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イランとサウジアラビアの外交関係正常化(注目点)[2023年03月11日(Sat)]
2016年1月に、テロ容疑で死刑判決を受けていたサウジのシーア派指導者であったニムル・アルニムル師など47名のサウジ側による処刑に抗議したイランの群衆によるテヘランとマシュハドのサウジ大使館、領事館内への襲撃事件以来、公式の外交関係が途絶えていたサウジアラビアとイランは、2023年3月6 日から 3 月10日まで中国がホストして北京で行われてきた一連の会談終了時、声明を発出し、両国は外交関係を正常化し、2か月以内に両国の大使館を再開し、外交使節を復活させることに合意した、と発表した。注目点は、@中国が対立する両国の外交関係修復を後押ししたこと、A習近平国家主席の3期目が決定する全人代にあわせて、3月6日から北京で会合をホストしていたこと(参考:全人代は3月10日、全体会議を開いて投票を行い、習近平国家主席を賛成2952票、反対、棄権いずれも0票の全会一致で再選)、Bイランがウラン濃縮度を核兵器製造レベルに近い84%の濃縮達成と報じられた直後に、本来的にイランの核能力に、イスラエルと並んで最も敏感であるはずのサウジが、イランとの直接協議に臨んでいたことである。

サウジの代表団は国務大臣兼国家安全保障顧問のムサエド・ビン・ムハンマド・アル=アイバン氏が率い、イランの代表団は最高国家安全保障会議の書記であるアリー・シャムハニ少将が率いた。会談には、元中国外相である中国政府の外交トップである王毅政治局委員が同席した。

「サウジアラビアとイランは国家主権を尊重し、内政に干渉しないことに同意する」と声明は述べ、両国の外相は近く会談して、大使館再開に向けての具体的話し合うと付け加えた。

さらにサウジとイランは、2001 年4月17日に署名された安全保障協力協定と 1998 年5月27日に署名された貿易、経済、投資、テクノロジー、科学、文化、スポーツ、青年協定の活性化に合意した。

声明によると、両国代表は、中国の習近平国家主席が、対話と外交を通じて紛争を解決するために、イランとサウジアラビアの代表者間の会談を主催し後援するイニシアチブをとり、最近の会談を主催しホストしてくれたこと、ならびに会談の成功を支援するために尽力したことに謝意を表明した。 彼らはまた、2021年と2022年に両国の代表者間の対話セッションをホストしたイラクとオマーンにも謝意を表明した。

中国の王毅政治局委員は、北京でのイランとサウジアラビアの会談の成功について、「これは対話の勝利であり、平和のための勝利であり、世界が激動の時代に大きな朗報をもたらすものだ、中国は、誠実で信頼できる仲介者としてホストとしての義務を忠実に果たした、中国は今後も世界のホットスポット問題に対処する上で建設的な役割を果たし、大国としての責任を果たしていく」と述べたとされる。

中国の果たした役割に対して、サウジのサルマン国王、MBS皇太子はともに感謝しているとされ、また、イランも、今回の関係正常化合意は、最高指導者、ハメネイ師の承認を得ているとされる。声明にも言及があった過去の接触をホストしたオマーンのバドル・アル・ブサイディ外務担当相はツイッターで、サウジとイランの国交再開は「誰にとっても『ウィンウィン(相互利益)』であり、地域と世界の安全保障に恩恵をもたらす」と述べた。

(コメント)注目点で示したとおり、今回のイラン・サウジの外交関係正常化の合意は、中国外交の勝利といえる。中国にとっては、習近平体制が異例の3期目に入ることが全人代で決定された当日に合意が発表されたことで、国内的には、習近平体制の外交の成果を誇るとともに、対外的には、ウクライナ危機で、中国が対話による戦争終了を訴えていることを補強する材料になるともいえる。
中国は、イランとの間で2021年3月に、今後25年間にわたる当面4千億ドルの長期戦略パートナーシップ協定を結んでいる。一方、2022年12月には、習近平国家主席がサウジを訪問して、中国サウジの二国間首脳会談、中国GCC首脳会談、中国アラブ首脳会談を実施し、中国はサウジとの間で、12月8日、「包括的戦略パートナーシップ協定」署名。 中国企業は、新エネルギー、クラウドコンピューティング、物流、建設ほか34の投資協定に署名した。ウクライナ危機を背景にした原油価格高騰で財政的に余裕が出てきたサウジアラビアは、NEOMはじめ意欲的なメガプロジェクトを推進し、新時代の地域のリーダーとして存在感を高めている。こうした中で、中国との関係強化は、地域開発の面でも必要不可欠とみられる。一方のイランは、米国とのJCPOA復活に向けた核協議は一向に進まず、米国の対イラン制裁は解除される見通しはたたず、経済財政は悪化の一途をたどり、昨年9月からは、ヒジャブ着用問題をきっかけにした反体制抗議運動が収まらず、最近では、女子学生の中毒問題が発生し、対外的には、超強硬派が主導権をとったネタニヤフ政権から、イランの核開発阻止にむけた実力行使の脅威を受けている。こうした状況下の生命線は、中国やロシアとの関係強化であった。サウジとの関係改善は、イランにとっても、地域の緊張緩和のために歓迎すべき動きといえる。
気になるのは、サウジの次の動きである。最近、オマーンがイスラエルの航空機に対して領空通過を認めた。サウジは、2020年8月のUAE・イスラエルの国交正常化直後、イスラエル航空機の領空通過を認めている。トランプ政権末期、アラブ諸国は、UAEのほか、バーレーン、スーダン、モロッコが次々とイスラエルとの国交正常化を実現したが、サウジはそれに踏み切らなかった。しかし、今回のサウジ・イラン間の外交関係正常化のバランスとして、サウジがイスラエルとの国交正常化に動くことも考えられ、UAEとの間で、域内経済開発の主導権争いでしのぎを削っているサウジの動向が注目される。
https://english.alarabiya.net/News/saudi-arabia/2023/03/10/Iran-Saudi-Arabia-agree-to-re-establish-diplomatic-relations-Iranian-state-media
https://twitter.com/KSAmofaEN/status/1634180277764276227?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1634180277764276227%7Ctwgr%5E10ad2f92f87d958bd6db3318ba8d8bf1c7e5cda7%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.aljazeera.com%2Fnews%2F2023%2F3%2F10%2Firan-and-saudi-agree-to-restore-relations

Posted by 八木 at 10:57 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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