国連総会におけるロシア軍即時撤退決議採択(中東諸国の基本的姿勢に変化なし)[2023年02月24日(Fri)]
本2月24日で、ロシアが「特別軍事作戦」と名付けたウクライナ侵攻開始からちょうど1年となる。そのタイミングで、ニューヨークの国連総会においてウクライナにおける戦争終了とロシア軍の即時撤退を求めた総会決議案が採決に付された。米国時間23日の採決の結果は、賛成141、反対7、棄権32で、決議案は採択された。この採決での注目点は、ロシアのウクライナ侵攻に対する国際社会の見方が変化したか否かであった。結果として、1年前と国際社会の支持・不支持の構図は大きく変化していない。中東諸国の立場にも大きな変化はみられない。但し、中東諸国は、トルコを含め欧米主導の対ロシア制裁には加わっていない。軍事的には、トルコがウクライナにドローンを供与し、イランがロシアにドローンを供与しているとされる。これまでの主要な決議の結果と中東諸国の対応をまとめておく。
1.2022年2月25日の安保理のロシア非難決議案
中国、インド、UAEが棄権。ロシアの拒否権行使で決議案は成立せず。
2.2022年3月2日ロシアの即時撤退を求めた国連総会決議
賛成141(UAEは賛成。ほかサウジを含むGCC、エジプト、イスラエル、トルコなども賛成。BRICSのブラジルは賛成。)、反対5(含むシリア)、棄権35(含イラン、イラク、アルジェリア、スーダン。インド、中国、南アも棄権)。モロッコは投票参加せず。
3.2022年3月24日のウクライナの主権・領土保全支持する国連総会決議
賛成140 (GCC、エジプト、トルコなど賛成。イラク、南スーダンは前回の棄権から賛成に転じた。BRICSのブラジルは賛成。)、反対5(含むシリア)、棄権38(含イラン、アルジェリア、スーダン。BRICSのインド、中国、南アも棄権)。
4.2022年4月7日の国連人権理事会からのロシアの追放を決定した国連総会決議
賛成93、反対24(イラン、中国を含む)、棄権58(中東諸国のバーレーン、イラク、ヨルダン、クウェート、オマーン、カタール、サウジ、UAE、エジプト、イエメンは、前回の賛成から棄権に回った)
★BRICSのブラジルやサウジ、UAE、エジプトなど中東主要国は棄権に回った。
5.2022年10月12日のロシアによるウクライナ4州併合無効とする国連総会決議
賛成143(サウジ他中東諸国大半を含む。BRICSのブラジルは賛成)、反対5(シリアを含む)、棄権35(アルジェリア、中国、インド、南アを含む)
6.2022年11月15日のロシアに対するウクライナ賠償を求める国連総会決議
賛成94(トルコ、カタール、クウェートを含む)、反対14(シリア、イランを含む。中国も反対)、棄権73(サウジ、UAE、エジプトほかを含む。BRICSのブラジル、インド、南アも棄権)
7.2023年2月23日の戦争の終了とロシアの即時撤退を求めた国連総会決議
賛成141(イラクをはじめとする中東諸国の大半を含む。BRICSのブラジルは賛成)、反対7(シリアやアフリカのマリを含む)、棄権32(アルジェリア、イランを含む。BRICSの中国、インド、南アは棄権)、また、ベネズエラは決議不参加。
https://news.un.org/en/story/2023/02/1133847
1.2022年2月25日の安保理のロシア非難決議案

2.2022年3月2日ロシアの即時撤退を求めた国連総会決議

3.2022年3月24日のウクライナの主権・領土保全支持する国連総会決議

4.2022年4月7日の国連人権理事会からのロシアの追放を決定した国連総会決議

★BRICSのブラジルやサウジ、UAE、エジプトなど中東主要国は棄権に回った。
5.2022年10月12日のロシアによるウクライナ4州併合無効とする国連総会決議

6.2022年11月15日のロシアに対するウクライナ賠償を求める国連総会決議

7.2023年2月23日の戦争の終了とロシアの即時撤退を求めた国連総会決議

https://news.un.org/en/story/2023/02/1133847
Posted by 八木 at 15:31 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)