米下院パレスチナ系イスラム教徒ラシーダ・トレイブ議員に対する問責決議案採択[2023年11月09日(Thu)]
「私は現在米国下院で議員を務めている唯一のパレスチナ系米国人であり、私の視点が今ここでこれまで以上に必要とされています。 私は沈黙させられませんし、誰にも私の言葉を歪曲させません。私はデトロイト出身で、そこではたとえ声が震えても、権力者に対して真実を話すことを学びました。」これは、2016年11月の中間選挙で米下院議員として当選し、20年11月の選挙でも再選された民主党所属のパレスチナ系イスラム教徒女性議員ラシーダ・トレイブ氏の発言である。決議案の採決に先立ち、トレイブ氏は下院評議会で涙ながらに「こんなことを言わなければならないことが信じられない。パレスチナ人民を見捨てることはできない。我々も他のすべての民族と同じ人間だ。パレスチナ人は自由と尊厳を持って生きる権利がある」と述べた。
11月7日の夜、米国下院はガザに関するジョー・バイデン大統領とイスラエルの政策を非難したトレイブ下院議員を非難する問責決議案を承認した。共和党代表のリッチ・マコーミック氏は、反イスラエルの立場を理由にトレイブ氏を非難する問責決議案を評議会総会に提出した。評議会は234人の議員が決議案に賛成(うち22名の民主党議員が賛成)し、188人の議員が反対(うち4名の共和党議員が「言論の自由」擁護の立場から反対)し、4人の議員が投票を棄権し、賛成多数で承認された。決議案は、トレイブ氏が「10月7日以来虚偽の情報を広め、イスラエル国家の消滅を要求している」と非難している。
(参考)トレイブ議員がパレスチナ人の「川から海へ」のスローガンを擁護したことが問責の一つの理由になっている。かつて、イスラエルを認めない立場の勢力は、イスラエル人を海に追いやるという主張を行ってきたことがある。トレイブ議員の11月4日のX投稿では、「川から海へは、死、破壊、憎しみではなく、自由、人権、平和的共存を求める熱望の呼びかけです。 私の仕事と擁護は常に、信仰や民族に関係なく、すべての人々の正義と尊厳を中心にしています。」と趣旨を説明している。
11月3日、トレイブ氏は「X」プラットフォーム上で亡くなったパレスチナ人の子供の写真を公開し、「バイデン大統領はパレスチナ人民に対する大量虐殺を支持している。米国民はこれを忘れないだろう。バイデン大統領、今すぐ停戦を支持するか、2024年(米大統領選挙)で我々を「当てにしないか」のどちらかだ」と付け加えた。
下院評議会では、同僚でソマリア難民出身のイスラム教徒女性議員であるイルハン・オマル氏は同僚を支持し、「あなたがたはラシーダ・トレイブ氏を攻撃しているが、共和党下院議員マックス・ミラー氏はテレビに出演して「我々はガザを駐車場にし、パレスチナ人を絶滅させる」と言った。それにもかかわらず誰も彼を非難しなかった、と擁護した。
(コメント)ラシーダ・トレイブ議員は、イルハン・オマル議員とともに2016年秋の中間選挙で初当選した民主党議員である。パレスチナ系、ソマリア出身の女性イスラム教徒議員ということもあり、両名は、米国政治界において少数派の意見を発信・擁護する議員として注目されてきた。米国内では、10月7日のハマスによるイスラエル人他への襲撃で1400名以上が犠牲になったとして、イスラエルの自衛権を擁護しハマスを殲滅・解体させようとするイスラエル軍の軍事作戦を支持する声がある一方で、11月8日現在のガザ保健省の発表で、ガザでのパレスチナ人10,569(うち、子ども4,324 )、西岸でもパレスチナ人死者164人が犠牲になったと伝えられており、即時停戦、あるいは人道的休戦を求める声があがっていた。こうした中、パレスチナ系下院議員であるラシーダ・トレイブ氏が、イスラエルの自衛権を理由に、多数のガザ市民が巻き込まれることがわかっていながらイスラエル軍の進軍を止めようとしないバイデン政権に批判の声をあげたことは不思議ではない。バイデン政権も、国内・国際世論の休戦を求める声に押されて3日間の一時休戦を、イスラエル側に呼びかけているとされる。現在ガザの北部地区は、イスラエル軍に包囲され、ハマスが築いてきたとされる地下トンネルなどインフラが次々に破壊されているとされる。軍事的には、圧倒的に有利なイスラエル軍は、ハマスのインフラと戦闘員に大打撃を与えることは確実である。しかし、集団懲罰を受けた形で、家族を失い、居場所を失った多くのパレスチナ人の、世界から見捨てられたとの怒りと絶望感は、今後何世代にもわたって続くと思われる。イスラエルと米国ならびに国際社会は、ハマス戦闘員から解放されたガザ北部をどうするつもりなのか。エジプトが国境を封鎖したままでガザ南部に追いやられたパレスチナ人の今後はどうなるのか。アラブ世界は、いままでのように「パレスチナの大義」を理由に、パレスチナ人の自国受け入れと国籍付与を拒否し続けるのか、ウクライナ支援で手厚い対応をみせた国際社会は、一時的であれウクライナ人同様にパレスチナ人を受け入れる用意があるのか、ハマスを批判し、イスラエルや欧米に低姿勢を続けるアッバース議長率いるパレスチナ暫定自治政府のガザ支配をパレスチナ人は支持するのか、人口の2割のパレスチナ系アラブ人を抱えるイスラエルは、真の自国の安全保障実現をどう確保しようとしているのか、現在の戦闘が休戦に至ったとしても、その後の地域の平和と安定を実現するためのシナリオを世界の指導者は真剣に検討しているのか、あるいは、アフガニスタンのように、国際社会は斬状に目をつぶり、混乱を放置する途を選ぶのか、国際社会は今こそ対立を煽るのではなく、一致点を見出すべく取り組むべきで、そこには、G7だけでなく、グローバル・サウスとよばれている国々の関与も重要になり、混乱を一刻も早く収めてほしいと願うばかりである。
https://www.businessinsider.com/which-democrats-voted-for-rashida-tlaib-censure-israel-palestine-2023-11
https://www.aljazeera.com/news/longform/2023/10/9/israel-hamas-war-in-maps-and-charts-live-tracker
https://arabi21.com/story/1550511/%D8%B1%D8%B4%D9%8A%D8%AF%D8%A9-%D8%B7%D9%84%D9%8A%D8%A8-%D8%AA%D8%A8%D9%83%D9%8A-%D9%81%D9%8A-%D8%A7%D9%84%D9%83%D9%88%D9%86%D8%BA%D8%B1%D8%B3-%D8%A3%D8%AB%D9%86%D8%A7%D8%A1-%D9%83%D9%84%D9%85%D8%A9-%D8%B9%D9%86-%D9%81%D9%84%D8%B3%D8%B7%D9%8A%D9%86-%D9%87%D9%83%D8%B0%D8%A7-%D8%AF%D8%B9%D9%85%D8%AA%D9%87%D8%A7-%D8%A5%D9%84%D9%87%D8%A7%D9%86-%D8%B9%D9%85%D8%B1-%D8%B4%D8%A7%D9%87%D8%AF
https://www.zerohedge.com/political/tlaib-censured-house-saying-biden-supports-genocide-gaza
11月7日の夜、米国下院はガザに関するジョー・バイデン大統領とイスラエルの政策を非難したトレイブ下院議員を非難する問責決議案を承認した。共和党代表のリッチ・マコーミック氏は、反イスラエルの立場を理由にトレイブ氏を非難する問責決議案を評議会総会に提出した。評議会は234人の議員が決議案に賛成(うち22名の民主党議員が賛成)し、188人の議員が反対(うち4名の共和党議員が「言論の自由」擁護の立場から反対)し、4人の議員が投票を棄権し、賛成多数で承認された。決議案は、トレイブ氏が「10月7日以来虚偽の情報を広め、イスラエル国家の消滅を要求している」と非難している。
(参考)トレイブ議員がパレスチナ人の「川から海へ」のスローガンを擁護したことが問責の一つの理由になっている。かつて、イスラエルを認めない立場の勢力は、イスラエル人を海に追いやるという主張を行ってきたことがある。トレイブ議員の11月4日のX投稿では、「川から海へは、死、破壊、憎しみではなく、自由、人権、平和的共存を求める熱望の呼びかけです。 私の仕事と擁護は常に、信仰や民族に関係なく、すべての人々の正義と尊厳を中心にしています。」と趣旨を説明している。
11月3日、トレイブ氏は「X」プラットフォーム上で亡くなったパレスチナ人の子供の写真を公開し、「バイデン大統領はパレスチナ人民に対する大量虐殺を支持している。米国民はこれを忘れないだろう。バイデン大統領、今すぐ停戦を支持するか、2024年(米大統領選挙)で我々を「当てにしないか」のどちらかだ」と付け加えた。
下院評議会では、同僚でソマリア難民出身のイスラム教徒女性議員であるイルハン・オマル氏は同僚を支持し、「あなたがたはラシーダ・トレイブ氏を攻撃しているが、共和党下院議員マックス・ミラー氏はテレビに出演して「我々はガザを駐車場にし、パレスチナ人を絶滅させる」と言った。それにもかかわらず誰も彼を非難しなかった、と擁護した。
(コメント)ラシーダ・トレイブ議員は、イルハン・オマル議員とともに2016年秋の中間選挙で初当選した民主党議員である。パレスチナ系、ソマリア出身の女性イスラム教徒議員ということもあり、両名は、米国政治界において少数派の意見を発信・擁護する議員として注目されてきた。米国内では、10月7日のハマスによるイスラエル人他への襲撃で1400名以上が犠牲になったとして、イスラエルの自衛権を擁護しハマスを殲滅・解体させようとするイスラエル軍の軍事作戦を支持する声がある一方で、11月8日現在のガザ保健省の発表で、ガザでのパレスチナ人10,569(うち、子ども4,324 )、西岸でもパレスチナ人死者164人が犠牲になったと伝えられており、即時停戦、あるいは人道的休戦を求める声があがっていた。こうした中、パレスチナ系下院議員であるラシーダ・トレイブ氏が、イスラエルの自衛権を理由に、多数のガザ市民が巻き込まれることがわかっていながらイスラエル軍の進軍を止めようとしないバイデン政権に批判の声をあげたことは不思議ではない。バイデン政権も、国内・国際世論の休戦を求める声に押されて3日間の一時休戦を、イスラエル側に呼びかけているとされる。現在ガザの北部地区は、イスラエル軍に包囲され、ハマスが築いてきたとされる地下トンネルなどインフラが次々に破壊されているとされる。軍事的には、圧倒的に有利なイスラエル軍は、ハマスのインフラと戦闘員に大打撃を与えることは確実である。しかし、集団懲罰を受けた形で、家族を失い、居場所を失った多くのパレスチナ人の、世界から見捨てられたとの怒りと絶望感は、今後何世代にもわたって続くと思われる。イスラエルと米国ならびに国際社会は、ハマス戦闘員から解放されたガザ北部をどうするつもりなのか。エジプトが国境を封鎖したままでガザ南部に追いやられたパレスチナ人の今後はどうなるのか。アラブ世界は、いままでのように「パレスチナの大義」を理由に、パレスチナ人の自国受け入れと国籍付与を拒否し続けるのか、ウクライナ支援で手厚い対応をみせた国際社会は、一時的であれウクライナ人同様にパレスチナ人を受け入れる用意があるのか、ハマスを批判し、イスラエルや欧米に低姿勢を続けるアッバース議長率いるパレスチナ暫定自治政府のガザ支配をパレスチナ人は支持するのか、人口の2割のパレスチナ系アラブ人を抱えるイスラエルは、真の自国の安全保障実現をどう確保しようとしているのか、現在の戦闘が休戦に至ったとしても、その後の地域の平和と安定を実現するためのシナリオを世界の指導者は真剣に検討しているのか、あるいは、アフガニスタンのように、国際社会は斬状に目をつぶり、混乱を放置する途を選ぶのか、国際社会は今こそ対立を煽るのではなく、一致点を見出すべく取り組むべきで、そこには、G7だけでなく、グローバル・サウスとよばれている国々の関与も重要になり、混乱を一刻も早く収めてほしいと願うばかりである。
https://www.businessinsider.com/which-democrats-voted-for-rashida-tlaib-censure-israel-palestine-2023-11
https://www.aljazeera.com/news/longform/2023/10/9/israel-hamas-war-in-maps-and-charts-live-tracker
https://arabi21.com/story/1550511/%D8%B1%D8%B4%D9%8A%D8%AF%D8%A9-%D8%B7%D9%84%D9%8A%D8%A8-%D8%AA%D8%A8%D9%83%D9%8A-%D9%81%D9%8A-%D8%A7%D9%84%D9%83%D9%88%D9%86%D8%BA%D8%B1%D8%B3-%D8%A3%D8%AB%D9%86%D8%A7%D8%A1-%D9%83%D9%84%D9%85%D8%A9-%D8%B9%D9%86-%D9%81%D9%84%D8%B3%D8%B7%D9%8A%D9%86-%D9%87%D9%83%D8%B0%D8%A7-%D8%AF%D8%B9%D9%85%D8%AA%D9%87%D8%A7-%D8%A5%D9%84%D9%87%D8%A7%D9%86-%D8%B9%D9%85%D8%B1-%D8%B4%D8%A7%D9%87%D8%AF
https://www.zerohedge.com/political/tlaib-censured-house-saying-biden-supports-genocide-gaza
Posted by 八木 at 10:40 | イスラム世界で今注目されている人物 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)



