豪シンクタンク発表の先端技術研究論文国別競争力ランキング結果(圧倒的存在感を示した中国。中東ではイランが目立った)[2023年03月03日(Fri)]
3月2日、オーストラリアのシンクタンク、豪戦略政策研究所(ASPI)は、エネルギーや人工知能(AI)、医療や防衛分野などにおける44項目について、2018〜22年に発表された影響力のある論文を分析し、重要な先端技術の国別研究競争力のランキングを公表した。全44項目のうち37項目で中国が1位となっており、次いで米国は7項目で1位となり、32項目で2位にとどまった。日本は44項目の中で、5位以内に入ったのは核エネルギーや量子センサーなどの4項目にとどまった。韓国は5位以内20項目で日本を上回った。中東勢では、イランが全体で6項目が5位以内で、サウジアラビアは1項目で5位となった。研究論文は、今後の各国の技術革新、技術開発の潜在可能性を物語っており、ASPIは中国が予想以上に多くの分野で米国に先行していることをみとめている。また、日本は、他の先進国・新興国との比較で遅れをとっているといわざるをえない。中東諸国の中では、イランが予想外に注目論文を発表しているといえる。
(44項目の概要と上位国)
1. 先端素材と製造
中国11分野(@ナノスケール材料と製造、A塗装、Bスマート素材、C先端複合素材、D新規メタマテリアル、Eハイスペック機械化プロセス、F先端爆発・エネルギー素材、G希少鉱物抽出、加工、H先端磁石と超伝導体、➉先端防御、J連続フロー化学反応合成、K3Dプリントを含む積層造形法)で1位独占。米国9分野、インド3分野で2位。日本2分野(H、J)で5位。イランは1分野(B)で4位。3分野(@、A、C)で5位。
2. AI、コンピューティング、通信
中国7分野(@5G,6Gを含む先端無線通信、A高度光通信、BAIアルゴリズム、C分散型台帳、D先端データ解析、E機械学習、F防御的サイバーセキュリティ)で1位。米国3分野(G高性能コンピューティング、H先端統合電気回路デザイン・組み合わせ、➉自然言語処理)で1位。米国7分野で2位。中国3分野で2位。3位には、インドが6分野、英が3分野、韓国が1分野を占めた。サウジアラビアが、1分野(A)で第5位を占めた。日本は、10分類すべてで5位以内にランクインせず。
3. エネルギーと環境
中国8分野(@動力用水素・アンモニア、Aスーパーキャパシター(大容量蓄電)、B蓄電池、C太陽光発電、D核廃棄物管理・リサイクル、E指向性エネルギー技術、Fバイオ燃料、G核エネルギー、で1位独占。米国は6分野で2位。韓国、インドがそれぞれ1分野で2位。日本は1分野(G)で3位のみ。イランは1分野(F)で4位。
4. 量子
米国は1分野(量子コンピューティング)で1位。中国は同分野で2位。中国は、3分野(Aポスト量子暗号、B量子通信、C量子センサー)で1位。2位は米国。日本は、1分野(C)で4位。
5. バイオ、遺伝子、ワクチン
中国が2分野(@合成生物学、Aバイオ分野製造)で1位。米国が1分野(Bワクチン、医療対策)で1位。
6. センシング、タイミング、ナビゲーション
1分野(光センサー)で中国1位。米国2位。インド3位。
7. 防衛、宇宙、ロボット、輸送
中国4分野(@極超音速を含む先端航空エンジン、Aドローンおよび協調型ロボット、C自発的システム運用テクノロジー、D高度ロボティックス)、米国2分野(B小衛星、E宇宙船打ち上げシステム)で一位。中国2分野、米国4分野で2位。イランは1分野(@)で第5位。
https://www.aspi.org.au/report/critical-technology-tracker
(44項目の概要と上位国)
1. 先端素材と製造

2. AI、コンピューティング、通信

3. エネルギーと環境

4. 量子

5. バイオ、遺伝子、ワクチン

6. センシング、タイミング、ナビゲーション

7. 防衛、宇宙、ロボット、輸送

https://www.aspi.org.au/report/critical-technology-tracker
Posted by 八木 at 16:01 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)