• もっと見る
イスラム世界との結びつきを通じて、多様性を許容する社会の構築についてともに考えるサイトです。

« 中東における新型コロナウイルス感染の拡大(3月10日:トルコで初の感染確認) | Main | 中東における新型コロナウイルス感染の拡大(3月11日:カタールで感染激増) »

検索
検索語句
<< 2024年03月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
最新記事
最新コメント
タグクラウド
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
プロフィール

中東イスラム世界社会統合研究会さんの画像
日別アーカイブ
https://blog.canpan.info/meis/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/meis/index2_0.xml
MBS皇太子によるサウジ有力王族粛清が続く中で、MBSと電話会談を行ったトランプ大統領 [2020年03月11日(Wed)]
ムハンマド・ビン・サルマン(通称MBS)皇太子は、国王就任のために必要な忠誠評議会への影響力行使のため、初代アブドルアジーズ国王の息子で、かつて王家内でもっとも影響力のあるとされたスデイリセブンとよばれた第二世代の有力王族であるアハマド・ビン・アブドルアジーズ王子のみならず、他の評議会メンバーも拘束し、自らの王位継承の障害を取り除こうとしている。こうした中、3月9日トランプ大統領は、MBS皇太子と電話会談を行ったことが明らかになった。

(参考)MEEの解説記事主要点
●3月8日、サウジアラビアの王位継承を決定する忠誠評議会(Bayaa)の2人目のメンバー、サルマン国王の亡き兄弟であるサード・ビン・アブドルアジーズの息子であるムハンマド・ビン・サード・アル・サウードを逮捕した。同王子拘束はアハマド・ビン・アブドルアジーズ王子、息子のナーイフ・ビン・アハマド、元皇太子であるムハンマド・ビン・ナーイフの拘束に続くものであった。他の忠誠員会のメンバーであり、MBNの兄で、現内務大臣の父であるサウード・ビン・ナーイフ東部州知事も一時連行されたが、釈放された。
●忠誠評議会は、アブドッラー国王によって2007年に創設された。主な目的は、サウジアラビアの創設者であり最初の王であるアブドルアジーズの息子全員が亡くなった後、権力闘争を避け、スムーズな継承を確保することであった。
評議会は、サウジアラビア王室のすべての王族たちの国王に対する集団的忠誠心を確保することを目的としており、もともとは34人のメンバーで構成されていた。メンバーが亡くなったり辞任したりしたとき、息子が交替するか、家族の一員が引き継ぐことになっている。
評議会には2つの主要な役割がある。国王が職務を遂行できるかどうかを決定するか、国王の辞任を受け入れるか、そして、国王から提示された3人までの候補者から皇太子を選定することである。皇太子の選択は投票によって決定されるが、国王の意向が大きな影響力を有している。(参考:2017年MBNが皇太子の座を退いた後、サルマン国王は、忠誠評議会に皇太子としてMBSを提示し、忠誠評議会は承認したが、反対した3名のうちのひとりがアハマド王子だった。)
●評議会の規則で重要な小条項は、国王が創立者の孫の1人である場合、彼の皇太子は家系(兄弟や息子など)からではないということ。これは、MBSが国王になると、従兄弟の一人を皇太子として選ぶことが期待されることを意味する。
●忠誠評議会が、認知症のサルマン国王がもはや王としての職務を遂行できないことを宣言するか、国王が自発的に退位するプロセスに権限を与えることができる。そうなればMBS皇太子は、国王に昇格することになる。
https://www.middleeasteye.net/news/exclusive-second-member-key-saudi-council-arrested-mbs-purge

(コメント)サウジ基本法の第5条は、サウジの権力構造を絶対君主制と位置づけ、アブドルアジーズ初代国王の息子(MBSのような第三世代ではない)がサウジ王位に対する主要な権利を有すると述べている。2017年 MBSは皇太子に任命されたが、この基本法の条文下では、アブドルアジーズの生存する息子であるアハマド王子が王位を主張する法的根拠が存在するとみられる。
MBS皇太子は、忠誠評議会の自由な投票では、自身が勝利することができるのか疑心暗鬼になり、あえて、王位就任に向けての最も重要なライバルかつ障害となっているアハマド王子やMBN元皇太子、自身に反対しそうな忠誠評議会メンバーを拘束したものと想像される。
一方、トランプ大統領は、3月9日なぜMBS皇太子に電話したのであろうか。2018年ロンドン滞在中のアハマド王子のサウジ帰国にあたって英国の情報部MI5と米国のCIAは、サウジ上層部から身柄の安全の保証をとりつけたとされる。トランプ大統領は、MBSにサウジの有力王族の拘束を解くよう求めたのであろうか。トランプ大統領にとって最も重要なのは、大統領選での再選であって、民主党の対抗馬がバイデン元副大統領になることが確実になりつつある中で、過去3年間の業績として誇れる米国経済の再生、その象徴として上がり続けていた株価が暴落するという事態の継続はぜひとも回避する必要がある。株価暴落の原因のひとつはコロナウイルス感染の拡大であるが、もうひとつは、OPECがロシア等非OPECとの減産調整に失敗し、中国等の需要が減っている中で、サウジが大幅増産に踏み切り、値引き販売に注力すれば、原油安が継続し、株価の低迷が続きかねないこと、米国のシェールガス産業にも打撃となりかねないことを心配し、石油増産方針を見直すよう求めたのではないかとみられる。
有力王族の拘束については、トランプ大統領はMBSにサウジの内政が必要以上に混乱に陥らないよう注文はつけた可能性はあるが、トランプ政権にとっても、MBSの国王就任は望ましいシナリオであり、王族の解放に向けて強い圧力をかけたとは考えにくい。

Posted by 八木 at 14:56 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

この記事のURL

https://blog.canpan.info/meis/archive/348

トラックバック

※トラックバックの受付は終了しました

 
コメントする
コメント