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プーチン大統領に近いメディアが最近アサド政権批判報道を繰り返す背景[2020年04月27日(Mon)]
ロシアのプーチン大統領に近いメディアが最近、シリアのアサド政権への批判記事を頻繁に発出していることを、イスラエルやトルコのメディアがキャリーし、その意図について様々な憶測が飛び交いだしている。プーチン大統領の最も近い側近の1人であるエフゲニー・プリゴジンが所有するロシア連邦通信社は、容赦のないアサド政権批判を展開した。通信社の所有者であるプリゴジンは「クレムリンクッカー」として知られ、ロシア軍の指揮下でシリアとリビアで戦っていた民間傭兵ワグナーグループにも資金を提供していることで知られている。これらの最近の前例のないほどシリア政権を攻撃したロシアのメディアの報道をうけて、イスラエルのチャネル12と13は、イスラエルの情報機関筋のコメントとして、クレムリンがアサド大統領に対する立場をすでに変え始めていると推定し、プーチン大統領からアサド大統領に対して、「あなた(アサド大統領)が(ロシアに)従わなければ、あなたは追放されるであろう」との警告を発したものとみている。ロシア・メディアのアサド政権糾弾は、Covid-19流行に起因する世界的な経済危機と、アサド政権に前例のない制裁をシリア政権との支持者、特にロシアとイラン課すことになる米国シーザー・シリア市民保護法の適用(参考2)が間近に迫っているタイミングで実施された。
(参考1)ロシア・メディアが報じたアサド政権批判の主な指摘
(1)イマード・ハミース首相への汚職・腐敗疑惑:最初の重要な報告は、政権の首相であるイマード・ハミースのオフィスで横行している腐敗に焦点を当てており、ロシアとアサド政権の間の経済的パートナーシップに影響を与える「最高の政治レベルでの腐敗」の温床になっている。また、ハミース政権は、シリアの長い時間の停電を正当化するために石油とガスの供給について人々に故意に嘘をついたと非難。2019年以来のレバノンへの電力の輸出で違法な資金を蓄えたと糾弾。
(2)再選を目指すアサド大統領の人気の低下:政府機関の2番目のレポートによると、世論調査では、アサド大統領の人気は、国の経済問題に加えて政権の首長に近い人々が関与する腐敗のために減少していることが示された。2021年の大統領選挙でシリア人の32%だけがアサド再選を支持すると指摘。同報告は、「現在の指導部はまだ国民の願望を満たしていない」ことを考慮して、人々は改革と危機を克服できる強い「新しい」政治家を待っていると指摘した。別の調査報道では、シリア国民は、トップの腐敗、低い生活水準、電気の欠如をはじめとする生活必需品の不足を踏まえ、次回大統領選挙であなたはアサドに投票するかどうか、という質問に対して、53%以上が否定的な回答を行った。
(3)ロシア企業のシリアでの営業に関する不満:3番目のレポートは、ロシアの企業と投資がシリアで直面している制限と障害に焦点を当て、腐敗に立ち向かうアサド大統領の意志と決意の欠如を指摘。 「もし腐敗がテロよりも悪い場合、」と言ったアサド大統領の言葉に言及の上、「ロシアはテロを打ち負かした方法でシリアの腐敗を打ち負かさなければならない」と強調。シリア側は、わいろを使うことを辞さずアプローチする中国企業に便宜を図り、ロシア企業が不利な立場に置かれることを許容しない。
(4)アサド一家に対する批判:アラビア語のツイッターでまず発信され、それをフォローしたメディアで、アサド大統領が彼の妻アスマーに3000万ドルの価値がある英国の芸術家による絵画を買ったと指摘。発信アカウントの信頼性が低いにもかかわらず、それはロシアの新聞ガスノボスティとロスバルトによって報告された。これらの新聞に加えて、ほとんどのシリア人が貧困状態にある間、アサド一家が享受する異様な豊かさに焦点を当てた記事も掲載されている。
(5)UAEに接近するアサド政権へのけん制:ロシアの新聞「スバボドナヤプラサ」は、UAEの対シリア政策が、ロシアの利益に沿わないため、アサド政権がとり始めているUAEとの密接な関係により、ロシアは確かにシリアの大統領に不満を抱く可能性があると指摘。同報告は、UAEがこの地域で拡大しているサウジアラビアとトルコの影響力を上回る形でシリア・ファイルへの干渉を活発化させたと指摘した。

(参考2)シーザー・シリア市民保護法案2019
この法案は成立していないが、その一部は、2020年国防授権法(National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2020)に盛り込まれている。
●この法案は、シリアの紛争に関連する機関と個人に対する追加の制裁と財政的制限を確立する。
●財務省は、シリア中央銀行が主要なマネーロンダリングの懸念のある金融機関であるかどうかを決定する。その場合、財務省は、国内の金融機関に、銀行が関与する取引に関する追加の記録を維持するよう要求するなど、1つ以上の特別な措置を課す。
●大統領は、外国人に対して制裁を課すものとする。(1)シリア政府、またはシリア、ロシア、イランに代わって行動する人々に重要な支援を差し伸べ、または重要な取引に従事する外国人。 (2)シリア人に対する深刻な人権侵害に責任があることが明白になっている者。
●法案はまた、軍事用航空機、政府の国内石油生産技術、米国軍需品リストの項目、大統領が犯行に使用されていると信じている項目など、シリアにさまざまな商品やサービスを故意に提供している人々、シリアの人々を虐待し、人権侵害に使用されていると考えられる項目に制裁を課す。
●制裁措置には、金融取引の阻止と米国への入国禁止が含まれる。そのような制裁は、人道的援助の提供またはシリアの民主主義制度の支援に関連する活動には適用されない。
●大統領は、それが米国の国家安全保障上の利益にある場合を含め、特定の条件下で制裁を一時停止することができる。
●国務省は、シリアで戦争犯罪の責任者を起訴するために犯罪捜査を実施し、証拠を収集している機関を支援する権限を与えられる。
(コメント)プーチン大統領が実際にアサド大統領の交代、あるいは失脚を望んでいるのかについては、確証はない。プーチン大統領は、本年1月7日、プーチン・ロシア大統領は、シリアの首都ダマスカスを訪問し、アサド大統領と会談した。プーチン大統領がシリアを訪問するのは、2017年12月のラタキア近郊のロシア軍のフメイミム空軍基地訪問以来(注:基地内でアサド大統領と会談)で、首都ダマスカス訪問は、2011年のシリア内戦ぼっ発後初めてであった。さらに、3月23日には右腕のショイグ国防相をダマスカスに派遣し、アサド大統領と会談させている。しかし、アサド大統領は、3月27日アブダビ皇太子でUAEの事実上の指導者ムハンマド・ビン・ザーイド国軍副司令官と数年以上ぶりの電話会談しており、ロシアの意向に沿わない地域情勢に関する動きを勝手にしないよう警告を発した可能性がある。シリアの大統領は歴代圧倒的な得票率で当選しており、2021年の大統領選挙を控えて、シリア国民の3割しかアサド再選を支持しないとの世論調査結果をあえて、プーチン大統領に近いメディアが報じること自体異例である。それでは、プーチン大統領が簡単にアサド政権を見捨てるかといえば、そうではない。現在までアサド政権が維持された最大の理由は、2015年9月30日以来のロシアのシリアへの軍事介入があったからである。最近のOPCWによる2017年のシリア軍による化学兵器使用を結論付けた報告についても、ロシアは強く批判し、OPCWは信頼性を失ったとこき下ろしている。アサド大統領にかわる人物も容易に見いだせない。シリア政権を支えるイマード・ハミース首相とシリア内戦で「タイガー部隊」を率いたスハイル・アル・ハッサン大佐の名があがることがあるが、シリアの分裂を防ぐには、不十分である。とくに、今回、ハミース首相は、腐敗の象徴として取り上げられたことは痛手である。また、レバノンのヒズボラとの関係を維持する必要があるイランは、現時点で、イランとレバノンを結ぶ補給路にあたるシリアでアサド大統領以外の選択肢は考えられない。こうした中、米国はシーザー・シリア市民保護法で、アサド大統領の戦争責任を追及し、政権を支持するイラン、ロシアにも制裁の構えを示している。シリア国内では電力不足等、国民の政権への不満が高まっている。ロシアは、シリアの戦時から復興期への移行の中で、アサド大統領を続投させるべきか、大統領に引導を渡すべきか、渡すのであれば、どのようなタイミングになるのか、メディアを通じて、シリア国内外の反応を確かめようとしている。
https://m.arabi21.com/Story/1264347
https://www.trtworld.com/magazine/what-s-behind-pro-putin-media-attacks-on-syria-s-assad-regime-35689

Posted by 八木 at 11:17 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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