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石油販売を巡るサウジアラビアとロシアの仁義なき戦い[2020年03月14日(Sat)]
2016年12月のサウジが代表するOPECとロシアが代表する非OPECとの減産合意成立後、サウジとロシアは、減産調整による原油価格の安定のため、協力してきた。しかし、3月6日のOPEC+会合での減産調整失敗で、サウジは本格的に原油の増産、低価格販売戦略を加速させており、3年間続いた蜜月は終了し、今やサウジとロシアの仁義なき戦いに発展する様相を呈している。
(ロイター等報道要旨)
●サウジアラビアは、ロシアとの石油価格戦争が激化する中、欧州とアジアにおけるロシアの大手石油精製業者を標的に、バレルあたり25ドルという低価格でサウジ産石油を市場投入する準備をしている。サウジの国営石油会社アラムコは、欧州で原油を処理する石油メジャーおよび精製業者から、4月にすべての追加要求量を供給すると語った。石油価格は年初から半減している。ロシアとOPECが新たな石油減産調整に失敗した後、世界を代表する石油生産国であるサウジアラビアとロシアの間の緊張は全面的な価格戦争に燃え上がった。
●サウジアラビアは4月に生産量を260万bpd引き上げることを約束。UAEのアブダビ国営石油会社ADNOCは、市場シェアをめぐる戦いに加わり、生産量を4月に400万b/bに、さらに500万b/dにひきあげると発表。サウジアラビアは、石油の公式販売価格を大幅に引き下げ、トレーダーによると、アラブライトとアラブミディアムバレルは、CIFロッテルダムベースでバレルあたり25〜28ドルの販売価格で提供された。Total、BP、Eni、SOCARなどの欧州の石油精製業者はすべて、4月にサウジ原油の追加供給のための割り当てを確認したとされる。サウジは今後の石油供給をさらに拡大するために約31隻のスーパータンカーを暫定的にチャーターしたため、タンカー料金が高騰した。
●ロシアのアレクサンドル・ノヴァク・エネルギー大臣は、3月13日、OPEC +パートナーとの交渉のテーブルに戻る理由はこれまでのところ見当たらず、4月に1日あたり200,000バレル(bpd)石油生産量を増やすことができると発言。ロシアの主要ブレンドであるウラルは、Refinitiv Eikonのデータによると、CIFロッテルダムベースで1バレルあたり30ドルをわずかに上回る価格で提供された。
(コメント)3月6日ジュネーブにおけるOPEC+会合において、ロシアはサウジが提案した150万b/dの追加減産提案を拒否し、減産調整が失敗したことをうけて、サウジはロシアへの報復行動を開始している。欧州市場でサウジアラムコは、25-28ドル/bで原油を石油買取大手に販売し始めており、ロシアのシェアを奪おうとしている。サウジは、市場への原油供給量を2020年1月の970万b/dから、4月には1230万b/d、その後、1300万b/dにも拡大しようとしている。これに合わせて、盟友のUAEも生産量を400万b/d、さらには500万b/dにまで拡大する動きに出ている。サウジの石油生産コストは低く、当面25ドル/bでも市場に原油を提示する能力を有する一方で、サウジの予算措置は、原油価格70-80ドル/bで計算しており、他方、ロシアのそれは、42ドル/bとされ、サウジがロシアから市場を奪い取るのか、あるいは、短期的は安値販売でロシアを一時的には排除することができても、中長期的に続けることは困難で、悪影響がサウジの財政に打撃を与える可能性もある。ロシアの大手石油企業は、減産に消極的であり、憲法を改定し、2024年に新たな大統領候補として出馬し、最長2036年まで権力維持を目論むプーチン大統領は、国内のエネルギー大手の支持を固めて権力基盤を強化しようとしている。サウジとロシアの価格競争激化と他の産油国の増産、ならびにコロナウイルス感染拡大による中国等での生産活動の低迷に基づく需要の低下、フライト停止・削減等航空燃料需要の減少等で、石油需要が低下すると予想される中、サウジとロシアの仁義なき価格競争の行方、ならびに価格低下が米国のシェール石油産業に与える影響が注目される。
https://www.aljazeera.com/ajimpact/saudis-sell-oil-25-market-share-grab-russia-reuters-200313144749965.html

Posted by 八木 at 14:43 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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