回マムダニ氏の勝利が予想される中、トランプ大統領は、マムダニ氏を共産主義者と称し、当選した場合、ニューヨーク市への資金提供を削減ないし廃止の可能性を示唆していた。世界中がトランプ旋風に巻き込まれて、トランプ大統領にいかに気に入られるか、取り入られるかで世界の多くの指導者が競い合っている中、トランプ大統領の足元で、トランプ旋風とは別の風が吹き始めていることを感じざるを得ない。マムダニ氏については、ニューヨーク初のムスリム市長になるが、ムスリムでありながら、ユダヤ教のラビやヒンドゥー教のコミュニティとも良好な関係を築こうとしており、中でも、インフレで苦しんできたニューヨークの低中所得層に焦点をあてて、まさに富裕層と戦う姿勢を見せていることである。来年11月の中間選挙を見据えて、米国民の意識も変化していく可能性があることに注目すべきであろう。
1)マムダニ氏生い立ち:マムダニ氏はウガンダのカンパラで、ウガンダ系インド人の父とインド人の母の間に生まれた。父マフムード・マムダニ氏は著名な学者で、植民地主義と帝国主義について多くの著作を残している。父親は1946年、インドのボンベイ(現ムンバイ)で、インドのグジャラート州にルーツを持つタンザニア系イスラム教徒の両親のもとに生まれた。1979年にアミンが打倒されると、マフムードはウガンダに戻り、その後ケープタウン大学、ダルエスサラーム大学、マケレレ大学などで教鞭をとり、現在はコロンビア大学人類学部のハーバート・レーマン政治学教授である。マムダニの母、ミーラー・ナイルは、人種、ジェンダー、階級に関する従来の見方に異議を唱える、アカデミー賞ノミネート経験のある著名な独立系映画監督で、彼女は1957年、インド東部のオリッサ州でパンジャブ系ヒンドゥー教徒の家庭に生まれた。マムダニが7歳の時、家族はニューヨーク市に移住した。高校卒業後、マムダニ氏はメイン州ブランズウィックのボウディン大学でアフリカ系アメリカ人研究を学び、批判的人種理論家や反植民地主義作家フランツ・ファノンの作品などを研究した。また、学生新聞の編集者として働き、同意に関する意見記事を執筆した。マムダニ氏はまた、「パレスチナ正義のための学生」の大学支部を設立した。アラブの春でムバラク政権が倒れたあとの2013年には、カイロのアラビア語学校に通っていた。
2)選挙キャンペーン:2024年10月23日、マムダニ氏はニューヨーク市長選への立候補を表明した。運動開始当時当時「テレビカメラは1台もなかった」と述べ、何ヶ月もの間、誰も彼に注目していなかった。選挙活動では、ウルドゥー語、スペイン語、アラビア語で長編ビデオに出演し、イディッシュ語のチラシを配布した。また、イマーム(イスラム教指導者)、ラビ(ユダヤ教指導者)、ヒンドゥー教徒のコミュニティを訪問し、面談を行った。洗練されたソーシャルメディア戦略や支持層の戸別訪問作戦も成功し、支持率1%台からの番狂わせを演じたことになる。
3)訴えた政策:マムダニ氏は、ニューヨークに住むすべての人にとって住みやすい街にすることを最優先とする政策を掲げて選挙戦を展開してきた。彼の政策案には、100万戸のアパートの家賃凍結、20万戸の低所得者向け住宅の建設、高速バスの無料化、5歳未満児の保育料無料を含むユニバーサル・チャイルドケアなどが含まれている。「家賃を凍結」「全ての人に保育を」「バスを速く、無料に」が、マムダニ氏が、最も強く訴えてきたキャッチフレーズである。
4)政敵の反応:マムダニ氏の社会主義的な政治的傾向とイスラム教徒としてのアイデンティティは、テロリスト、反イスラエル、反警察、反米主義者との非難の中で、党派を超えた攻撃の標的となってきた。トランプ米大統領は、一貫して彼を「共産主義者」と呼び、当選した場合、ニューヨーク市への資金提供を削減する可能性を示唆してきており、最終版ではクオモ元州知事支持を表明した。彼の最大のライバルであるクオモ氏と現ニューヨーク市長のエリック・アダムズ氏は、選挙日の2週間前にイスラム恐怖症に基づく攻撃を開始した。10月クオモ候補は、「神よ、再び9.11が起きることをお許しください。マムダニ氏が議席に就く姿を想像できますか?」と述べた。これに対し、マムダニ氏は後に「これはアンドリュー・クオモ氏の公職生活最後の瞬間なのに、彼はそれを人種差別的な攻撃に費やすことを選んだのだ。」と反論した。
https://www.middleeasteye.net/profile/who-is-zohran-mamdani-new-york-mayor
(コメント)トランプ大統領に嫌われている国際的な大都市の代表的市長は、サーディク・カーン・ロンドン市長である。カーン市長は、2021年5月選挙で再選された人気の高いパキスタン系ムスリムである。2025年7月末、 4日間の非公式夏季訪問中のスコットランドで行われた記者会見でトランプ大統領は、カーン・ロンドン市長を「ひどい仕事をした」「意地悪な人物」と非難した。2025年9月18日国賓として、英国に招かれたトランプ大統領は、カーン市長を「世界最悪の市長の一人だ」と酷評した。晩さん会には、カーン市長の姿はなかった。さらに、国賓訪英を終えたトランプ米大統領は9月18日、カーン市長を「世界最悪の市長の一人だ」と酷評した。25年9月23日トランプ大統領は国連総会で、 「ロンドンにはひどい市長がいる。今はシャリア法をやろうとしている。でも国が違う。そんなことできない」と主張した。2019年6月の英国訪問に際し、トランプ大統領(第一期目)はこう書き込んだ。「ロンドン市長としてひどい仕事をしたと誰もが認めるサーディク・カーン氏は、英国にとって間違いなく最も重要な同盟国である米国大統領に対し、愚かにも『意地悪』な態度を取った。彼は冷酷な負け犬で、ロンドンの犯罪に焦点を当てるべきであって、私ではない。カーン氏は、同じくひどい仕事をした、非常に愚かで無能なニューヨーク市長、デブラシオ氏を強く思い起こさせる。身長は彼の半分しかない」と述べていた。これに対して、サーディク・カーン・ロンドン市長報道官は、「(トランプ氏の)とんでもない、偏見に満ちた発言をまともに相手にして、回答するつもりはない、ロンドンは世界で最も偉大な都市で、米国の主要都市よりも安全だ。私たちは、記録的な数でここに移住している米国民を歓迎する」とコメントしていた。
今回マムダニ氏の勝利が予想される中、トランプ大統領は、マムダニ氏を共産主義者と称し、当選した場合、ニューヨーク市への資金提供を削減ないし廃止の可能性を示唆していた。世界中がトランプ旋風に巻き込まれて、トランプ大統領にいかに気に入られるか、取り入られるかで世界の多くの指導者が競い合っている中、トランプ大統領の足元で、トランプ旋風とは別の風が吹き始めていることを感じざるを得ない。マムダニ氏については、ニューヨーク初のムスリム市長になるが、ムスリムでありながら、ユダヤ教のラビやヒンドゥー教のコミュニティとも良好な関係を築こうとしており、中でも、インフレで苦しんできたニューヨークの低中所得層に焦点をあてて、まさに富裕層と戦う姿勢を見せていることである。来年11月の中間選挙を見据えて、米国民の意識も変化していく可能性があることに注目すべきであろう。
Posted by 八木 at 18:37 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)



