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中東の緊張拡大の鏡となるレバノン情勢(クルダヒ情報相辞任の意味) [2021年12月16日(Thu)]
2020年8月4日ベイルート港で大爆発が発生。この爆発で200名以上が死亡、6,500人以上が負傷し、最大で30万人が家を破壊されて住む場所を失ったとされています。港湾倉庫には2,750トンの硝酸アンモニウムが安全対策が不十分なまま6年にわたり保管されていたとのことです。爆発の威力は凄まじく、爆風は10km先まで及び、ベイルート市内の病院の半分は半壊し、爆発の振動は200km離れたキプロス島でも感じられたほどとのことです。この影響を受けてディヤブ・レバノン内閣は辞表を提出しましたが、次の内閣が決まらず、2021年9月10日、首相指名を受けていたミカティ氏とアウン大統領が閣僚名簿に合意し、2020年8月以来、1年1カ月にわたって続いた政治空白が解消することとなりました。ミカティ内閣発足により、レバノン情報相に就任したのがクルダヒ氏です。クルダヒ情報相は、テレビ番組で、イエメンのフーシー派が、「外国の侵略から自衛している」と発言しました。これに猛反発したのがサウジアラビアです。サウジは、駐レバノン大使を一時帰国させたほか、駐サウジ・レバノン大使を追放しました。バーレーン、UAE、クウェートなど一部湾岸諸国も同調しました。サウジは、レバノンからの輸入を全面停止しました。2021年12月3日クルダヒ情報相は、自身の利益よりも、レバノン国民と国家の利益を優先するとして辞任を表明しました。これと前後して、レバノンの旧宗主国仏のマクロン大統領が、サウジを訪問して、実質的指導者ムハンマド・ビン・サルマン(通称MBS)皇太子と会談して、レバノンとの経済的取引を正常化するよう求めたとされます。これに対して、サウジは、12月15日時点で、レバノンに対する禁輸を解除していません。レバノンの産業の中心である農産品の36.5%がサウジ向けといわれており、レバノン国民は、一閣僚の発言とそれに対するサウジの過剰なまでの反応に、一層の苦難を強いられています。

因みにイエメンのフーシー派は、シーア派ですが、イランの12イマーム派とも一線を画すザイド派に属する外部勢力ではないイエメン土着の武装勢力です。サーレハは1978年以来イエメンを率い、90年からは南北統一イエメンの大統領時代に数回フーシー派と軍事衝突しましたが、その都度停戦が実現しています。サーレハ(前)大統領は、2011年にアラブの春を受けて大統領の座をハーディ副大統領に譲りましたが、その後、フーシー派と一緒になって、サウジ主導のアラブ連合軍と戦ったこともありました。しかし、2017年12月4日、サウジとの和解に走ろうとした矢先に、フーシー派によって殺害されました。トランプ政権末期の2021年1月10日、ポンペイオ国務長官は、フーシー派をテロ組織に指定し、バイデン政権発足の前日の1月19日に発効させました。バイデン政権は、2月この指定を解除しています。

イランの影響力拡大を懸念する米国やサウジアラビアは、レバノンにおけるイランが支援するヒズボラの影響力拡大に苛立ちを強めています。ベイルート港の爆発以来、レバノンでは、燃料不足、電力不足が深刻になり、国民の不満が高まっていました。失業率は30%を超え、ガソリン価格も過去数か月で5倍以上に跳ね上がったとのことです。これに対してディヤブ暫定内閣は、何ら有効な手を打つことができず、その状況を打開するためにヒズボラは、イランに対して、石油製品をイランの石油タンカーで、シリアに輸送し、シリア経由でレバノンに燃料を届けるよう要請、搬入をアレンジし、2021年9月には、イラン産燃料のシリア経由レバノン搬入が実現しました。ヒズボラは、国民から喝さいを受けました。これに危機感を覚えたのが米国です。2021年9月米国の了解の下、米国の制裁対象国シリアを含め、ヨルダン、エジプト、レバノンの四か国エネルギー関係大臣会合が開催されました。米国は、既存のアラブ・ガスパイプラインを通じて、ヨルダン、シリア経由でレバノンにエジプト産の天然ガスを運ぶアイデアに同意しました。このアイデアは、シリアが米国の「シーザー・シリア市民保護法」の制裁下にあるにもかかわらず、シリアを加えてプロジェクトを進めるという点が注目されました。さらに、米国は、9月29日、ヒズボラの動きを抑制するために、湾岸アラブ諸国のヒズボラ権益に関連する個人7名、1団体に対し、制裁を発動しました。

以上のように、レバノンの危機は、中東情勢の緊張関係を色濃く反映したものとなっています。レバノン国民がそのつけを支払っているという点を忘れてはならないと思います。

Posted by 八木 at 11:43 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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