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独は初めてヒズボラ全体をテロ組織と認定し、独国内での活動を禁止[2020年05月06日(Wed)]
4月30日、独内務省は、レバノンのヒズボラならびに関連組織の独国内での活動を禁止する命令を発出し、関連施設の捜査を開始した。ヒズボラのナスラッラー書記長は、独の決定は政治的であり、ヒズボラは、欧州内にいかなる組織も有していないと反論した。

(参考1)独内務省プレスリリース骨子(2020年4月30日)
●4月30日、ホルスト・ゼーホーファー内務大臣は、ドイツでのシーア派テロ組織ヒズボラ(「神の党」の意味)によるすべての活動を禁止した。30日午前6時に、警察当局はベルリン、ブレーメン、ミュンスター、レックリングハウゼン、ドルトムントなどの都市の施設を捜査した。
●ヒズボラに対する禁止命令は、民間団体協会法(Vereinsgesetz、VereinsG)のセクション15(1)およびセクション18のセンテンス2とともに、セクション3(1)に基づいている。ヒズボラの活動は刑法に違反し、組織が国際理解の概念に反対しているためである。ヒズボラは外国の組織であるため、組織自体を禁止および解散させることはできない
●禁止を課す命令によると、ヒズボラのシンボルを公に、集会で、またはたとえば印刷物、音声または視覚資料で使用することは禁止されている。さらに、民間協会法の適用範囲で利用可能なヒズボラの資産は差し押さえられ、ドイツ連邦共和国の利益のために没収される。
●禁止の発令に責任を負う当局として、連邦内務・建設・コミュニティ省は、ヒズボラがイスラエル国の暴力的排除を公然と呼びかけ、イスラエル国の生存の権利に疑問を投げかけている。したがって、その組織は、それが政治的、社会的、または軍事的な構造として活動しているかどうかにかかわらず、基本的に国際理解の概念に違反しているとみなしている。
●ドイツの治安当局は、ヒズボラなどのテロ組織を取り締まり、ドイツでの活動に対して厳格な措置を講じるために、法の支配のすべての利用可能な手段を行使している。今日施行された禁止に加えて、これにはドイツを拠点とする下部組織の捜査が含まれる。
●この禁止令が発表されたときにドイツの潜在的な下部組織の証拠が隠滅されないようにするために、今日の午前6時、ノルトラインヴェストファーレン州、ブレーメン、ベルリンの警察当局は、合計4つの協会施設と各協会のリーダーの住居の捜査を行っている。捜査対象の協会は、テロ組織に対する財政的支援と宣伝のため、ヒズボラの一部を形成しているとの疑惑がもたれている。
https://www.bmi.bund.de/SharedDocs/pressemitteilungen/EN/2020/04/ban-of-hizb-allah-activities.html;jsessionid=7ED4FA5C84E743F7A76B019D39DD2DBD.2_cid364
https://www.dw.com/en/german-government-bans-hezbollah-interior-ministry/a-53287126

(参考2)ナスラッラー・ヒズボラ書記長の反論(5月4日)
●5月4日、ヒズボラのハッサンナスラッラー書記長は、アル・マナール衛星チャンネルでのスピーチで、ドイツ当局によるモスクやレバノン人の住宅への強制捜査を非難するとともに、今回のドイツの決定は政治的であり、イスラエルと米国を満足させることを目的としている、ヒズボラは欧州のいかなる国にも世界のどの国にも(関連)組織を持たない、ドイツに組織を有していないという時に我々は100%正直であると強調し、海外のレバノン人はイスラエルに対する抵抗を支持し、ヒズボラとは何の関係も有してないと述べた。
https://english.almanar.com.lb/1021935
(コメント)ヒズボラは、軍事部門のみならず民生部門、政治部門を有するレバノンの多面性を有する組織である。1982年のイスラエルのレバノン侵攻を契機に誕生し、イスラエルへの「抵抗」活動をスローガンに活動を継続してきている。レバノンの民兵組織としては、イスラエルへの「抵抗」を理由に唯一武装解除を免れ、政治組織としては、1992年のレバノン総選挙で128議席のうち12議席を獲得して以来、レバノンの議会に参加しており、2018年の選挙でもヒズボラ・ブロックは13議席を有している。レバノン内閣にも歴代閣僚2名を送り込んでいる。2013年、EUはヒズボラのいわゆる「軍事」部隊をテロ組織としてリストアップしたが、政治部門は、指定を免れてきた。EU内では、オランダと英国が、ヒズボラ全体をテロ組織にしており、ほかには、イスラエル、米国、カナダ、ホンジュラス、パラグアイ、アルゼンチンが同様の立場をとっている。米国は、まだオバマ大統領時代の2015年12月、ヒズボラへの金融制裁を強化するための法律HR2297を成立させている。湾岸諸国は、2016年2月にヒズボラをテロ組織に指定し、その立場は、翌3月のアラブ内相会合でも一部の国の留保はあったものの、エンドースされた。すなわち、アラブ諸国の多数は、依然アラブ諸国の一部を占領しているイスラエルとの戦闘を、もはや「抵抗」活動とは認めず、米、イスラエルとともに、イスラエルへの敵対行為を「テロ」行為であるとの立場をとったことになる。それは、GCCがヒズボラをイランの傀儡であるとみなし、旧来の敵であったイスラエルよりもイランを脅威と見だしたことを意味する。
独の今回の措置に対して、イスラエル、米国政府、米国ユダヤ人委員会、サウジは歓迎している。ヒズボラに対して、従来慎重な対応をとってきた独がなぜ、このタイミングで、イスラエル、米国と同じ立場を打ち出したのか。イスラエル軍筋は、過去1か月でシリア国内のイラン部隊関係の拠点を少なくとも5回攻撃しており、イラン部隊がシリアからの一部撤退を開始したことを明らかにした。ロシア国内のプーチン大統領に近いメディアからは、アサド大統領の再選の見通しが低いとの世論調査結果も発表された。4月10日、米国国務省は、ヒズボラのイラク駐在の重要人物であるムハンマド・カウサラーニの活動、ネットワーク、および仲間に関する情報に対して最高1000万ドルを提供すると発表した。これら一連の動きは、イランのイスラム革命防衛隊コッズ部隊司令官カーセム・ソレイマーニの殺害後のタイミングをとらえてヒズボラへのイランからの補給路に位置するシリアとイラクにおけるヒズボラの支援者とネットワークに打撃を与えようとの狙いが感じられる。独が、米、イスラエルの意向を受け入れ、ヒズボラの孤立化に舵を切ったとすれば、プーチン大統領を含め、この地域の主要プレイヤーが、アサド後をにらんで、今後のシナリオを共有し始めた兆しともいえ、今後のシリア・レバノン情勢は、要注視段階に入ったといえる。

Posted by 八木 at 14:19 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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