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イラン大統領選後の次期政権注目人事[2024年07月11日(Thu)]
2024年7月5日のイラン大統領選挙の決選投票で、保守強硬派候補のジャリリ氏を破って当選した改革派と目されるマスウード・ペゼシュキアン元保健大臣(ハタミ政権時代)は、7月30日に大統領就任宣誓を行う予定であるところ、2024年7月10日、イランの準国営タスニム通信は、ローハニ政権下でイラン核交渉の首席代表であったアッバース・アラグチ元外務次官がイランの新外相になる可能性が高いと報じた。タスニム通信社は「情報筋」を引用し、マスウード・ペゼシュキアン次期大統領の顧問らが外相ポストについて「ほぼ最終結論に達している」とし、「最も可能性の高い選択肢」はアラグチ氏だと伝えた。
61歳のアラグチは1980年代後半に外務省に入省。2017年から2021年まで外務次官を務め、駐フィンランド大使や駐日本大使など、いくつかの役職を歴任。アラグチ元次官は、2018年5月に米国トランプ政権が一方的に離脱したことで崩壊した2015年の核合意復活交渉のイラン側交渉者交渉責任者の一人であった。2021年にウィーンで行われたイランと米国との間接交渉では、2015年の合意を復活させることを目的としたイランの首席核交渉官を務め、同年後半にアリー・バゲル=カーニ氏と交代していた。アラグチ次官は、イラン・イラク戦争(1980〜1988年)中はイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)のメンバーでもあった。
https://www.tasnimnews.com/en/news/2024/07/10/3120269/araqchi-is-iran-s-prospective-fm-source
https://english.alarabiya.net/News/middle-east/2024/07/10/abbas-araghchi-tipped-to-become-iran-s-new-foreign-minister-report

(参考)ローハニ政権下末期のアラグチ・イラン側首席交渉官の見方
(1)イラン側の首席交渉官であるアラグチ外務次官は、2021年6月19日イランのメディアに次のとおり語った。
@ ドキュメントはほぼ準備ができている。両国の首都での意思決定のプロセスに資する非常に明確な相違が存在する。
A しかし、これらの相違、重要な問題については非常によく理解されており、関連するすべての国の意思決定者に役に立つ
B イランと他の5つの核合意当事者が過去のどの時期よりも合意に近づいているが、それは私たちがそこに到達したという意味ではない。
C 残りの仕事は、まだ困難であり、多くの努力とさらなる話し合いが必要である。 そのため、ここで交渉を一旦断ち切り、国に戻って、相談ではなく、今回は意思決定を仰ぐこととした。
(2)2021年6月12日、アラグチ外務次官は、「トランプは去ったが、彼の違法で殺人的な制裁はまだそこにある。 8200万人のイラン人を苦しめる米国の取り組みの進行中、ワニの涙は必要ない。 パンデミックの中での経済テロは、人道に対する罪である」とツイートした。(注)わにの涙:空涙を流して獲物を誘い,また涙を流しながら獲物を食うこと

(コメント)改革派と目されるマスウード・ペゼシュキアン新大統領の前途は容易ではない。11月には、2018年5月にイラン核合意から一方的に離脱したトランプ前大統領が、大統領に返り咲くのではないかとの観測も強まっている。ハメネイ最高指導者はヘリコプター事故で亡くなったライシー前大統領の路線を、ペゼシュキアン新大統領が引き継ぐことを期待していると述べている。トランプ政権からバイデン政権にかわり、イラン核合意復活交渉が進展するのではないかとの観測が幾たびか流れ、そのたびに期待は裏切られてきた。米大統領選を前に、バイデン政権が、イラン核合意復活に真剣に取り組むとはみられていない。しかし、そうした中で、ローハニ政権下で首席交渉官を務め、イラン核合意復活交渉の表も裏も知り尽くしているアラグチ元次官が、外相に就任することになれば、ペゼシュキアン新大統領が公約した通り、イランの国際的孤立から脱却させるというメッセージの第一歩を踏み出したことになる。欧州では、英国でスナク政権が崩壊し、仏では、左派が第一党となった。アラグチ氏は、欧州にもさまざまなパイプを持っている。そして、日本にとっても駐日大使を務め、日本ともつながりを有している。イランの国際的な孤立の中で、アラグチ外相が誕生すれば、イラン・国際関係改善に一筋の光を感じることを期待したい。

Posted by 八木 at 12:33 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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