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ナスラッラー・ヒズボラ前書記長の葬儀を威嚇するイスラエル [2025年02月24日(Mon)]
2025年2月23日、ベイルートのカミーユ・シャモン・スポーツシティ・スタジアムで、2024年9月27日イスラエルのバンカーバスター爆弾攻撃で犠牲になったヒズボラの元書記長サイエド・ハッサン・ナスラッラー師とその直後に殺害された事実上のNO2であったサイエド・ハーシェム・サフィディーン氏を悼むための会葬の儀に数万人が集まった。イスラエルのF-15戦闘機とF-35戦闘機は葬儀にあわせてベイルートのカミーユ・シャモン・スポーツシティ・スタジアム上空を旋回し、弔問出席者を威嚇した。イスラエル・カッツ国防相は、この飛行の意図を公然と認め、「ハッサン・ナスラッラーの葬儀会場の上空を旋回しているイスラエル空軍の戦闘機は、明確なメッセージを送っている。イスラエルを破壊し、イスラエルを攻撃する者は、誰であれ、それで終わりである。あなた方は葬儀で忙しく、我々は勝利で忙しくなる」と述べた。また、イスラエルはこれまで未発表だったナスラッラー師暗殺作戦の爆撃動画を初めて公開した。
https://youtu.be/sXAVIrdHzOM
https://youtu.be/UoptVLaG3bA

会葬の集会出席者:会場のカミーユ・シャモン・スポーツシティ・スタジアムは葬儀が始まる数時間前にほぼ満員となり、支持者たちは団結と反抗の気持ちで集まった。収容人数7万8000人のスタジアムは、ヒズボラの旗や殉教者たちの像を掲げた会葬者で埋め尽くされ79カ国の代表が公式および一般の立場で出席した。ベイルート国際空港への国際便、特にイラクとトルコからの便が急増し、ホテルの占有率は90%に達したとのこと。イランからは、アッバース・アラグチ外相とムハンマド・バゲル・ガリバフ・イラン国会議長ほか代表団が葬儀に出席し、2024年5月にヘリコプター事故で亡くなったライシ前大統領とアミール・アブドラヒアン前外相の家族、2020年米軍のドローン攻撃で亡くなったカーセム・ソレイマニIRGCコッズ部隊司令官の家族らが同行した。ガリバフ議長は「私は代表団を率いてここに来た。殉教した2人のサイエドの葬儀に参加するためだ」と述べた。イラクの親イラン・シーア派組織やイエメンのフーシ派、ハマスの関係者も出席した。

カーセム現書記長メッセージ:カーセム現書記長はナスラッラー師を「歴史的で、稀有で、愛国心のあるアラブのイスラム指導者であり、世界の自由な人々の模範」と評し、「たとえ我々の家が頭上で破壊されようとも、我々全員が殺されようとも、我々はサイエド・ナスラッラーの道を歩み続ける」と断言した。更に、カーセム書記長は、「我々は(イスラエルとの)協定に基づく約束を果たしたが、イスラエルは(撤退を)果たしていない」と主張した。

(コメント)ナスラッラー書記長は、1992年に家族ともどもイスラエル軍の空からの攻撃で暗殺されたアッバース・ムーサウィ第二代書記長の後を継いで、三代目書記長に就任し、ヒズボラを対イスラエルの抵抗勢力としてのみならず、レバノン国内で、政治、社会、福祉その他にも影響力を有する組織として育成してきた。イスラエルの指導者も、ナスラッラー師を敵ながら、双方の妥協点を探ることができる指導者として、一定の評価を与えていたものとみられ、そのために30余年にわたって、ナスラッラー師はイスラエルの暗殺の試みを免れてきたものとみられる。事態が変化したのは、ハマス・イスラエルの戦闘激化とレバノンへの波及である。2024年9月17、18日、レバノンの広範囲でヒズボラ関係者だけでなく一般市民も巻き込んだ通信機器一斉攻撃で数千人が死傷したことに対して、ヒズボラのナスラッラー書記長は、「真実の約束2」作戦を実施し、イスラエルに大規模ミサイル攻撃を行い、これに対し、イスラエルは、「新秩序」作戦を実行した。24年9月27日、イスラエル軍は、ベイルート郊外で地下8階までを貫通する強力な「バンカーバスター」爆弾を使用し、ナスラッラー書記長を抹殺した。「新秩序」とは何か。これは、まさに、カッツ国防相が述べているように、「イスラエルを破壊し、イスラエルを攻撃する者は、誰であれ、それで終わりである。あなた方は葬儀で忙しく、我々は勝利で忙しくなる」ということで、どこに居ようと、イスラエル攻撃を指示した敵は、抹殺するということであり、事実、ハマスについては、ガザで越境作戦に責任があるとされるヤヒヤ・シンワル元軍事部門代表や、ムハンマド・ディーフ・カッサム旅団司令官のみならず、24年7月31日にはテヘランで、イスマイール・ハニーヤ政治局長(当時)も暗殺された。レバノンでの通信機器攻撃を指示したのはネタニヤフ首相自身であることを認めており、ナスラッラー書記長暗殺もネタニヤフ首相自身の判断だとみられる。すなわち、ナスラッラー書記長は、相手が、以前のルールをわきまえていると考えていたところ、そうではなく、敵の指導者は誰であれ、どこに居ても抹殺するという変化を見逃していたということになる。
イスラエル空軍機は、迎撃手段を持っていないレバノン上空を自由に飛行し、いざとなれば、いつでも攻撃できますようというメッセージを発し続けている。イスラエルは、国際法を超越した存在なのだろうか。国際社会は、相手がイスラエルであると、ほとんど沈黙してしまう。2024年11月21日、ネタニヤフ首相、ガラント前国防相(他には、生死が確認できなかったということでムハンマド・ディーフ元カッサーム旅団司令官)に逮捕状を発出した国際刑事裁判所(ICC)職員も、今や米国政府の制裁の対象になっている。何が正義で、何が不正なのか、誰も不正を正せない世界に陥ってきている
https://english.almayadeen.net/news/politics/israeli-jets-attempt-to-intimidate-mourners-at-sayyeds--fune

Posted by 八木 at 12:01 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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