シリア国民対話会議へのクルド人勢力の反発とオジャラン声明の影響[2025年02月27日(Thu)]
首都ダマスカスで、HTS暫定政権発足後、初めての国民対話会議が、2月24日、25日アハマド・アルシャラア暫定大統領ほかが出席して国内各グループ代表約600名が参加して開催された。新生シリアの国民の団結と融和を目指す長いプロセスの第一歩であるが、シリア北東部で暫定自治を実践するクルド人をはじめとするグループは、会議に招待されなかった。
1.準備委員会が2月25日発出した最終声明の注目点は、次のとおり。
@シリア領土の一体性維持。分割等の試み拒否
A武器保有は国の専管事項。公的な機関に所属していない武装組織は違法
B憲法の空白を埋めるため、暫定憲法宣言を迅速に採択する
C価値と公正な代表に基づく暫定立法評議会を設立する
D恒久憲法を起草するための憲法委員会を設立する
E犯罪と暴力の実行者に責任を負わせ、正義を実現する
F平和的共存を促進し、暴力、扇動、社会の安定と融和を損なう報復を拒否する
Gシリアに課せられた国際制裁の解除を求める
追加:イスラエルによるシリア領土への侵略を強く非難し、国家主権の露骨な侵害であり、即時無条件撤退を要求する。イスラエル首相の扇動的声明を拒否し、イスラエルに責任と取らせるよう国際社会と地域組織を促す。
https://english.enabbaladi.net/archives/2025/02/with-18-points-national-dialogue-conference-concludes-its-work/
2.抗議声明を発出したシリア北東部35団体には、PYD(クルド民主統一党)や民主的社会運動 (TEV-DEM)などが含まれる。団体名は、次のリンクから確認できる。
https://anfenglishmobile.com/rojava-syria/35-syrian-organizations-issue-joint-statement-about-national-dialogue-congress-78107
(コメント)シリア北東部で暫定自治を実践するクルド人を主体とする政治団体は、HTS暫定政権下で開催された国民対話会議に招待されなかったことに対し、シリアのあらゆる組織の代表が含まれない包括性を欠く会合は無意味であるとの立場を表明しました。とりわけ、Aの武器所有は国家の専管事項であり、公的機関に所属していない武装組織は、非合法であるとして、一方的に、暫定政権に従うよう求められた点に反発したとみられています。クルド人勢力が国民対話会議に呼ばれなかったのは、トルコが、PYDやその武装組織YPG、YPJをPKKと同根のテロ組織とみなして、HTS暫定政権側に国民対話会議に招待しないよう申し入れたことは明らかだと思われます。他方、注目されるのは、トルコに長らく収監中のPKK創始者アブドッラー・オジャランの声明の中身です。一部では、27日にも発出される可能性のあるオジャランは、声明でPKKの武装解除を呼びかけるとされています。そのとおりであるのか、それに対して、PKKの実働部隊は従うのか、さらに、シリアのYPGを主体とするSDFも武装解除に応じることになるのかです。
https://www.middleeasteye.net/news/ocalan-urge-pkk-disarm-week-sources
https://anfenglishmobile.com/features/historical-call-and-our-responsibilities-78134
1.準備委員会が2月25日発出した最終声明の注目点は、次のとおり。
@シリア領土の一体性維持。分割等の試み拒否
A武器保有は国の専管事項。公的な機関に所属していない武装組織は違法
B憲法の空白を埋めるため、暫定憲法宣言を迅速に採択する
C価値と公正な代表に基づく暫定立法評議会を設立する
D恒久憲法を起草するための憲法委員会を設立する
E犯罪と暴力の実行者に責任を負わせ、正義を実現する
F平和的共存を促進し、暴力、扇動、社会の安定と融和を損なう報復を拒否する
Gシリアに課せられた国際制裁の解除を求める
追加:イスラエルによるシリア領土への侵略を強く非難し、国家主権の露骨な侵害であり、即時無条件撤退を要求する。イスラエル首相の扇動的声明を拒否し、イスラエルに責任と取らせるよう国際社会と地域組織を促す。
https://english.enabbaladi.net/archives/2025/02/with-18-points-national-dialogue-conference-concludes-its-work/
2.抗議声明を発出したシリア北東部35団体には、PYD(クルド民主統一党)や民主的社会運動 (TEV-DEM)などが含まれる。団体名は、次のリンクから確認できる。
https://anfenglishmobile.com/rojava-syria/35-syrian-organizations-issue-joint-statement-about-national-dialogue-congress-78107
(コメント)シリア北東部で暫定自治を実践するクルド人を主体とする政治団体は、HTS暫定政権下で開催された国民対話会議に招待されなかったことに対し、シリアのあらゆる組織の代表が含まれない包括性を欠く会合は無意味であるとの立場を表明しました。とりわけ、Aの武器所有は国家の専管事項であり、公的機関に所属していない武装組織は、非合法であるとして、一方的に、暫定政権に従うよう求められた点に反発したとみられています。クルド人勢力が国民対話会議に呼ばれなかったのは、トルコが、PYDやその武装組織YPG、YPJをPKKと同根のテロ組織とみなして、HTS暫定政権側に国民対話会議に招待しないよう申し入れたことは明らかだと思われます。他方、注目されるのは、トルコに長らく収監中のPKK創始者アブドッラー・オジャランの声明の中身です。一部では、27日にも発出される可能性のあるオジャランは、声明でPKKの武装解除を呼びかけるとされています。そのとおりであるのか、それに対して、PKKの実働部隊は従うのか、さらに、シリアのYPGを主体とするSDFも武装解除に応じることになるのかです。
https://www.middleeasteye.net/news/ocalan-urge-pkk-disarm-week-sources
https://anfenglishmobile.com/features/historical-call-and-our-responsibilities-78134
Posted by 八木 at 18:12 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)