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驚きのアルバニア当局によるイランの反体制組織ムジャヒディーン・ハルクの活動制限[2023年08月07日(Mon)]
タスニム通信ほかイラン系メディアによれば、アルバニア政府は、8月初旬アルバニアの首都ティラナ北西部郊外のアシュラフ3キャンプを拠点にイラン革命体制への反対活動を実行してきた反体制組織ムジャヒディーン・ハルク組織(MKO、あるいはMEK)のリーダーで、イラン国民抵抗評議会(NCRI)マルヤム・ラジャヴィ暫定議長の入国を禁止した。NCRIは、1981年7月29日にマスウード・ラジャヴィ(Massoud Rajavi)が設立を発表したイランのレジスタンス評議会が前身で、1993年8月、NCRIは、マスウードの妻であるマルヤム・ラジャヴィをイランの将来の大統領に選出し、以来、マルヤムは、暫定議長の座にある。NCRIは、5つの組織の連合体で、約540名の評議員で構成されている。NCRIの中心組織であるMKOについては、2012年に米国がMKOをテロ支援組織から解除し、その後MKOは2013年にアルバニアに拠点を移して、反イラン体制運動を活発化させてきており、毎年パリで大規模集会を開催し、集会には欧米、イスラエル等から要人多数が出席しており、特にトランプ政権下では、ジョン・ボルトン大使(元大統領国家安全保障補佐官)やジュリアーニ元ニューヨーク市長(元大統領顧問弁護士)といったトランプ大統領を支えてきた側近が出席したことがあり、これまでイランと厳しく対立してきたサウジアラビアのトルキー・アルファイサル元駐英・駐米大使も、過去の集会に参加した経緯がある。ペンス元副大統領もMKOとの関係が深い政治家のひとりである。このように反イラン革命政権に反発する世界の指導者の支持を集めてきたMKOの拠点がアルバニア警察に急襲され、代表がアルバニア国外に逃れ、入国を禁じられたのが事実であるとすれば、驚きの展開である。とくに2022年9月13日、ヒジャブ着用を義務づける法律に違反したとして、22歳のマフサ・アミニさんが、イランの首都テヘランで風紀警察に逮捕・拘束され、死亡した事案に対して、イラン国内外でイラン政府への強い批判が巻き起こり、MKOもその流れに乗って、イラン革命政権の打倒を訴えていた中での、今回のアルバニア政府の措置は事実であれば意外であり、その背景に何があるのか探る必要があると思われる。
最近の流れを整理すると次のとおり。
@ 2023年6月ごろ、仏政府は、毎年7月にパリで開催されていたNCRIの大規模集会開催の要請を、治安を理由に拒否した。
A 2023年6月20日、アルバニア警察は、外国機関に対する「テロとサイバー攻撃」を理由にMKOが拠点とするアシュラフ3キャンプを急襲し、少なくとも1人のMKO幹部が死亡、数十人が負傷した。また、警察部隊は150台のコンピューターデバイスを押収した。この襲撃で殺害されたMKOメンバーは「アブドルバハブ・ファラジ」であり、軍事エンジニアリング作戦の専門知識を持つ対外交策グループの著名な指揮官であり、MKOが1988年7月イランに対して開始した作戦で技術およびエンジニアリング部門を担当していた。
B ラジャヴィ暫定議長は6月下旬にアルバニアからフランスに緊急避難した。
C 2023年7月29日、イランの犯罪裁判所は、マルヤム・ラジャヴィ暫定議長を含むMKOメンバー104名を公表し、1か月以内に裁判のために代理人(弁護士)を用意するよう求めた。
D アルバニアの特別腐敗対策機構(Special Anti-Corruption Structure:SPAK)は、8月初旬イラン国民抵抗評議会(NCRI)マルヤム・ラジャヴィ暫定議長の入国を禁止した。
E 8月上旬、アルバニア警察は、警察の許可証取得者以外のアシュラフ3キャンプへの出入りを禁止した。
(補足)今回のアルバニア政府によるMKO活動制限措置は、フランスのマクロン政権と連携していることは間違いない。今回のアルバニア警察のアシュラフ3急襲は、マクロン大統領が、例年パリで開催されてきた「フリーイラン」の大規模集会開催要請を拒否したことで可能になったと思われる。MKOやMKOを支えるイスラエルや欧米の政治家にとって、イラン革命政権は、イラン国民を苦しめる政権であり、イラン国民に打倒されるべき存在であるとみられている。一方、イラン政府からみれば、MKOは、1979年のイラン革命後、17,161名のイラン人の市民、政府関係者を殺害してきたテロ組織と位置付けられ、とくに、イラクのサッダーム政権下では、同政権に庇護され、反イラン革命政権活動を展開してきたことで、米国、EU、カナダ、日本からテロ組織として扱われ、その後2003年の米国のイラク侵攻で、サッダーム政権が崩壊した後誕生したマーリキー政権にイラクから追放されたものの、欧米やイスラエルの政治家の働きかけで、2012年に米国のテロ支援組織から解除され、2013年にアルバニアがMKOの受け入れに同意し、約3千名のメンバーがアルバニアのアシュラフ3キャンプに移動したとされる。当初、MKOは、アルバニア移動を拒否していたが、米国が国連難民機関を通じて、2千万ドル寄付したとされ、2016年には、追加で280名が同キャンプに移動している。今回の措置の背景は明らかにはなっていないが、本年3月、中国の仲介でイランとサウジアラビアが関係を正常化し、イランが中国を通じて、欧州のMKOへの対応を変更するよう働きかけた可能性がある。また、ロシアへの軍事協力を強化するイランを牽制する取引材料として、フランスがアルバニアに働きかけた可能性も否定できない。なお、ラジャヴィ暫定議長のSNSでは、アルバニア政府のキャンプ急襲やラジャヴィ暫定議長の入国禁止措置に触れた発信はなく、また、西側メディアのカバーも極めて少ない。
https://www.tasnimnews.com/en/news/2023/08/03/2935377/mko-terrorist-ringleader-rajavi-banned-from-entering-albania
https://nournews.ir/En/News/146002/Dozen-of-MKO-members-including-Rajavis-will-face-trial-in-Iran
https://www.tasnimnews.com/en/news/2021/12/04/2619827/members-of-mko-terror-group-arrested-in-albania-for-drug-trafficking-human-smuggling
https://www.tasnimnews.com/en/news/2023/08/06/2936415/albania-puts-new-restrictions-on-mko-terrorist-camp

Posted by 八木 at 11:02 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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