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2020年06月24日

【2020第6回】日本経済新聞社 人材教育事業局次長 長島 芳明さん

受講生のみなさん

今回のゲスト講師は、20年以上前に私を取材して以来、公私共々お世話になっている恩人で、日本経済新聞社 人材教育事業局次長の長島 芳明さんです。

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冒頭から事前課題に寄せられた質問に矢継ぎ早に答えていただく新しいzoom講義スタイルで驚きました。

そして、学生向けにとっておきの日経の読み方も教えてくださいました。

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圧巻は、後日送られてきました、学生たちの受講レポートの質問への回答です。許可をいただいて転載させていただきます。長島さん どうもありがとうございました。


▽いまメディアは批判されることが多いと思いますが、それでも続けられるモチベーションは何ですか。

批判されることは「よくなってほしい」という期待への裏返しでしょう。批判すらされず、無視されるようになったらおしまいです。

▽就職のこともあるので、家で講読している読売新聞を日本経済新聞に変えることを検討しています。長島さんから見て、各新聞社の特徴や良いところはありますか?

日経新聞以外の新聞は、記事をわかりやすく書こうとしています。政治へのスタンスは新聞によって異なるので、自分と相性のよい新聞を購読してみてはいかがでしょうか。そのうえで自分とは相いれない新聞を図書館などで読むと、多様な物の見方ができると思います。

▽コロナ後の内定に必要なものは、何だとお考えでしょうか。

内定の取り方について何か申し上げられる能力は私にはありません。

▽なぜトイレが汚い会社はだめな企業なのでしょうか。

職場は1日のうちでもっとも長い時間を過ごす場所です。そこのトイレが汚かったら社員はどのように感じると思いますか。

▽アフターコロナの世界はまだ予想できませんが、今の時点で何か考えていることはありますか。

あまり先入観を持たずに、起きている出来事の意味をまず考えるようにしています。それによって何が起こるのかを考えています。

▽新聞記事と共同通信や時事通信の記事に違いはあるのでしょうか。

通信社は新聞記事を新聞社に卸売りしているところだと考えてください。日経新聞はお身に事件ネタやスポーツに関する記事を通信社から仕入れています。地方の新聞社は東京や大阪といった大都市で起きているニュースを通信社から入手しています。

▽新聞業界が抱えている課題、この先乗り越えなくてはいけないであろう問題は何ですか?

日本語を使う人の減少だと思います。日本語の記事だけでは日本国内にしか情報を発信できません。

▽現在も仕事形態や新聞の電子化など昔とは全く違った働き方になっていると思います。今後の新聞業界でさらなる変化があると思いますが、何か予想していることはありますか。

働き方ではテレワークがより普及すると思います。新聞業界の変化については、全国紙といわれる新聞社が今の5つから3つぐらいまでに減ると思っています。

▽株についての知識はやはり社会人として必要でしょうか?

中学校3年生の公民の授業で習った程度のことは必要でしょう。

▽新聞記事の良し悪しはどのように判断するのでしょうか。久米先生のお話の中でも、「良い記事」といった言葉がでてきましたが、取材を受けた側から見て事実をそのまま書いてくれているのが良い記事なのか、読者に喜ばれるように多少なり事実を変えて話題を呼ぶ記事が良い記事なのでしょうか。もちろん事実をそのまま書くことは正しいと思いますが、商売として新聞を発行しているわけですし、多少盛っても悪いとは言えないように思います。

よりわかりやすく伝えるためだったり、読者の注目をひくために、記事の中のある部分を強調したり、省いたりすることはあります。ただ、これもやりすぎると読者から羊頭狗肉と思われ、メディアのブランド価値を落としてしまいます。何事も過ぎたるは猶及ばざるが如しなのでしょう。

▽本質的な理解をするためには何が必要なのでしょうか?

「なぜ」という疑問を繰り返すことだと思います。

▽日経新聞社の中でユーモアあふれる人材はいますか?

個人的なつきあいはほとんどありませんが、中村直文という編集委員はユーモアあふれる人物だと思います。

▽記事を書く際は会社が決めた文言に沿って書きますか?
言葉の使い方や表現については社内でルールがあるので、それに従います。

▽講義の中で家族の話が出てきて、Facebookにも家族の写真を投稿されていましたが、長島先生は家族の大切さはどこにあるとお考えでしょうか。

家族が大切であることに疑問を持ったことがないので、よくわかりません。強いて言えば、自分が窮地に陥った時に最後まで自分の味方になってくれるのが家族なのだと思います。

▽本日の講義を聞いて、新聞記者はやっぱり忙しいのだと感じました。仕事を続けてこられたモチベーションはどこにありましたか。

お金を払ってでも記事を読んでくれている人がいるということです。

▽アフターコロナの社会が今と比べて良くなるとは思うのですが長島さんは良くなると思いますか?例えば、毎日の満員電車は分散勤務により解消されたり、飛行機で言えば、エコノミークラスという概念がなくなりビジネスクラスが主流となったり、旅行が年に一度の贅沢な旅という風になったりする可能性が高くなると強く思います。

正直、よくわかりません。何が良くて悪いのかは人によって異なります。満員電車の解消はさておき、飛行機で旅行することがぜいたくになると、人と人の交流が乏しくなると思います。それによって国同士の相互理解が難しくなるのかもしれません。一方で温暖化ガスの排出量削減につながるとの見方もあります。

▽このような人は意外と新聞社に向いているかもしれない、など、就職面で意外な情報などがあれば知りたいです。また、日経新聞を読むにあたって、キーワード集を買おうか迷っているのですが、持っておいたほうがいいのでしょうか。

「ここだけの話」とか「耳寄りな情報」といった文言を聞いたら、眉に唾を付けたほうがいいと思います。「意外な情報」もそのたぐいの一つだと私は思います。自ら課題を見つけて自ら学ぶ人が新聞社に向いているとは思いますが、それは新聞社以外の会社にとっても同じでしょう。
キーワード集に限らず、本を買うかどうか迷ったら、まずは買って読んでください。読まずに悩むぐらいだったら、読んで後悔したほうがまだいいと思います。

▽私はなかなかその場ですぐに質問を考えることができないのですが、質問する力はどのように培っていけばいいと思いますか

私も質問をすぐに考えられません。取材では、事前に何を聞くべきかを考え、場合によってはそれを取材先に伝えておくこともしました。

▽日経新聞を読むのは、アプリでも問題ないか。

問題ありません。

▽本質をつかむ方法が気になりました。
きちんと勉強をして読み込んでいれば自分が何を取材すればよいのか見えてくるとおっしゃっていましたが、私は今一つ核心的なところを突けていないと思うことが多々あります。具体的に何に注意して調べればよいのかを教えていただきたいです。

核心的なところを毎回突ける人はそんなにいません。うまくいかなかったときにその理由を考え、次回に生かす。これを繰り返すしかないと思います。

▽取材から執筆のプロセスの中で正直一番めんどうくさい、やりたくないと思うところはどこですか。

原稿を書くことです。

▽話の終わらせ方のコツはありますか?

適当なタイミングで腕時計をみるようにはしていました。

▽物事への興味の源泉は何ですか?

申し訳ありません。あまり考えたことはありません。物事への興味がわかない人生はつまらなくないですか。

▽自身の経験から、会社の良し悪しを判断する基準としてトイレの清掃が行き届いているかを見ることを挙げられていましたが、ほかにもわかりやすいところで注目すべき点がございましたら切実に知りたいです。

工場や店舗よりも本社オフィスにお金をかけている会社はあまりお勧めできないです。顧客との接点や価値の源泉の場所に重きを置く会社はいい会社だと思います。

▽ニュースについて考えるときに大切にしていることはなんですか。

読者にとってそれがどのような意味があるのかということです。

▽変化に対応できる人が新聞記者に向いているというお話の中で、自分はあまり新聞記者に向いていないとおっしゃっていました。そのなかでも日経新聞一筋で来られたと思いますが、転職などをしようとは思わなかったのですか?

転職しようと思った時期が数年おきにありました。今もたまに考えたりします。

▽紙の新聞を読むというメリットは何かありますか。

誰もが言っていることですが、ある程度の量の情報を短時間で一覧できることです。

▽多少強引な取材をしている新聞記者の方もいらっしゃるのでしょうか。

いると思います。本人はそう思っていないかもしれませんが。

▽記事を書くコツが知りたいです

私も知りたいです。

▽今後どのような企業が伸びるかを見ることも大切だとは思いますが、今後どのような人が評価されるような世の中になっていくと感じていますか。

自分で課題を見つけ、自分で学べる人だと考えています。これまでもそうだったと思いますし、これからもそうあり続けるでしょう。

▽アフターコロナの中で、就職活動における企業選びの軸が多様化し、本当の意味の“安定”について考える方が増えてくるとは思うのですが、そういった学生が多い中でどのような点で差別化を図るべきでしょうか。

就職活動であまり策を弄さないほうがいいと私は思います。他者との違いを強調したくなる気持ちは理解できますが、やりすぎると自分で作った虚像と実際の自分とのギャップに悩んでしまうでしょう。

▽今後社会に出るにあたって、雑談力、アイスブレイクが重要になると思います。取材をする際に、アイスブレイクをすると思いますがコツなどがあれば教えていただきたいです。

私も知りたいです。

▽ニュースや記事を自分ゴト化して考える、ニュースに対して自分の意見をもつということがなかなか難しいのですが、長島さんがニュースに対して自分の意見をもつために心がけていることはありますでしょうか?

先入観を持たず、何が事実なのかをまず理解することだと思います。そこから先はアタマの体操です。

▽数学を学びなおしたいとおっしゃっていましたがわたしも数学が苦手です。これからさらにデータを読み取る力やインターネットを使っての仕事が増えると思うのですが、具体的にいまどんな勉強をしたいと考えていますか。また、大学生である今こういう勉強をしたらよい等ございましたら教えていただきたいです。

中学校の数学を学びなおしました。高校の数学をやり直そうと思ったのですが、挫折しています。中学校の数学をもう一度繰り返そうと思っています。大学生であれば、まだ学習能力が高いはずなので、高校の数学の教科書をやり直してみてはいかがでしょうか。

▽先を読む力をどのように付けるべきでしょうか?やはり日経新聞などを読んで情報を集めることがためになるでしょうか?

情報を集めたうえで、そこから何がこれから起きるのかを自分の頭の中で予測してみてはどうでしょうか。アタマの体操を繰り返すことが大事だと思います。

▽初めて会う方の予習が大切とおっしゃっていらっしゃいましが、入手した情報を効果的に使うコツのようなものはございますか?

あったら私も知りたいです。

▽今日の御講義とは関係なくて申し訳ないのですが、日経新聞のコラムである優しい経済学に、明治大学の富野教授が出ていらっしゃいますが、出てきてくださる教授の方はどのように選んでいるのでしょうか。

コラムを担当している編集者が誰にどのようなテーマで書いてもらえばよいのかを考えています。まれに執筆者から提案されることもあります。

▽知識を積む小さな生活習慣が色々だと思うので、幾つか教えてもらえますか?

ゲームをしないことでしょうか。スマホのアプリで毎日の学習記録を残せるものがあるので、それを使っています。

▽テレビは見ますか。

昔のドラマ、今であれば「刑事コロンボ」をみています。深夜に放送されているドラマはたまに面白いのがあるので、いくつか選んで録画しています。

▽新聞記者として初対面でこころを開かれていない取材相手から本音を引き出すために心がけていることがあれば教えていただきたいです!

相手に真摯に向き合うこと。「私はあなたに強い関心を持っている」という気持ちを伝えるようにしています。

▽今まで出会った新聞記者の方で一番凄みを感じた人はいますか。

身内になりますが、日経新聞の杉本貴司編集委員です。

▽これからの仕事のありかたであってほしい仕事方法は何ですか。

労働時間の長さよりも仕事の成果で評価されることだと思います。

▽新聞は最低でも2社読むべきと聞いたことがあるのですが、日本経済新聞と併せて読むとよい新聞社はどこなのでしょうか?

どこでもいいと思います。

▽新聞を読む上で日本経済の状況をある程度理解すると読みやすいとおっしゃっていましたが、日経新聞を読むにあたって長島さんが他に意識されていることはありますか?

特にありません。

▽今回のお話で長島さんは『有言実行する人』だと感じました。それとは反対に、手先が不器用という理由で家業を継ぐことを諦めたというとのことでした。英語の勉強やダイエットなど、一度決めたことを最後までやり通すことへのモチベーションはどんなものでしょうか。

数学の勉強のように、最後までやり通せていないものも多いので、何とも言えません。強いて言えば、自分がやったことを記録に残しておくことでしょうか。

▽思い出に残っているお仕事は何ですか?入社1年目で気を付けるべきポイントや姿勢は何でしょうか?

大阪本社にいたときに経済団体の統合に関するニュースを取材したことです。スクープは取れませんでしたが、読者をミスリードする記事は書かなかったとの自負はあります。
入社1年目で気を付けるポイントや姿勢は、謙虚であること。でも、これは入社2年目以降も同じです。

▽ペストのお話の中で、世界史の授業で習ったけれど忘れてしまっていたことが多くあったことに気づかされました。長島さんがそういった歴史の記憶を保つためにされていることがあれば教えていただきたいです。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉があります。大学生時代にこの言葉に触発されて歴史に関する新書を読むようになりました。

▽自身が日経新聞のひとであるという点を考えずに、新聞を読む習慣のない学生に対しておススメしたい、これをよんでほしい、と思うような新聞はどちらの新聞だと思いますか?

本当に新聞を読む習慣がないのであれば、各社が出している小学生や中学生向けの新聞を読んでみてはどうでしょうか。大人が読んでも勉強になることが書かれています。それに何よりわかりやすいです。

▽直接報道されていないことを読みとくために、訓練したことや努力したことは。

仮説を立て、それを取材で検証し、修正する。その繰り返しで仮説の精度が上がると思います。私の仮説の精度は低いままでしたが。

▽講義の冒頭でもおっしゃっていたように、新聞やテレビを見ているとフェイクニュースが非常に多いことに気づきます。世論のコントロールなのかと思うこともあり新聞を読むことが嫌になったこともありました。私は日本語英語でニュースをみることが多いのですが情報が都合の良いように切り取られていることが多くそれを国民が信じているという事実に悲しくなります。長島さんはこれについてどのようにお考えになりますか?

我々のようなオールドメディアがこれからも社会の中で存在させてもらうには、フェイクニュースを流さないことが大前提だと思っています。また、「情報が都合の良いように切り取られていることが多く」とありました。誤解を恐れずに言えば、編集という作業は情報を切り取ることです。何のフィルターもかけずにそのまま情報を流していったら、あまりにも量が膨大になり、読み手は価値判断ができなくなると思います。もちろん、ある特定の人や勢力にとって「都合の良い」論理がそこにあってはならないとは思っています。

▽どんな企業が成長してくると着目していますか

時代の変化に対応できる企業だと思います。

▽新聞社は広告ビジネスではありますが、デジタルにシフトした場合、紙面以上にコストがかかると思います。今後の新聞社と有益な情報を提供する評論家との差別化が難しくなると思いますが、その中での生き残りの政策は何かありますか。

ニュースにコメントされる方と我々とは共存関係にあると考えています。コメントの対象となるニュースを正確に早く報じるのが我々の役割なのでしょう。

▽今までのご経験と、勤められている会社の関係上もあるとは思いますが、長島先生が数字を重視していることが伝わってきました。人の気持ち以外、世の中数字で測れないことはあると思いますか?

ないと思います。

▽「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな時の「風」にあたる部分を見抜く力の養い方、コツがあれば教えていただきたいです。

私も知りたいです。コツとか秘訣といった、いわば魔法の杖的なものはないと思ったほうが期待外れにならずに済むと思います。無駄をいとわず、愚直に努力を積み重ねるしかないでしょう。

2020年06月17日

【2020第5回】ベンチャー経営者.支援者.作家 徳本 昌大さん

受講生のみなさん

今回のゲスト講師は、明治大学の先輩で、ベンチャー経営者・支援者・作家の徳本 昌大さんです。

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今回の授業では、徳本さんご自身の経験を元に、具体的な夢を抱くこと、それをSNSで発信することの大切さを教えて頂きました。

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ソーシャルメディアを武器にする10か条を実践して、受講生のみなさんの夢が叶うことを楽しみにしております。

徳本昌大さんのfacebook
https://www.facebook.com/masahiro.tokumoto

徳本昌大さんの書評ブログ
https://tokumoto.jp/

2020年06月10日

【2020第4回】ゴンドラ 取締役COO 野島秀洋さん

受講生のみなさん

今回のゲスト講師は、明治大学商学部 水野ゼミの先輩で、webマーケティングで新地平を切り開くベンチャー企業 ゴンドラ取締役COO 野島秀洋さんです。

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今回の授業では、実際のプロジェクトを例にとって、どうやってクライアントに最適のwebマーケティングを提案していくか、具体的な手法を学ぶことができました。また、ゴンドラなど複数のICT関連企業を統括するパイプドHD 取締役COOの深井雄一郎さんにも同席いただき、同グループへのインターンやアルバイトなどのご案内もしていただきました。どうもありがとうございました。

これをご縁に受講生のみなさんの新しい未来が展開することを楽しみにしております。


#ゴンドラ
https://www.gon-dola.com/

#パイプドHD
https://www.pipedohd.com/

2020年05月28日

【2020第3回】SALT 代表取締役 土倉康平さん

受講生のみなさん

今回のゲスト講師は、明治大学ラグビー部で活躍した先輩で、独創的なベンチャーSALTを起業された土倉康平さんです。

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ベンチャー起業というと、都心のおしゃれなオフィスに、数多くの若手社員というイメージを持つ方も多いと思います。ところが、土倉さんのお話を伺って目からウロコが落ちました。オフィスもなく、社員もいない。オンラインコミュニティと協働しながら仕事をしていく新しいワークスタイル。コストとストレス最少で、楽しさと幸せ最大を目指す、まったく新しいミニマルな起業モデル。21世紀の新しい働き方を学ばせていただきました。どうもありがとうございました。

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受講前レポートを反映したレジュメにチャットでの質疑応答を交えた、あっという間の100分。さっそく受講した明大生も感想をfacebookにアップしてくれました。早速ありがとうございます。

#金子拓哉 さんのfacebook
https://www.facebook.com/yuuyagold/posts/161618658696961

#鈴木栄華 さんのfacebook
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=119576299759403&id=100051211003900

他の受講生も、この記事のコメント欄に感想を寄せてください。facebookなどで記事を書いた場合は、コメント欄に記事へのリンクも張ってくださいね。

土倉さんから、昨日のレジュメを送っていただきました。ダウンロードして授業で学んだことを再確認してください。
明治大学商学部ベンチャービジネス論用資料.pdf

2020年05月24日

【2020第2回】毎日新聞社 医療プレミア編集長 佐藤岳幸さん

受講生のみなさん

今回のゲスト講師は、明治大学の先輩で、毎日新聞社の有料ネットメディア「医療プレミア」編集長の佐藤 岳幸さんです。

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実は、始まる直前、佐藤さんからパワポのレジュメが無いとのSOSが届いて、どうなるかと思いました。ところが、災い転じて福と...でありまして、これまでのzoom授業で最も双方向でイイ感じになりました。

レジュメなしで、佐藤さんと私で掛け合いをしつつ、社内ベンチャーでもある医療プレミアとそのベスト記事の裏話。そこにチャットで寄せられた質問に答えていくという絶妙な間合い。佐藤さんとは長い付き合いでしたが、私も初めて聴く話が多くて、新鮮でした。なんだか、ジャズのジャムセッションをしているような気分でありました。

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佐藤さん 受講生のみなさん どうもありがとうございました。明大で会えるようになった、有志でカレーを食べに行きましょう。

本日 佐藤さんが引用した
#毎日新聞 #医療プレミア のおすすめ記事は

たける 一緒に歩こう -難病・二分脊椎症奮戦記-
待ちに待った出産 そして病気の発覚 <連載第1回>
https://mainichi.jp/…/health/a…/20191223/med/00m/100/011000c

令和の幸福論
国家と医療〜新型コロナ対策
https://mainichi.jp/…/health/a…/20200501/med/00m/100/009000c

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久 米 信 行  https://www.facebook.com/nobukume
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久米繊維工業株式会社 取締役相談役     https://kume.jp/
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連載コラム【日経産業SmartTimes】https://tinyurl.com/nikkei-kume
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多摩大学 客員教授 / 明治大学 講師 / 社会貢献支援財団 評議員
東京商工会議所 墨田支部 副会長 / 墨田区観光協会 理事
新日本フィルハーモニー交響楽団 評議員 / 日本舞台芸術振興会 評議員 

【2020質疑応答1久米】就職活動に関する質問

受講生のみなさん

こんにちは!くめです!驚きました!明大でベンチャービジネス論を始めて15年になりますが、これほど多くの、しかも真剣な質問の数々が寄せられたことはありません。どうもありがとうございます。

私なりに要因を考えるに...

1 オンライン授業ゆえ5限でも参加できる学生が増えた
2 受講レポートを当日中提出にしたので考察時間が増えた
3 受講レポートの自由記入欄を質問と意見・感想欄に分けた
4 コロナ禍で就活への危機感や起業意欲が高まった
5 オンラインでむしろ講師が身近に感じられた


100近い、あまりにたくさんの質問が寄せられましたので、何回かテーマに分けて、心を込めて回答させていただきます。今回は、一番緊急度が高いであろう就職活動編です。

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==========みなさんからの質問==========

Q 就活をしていくうえで、コロナによってどのような影響があるのか、また、どの業界が成長していくのかなどを教えていただきたいです。絞れては来ているものの、興味のある業界が決めきれないのですが、決める上でのアドバイスがあれば教えていただきたいです。

Q アフターコロナでの社会の変化、成長する業界などを先生の視点から教えていただきたいです。

A コロナ禍の直接的な影響だけではなく、その後の大恐慌や経済のブロック化、さらにはデジタルトランスフォーメーションの影響を考えましょう。

コロナ関連のニュースばかり見ていると、往々にして、交通・観光・旅行業界や、飲食・小売・サービス業界など、直撃を受けている業種ばかりが気になります。しかし、コロナウイルスは引き金に過ぎず、本当に恐ろしいのは、その後の恐慌レベルの世界的な景気後退、さらには、デジタルトランスフォーメーションによる産業構造と働き方・暮らし方の大変革です。

つまり、コロナウイルス騒動が終わった後は、特定業種だけでなく全業種が、大恐慌とデジタル産業革命の大波をかぶることになります。

その大波にうまく乗るべく、ビジネスモデルや事業スタイルを変革できた企業だけが、生き延びることができるでしょう。


Q 今後のエンタメ業界はどう変わっていくとお考えですか。収束後も自粛ハラスメントが懸念されます。

A 目先のコロナ自粛の影響よりも、好みと楽しみ方の多様化への対応が重要です。


懇意の乃木坂46関係者にお聴きしたら、卒業ライブができなかった代わりにオンライン配信をしたら100万人近く参加したそうです。我らが新日本フィルハーモニー交響楽団もテレワークで「パプリカ」を配信したところ200万アクセスを超えました。お笑い芸人でも、テレビや舞台に立てない分、ネット配信で人気を高めるケースも増えています。

ただし、Youtubeなどの参加型メディアは、プロ以外のアマチュアにもチャンスを広げます。プロの配信を見るだけではなく、自分で実演配信した方が楽しいと気づいてしまう人も、もっと増えていくでしょう。さらに、それぞれの好みも多様化しているので、ヒットを飛ばすことは難しくなっていきます。

また「あつ森」が世界中で大ヒットして、1300万本を超えたそうですが、こうした参加型コミュニティのオンラインゲームよりも、既存のエンタメの方が面白いと感じてもらうのはなかなか大変そうです。ただし、そこで握手会やライブをしてい芸能人も出ておりますが。

つまり、ここでもデジタルトランスフォーメーションに対応しなければ、乗り遅れてしまうわけです。


Q 就職活動において、ベンチャー企業も視野に入れているのですが、企業選びをする際のアドバイスがあればお願いします。

Q ベンチャー企業よりも大手の方が安定していて良いと大手企業を中心に就職活動を進めていますが、どのように感じられますか?

A 安定期においては大企業の方が安定していますが、大変革期にはベンチャーや中小企業の方が有利な場合もあります。


恐竜が気候変動に生き残れず、小動物が生き残ったように、企業規模が大きく、これまでの事業スタイルがうまくいっていた企業ほど、古い体質、古い人材、古い利権にしばられて変化対応が遅れる場合もあるからです。

世界のニュースを見れば、毎日のように、あっと驚くような大企業が経営破綻や大リストラをしています。同じ先進国でも、欧米の国々では、一時帰休(レイオフ)や、大量解雇などができる仕組みがありますが、日本では法的にそれが許されません。

私が20代の時に体験したバブル崩壊の時は、勤めていた証券会社は、割増の退職金を払って早期退職制度を導入しました。つまり小さくて素早い企業になるには、高給取りの中堅以上の社員がいる大企業ほどコストがかかるのです。しかも、こうした場合、優秀で他社や独立起業でも食べられるような優秀な社員からやめていくことが、ままあります。

さらに恐ろしいことに、これからAIやロボットが人間を追い抜くシンギュラリティが起きると仕事自体が激減しますし、こうしたデジタルトランスフォーメーションをうまく活用した新興企業や異業種からの参入企業の方が一気に有利になることも考えられます。

ですから、必ずしも大企業ばかりが安定しているとは言えないのです。


Q 今就活中で多くの企業に目を向けているのですが、やはり業界を絞るべきでしょうか。

A 10年後も必要とされる業界で、10年後も残る企業を選ばなければなりません。


単に、去年まで好調な業種、コロナ禍で浮き沈みする業種を、目先で選んでは失敗します。デジタルトランスフォーメーションで、10年後に発展あるいは縮小する業界は何か、大きく形を変えそうな業界はどこか、想像力を働かせる必要があるでしょう。

例えば、日本の基幹産業のひとつ、自動車産業ひとつ見ても、様変わりしそうです。どれだけ電気自動車が増えるのか?自動運転への対応はどうか?シェアエコノミーで台数が減るか?ドローンにどれだけ市場を奪われるか?などの要因で、業界地図は大きく変わりそうです。

ですから、業界研究を読む前に、デジタルトランスフォーメーションやシンギュラリティの勉強をしましょう。


Q 現在就職活動をしているのですが、もう一度新卒になって会社を選ぶとしたらどんな点を最も大切にして企業を選びますか?教えて頂けると幸いです。

Q もし久米先生が今大学生だとしたら、何を基準にして企業を選びますか

A 新時代に合う理念・商品×大変革に取り組むリーダーと社員の覚悟×強靭な財務体質の三拍子がそろった企業です。


大変革が起きる途上にある10年後は、現在の延長線上にはありません。望まれる新商品・新サービスは、まだ現れていない可能性も高いのです。ですから、私ならコロナ後の人々の新しい価値観とライフスタイルにあった企業理念と商品・サービスのコンセプトを持った企業を探すでしょう。そのため「10年後の世界を想像しろ!考え抜け!」と自分で自分に言い聞かせるでしょう。

また、この荒波を乗り切ろうと大いなる覚悟を持つリーダーと、そのためどんな労苦も厭わない役社員がいる企業を探すでしょう。具体的には、ネットでの経営者のインタビュー記事はもちろん、社長から社員までSNSなどで積極的に情報発信をしていて、そのメッセージに感激・共感できる企業を選ぶでしょう。(信じられないと思いますが、今時SNS禁止の大企業も多いのです)

それから、この恐慌を乗り切るための資金手当てができているかどうかが、ここ数年は一番大切でしょう。黒字でも大企業でもキャッシュがなければ行き詰るのが企業経営の怖いところです。ですから多くの学生が見ようともしない財務諸表をキャッシュフローまでチェックしましょう。私なら、メインバンクと設定したコミットメントラインなどのニュースも気にします(あのトヨタ銀行でさえ締結)


Q「公務員」に対して(将来の選択肢の一つとして)何かご意見がありましたら教えていただきたいです。安定を求めたい自分もいれば、やりがいのあるクリエイティブな仕事もしてみたい(民間企業など)という自分もいて非常に悩んでいます。

A 国も多くの地方自治体も赤字体質で、しかも多くの仕事がAIやロボットに取って代われることを肝に銘じましょう。


コロナ禍の今こそ、公務員が安心という論調があるのには驚きます。ただでさえ財政赤字体質なのに、このまま人口減少が進めば、有名な野村総研のレポートのように「2040年までに896の自治体が消滅する」という予想さえあります。

その上、今回のコロナショックで各種補助金や対策費の支出がかさみ、さらにこれから始まる大恐慌で税収が減るのは明らかなのです。お金が無くなれば、さすがのお役所も大リストラをしないわけにいかないでしょう。

そのお手本は、エストニアのような電子政府、つまりデジタルトランスフォーメーションの進化系にならざるを得ないでしょう。コロナ禍で、隠されていな真実、役所ごとに独自のやり方や人力でやった仕事スタイルが明らかになり、その結果、マスクもお金も届かない非効率性が見える化してしまったのです。日本にたった一つのベストプラクティクスの電子政府モデルがあって、全自治体が採用していた、自治体ごとの独自の仕事のやり方や多重重複投資など必要なくなってしまうのです。しかも必要な人材は半分以下どころか、無人の業務さえ増えそうです。

加えて、何もかも自治体職員でこなそうとせず、ネットで連携する民間企業やNPOとのコラボレーションを進めた方が、地域や日本の全体最適となるでしょう。そう考えると、むしろ公務員こそ、劇的な働き方改革を求められることになりそうです。それはそれでエキサイティングかもしれません。


Q 久米先生は様々な仕事を経験してこられたと思いますが、お金を稼ぐための仕事を選ぶ基準はありますか?ありましたら教えていただきたいです。

Q 私は現在就職活動中で、就職先を決める上で何が一番重要な要素なのか悩んでいます。周りの友達と話していると、ついついブランドや給料など分かりやすいものに惹かれてしまう自分がいます。久米先生がこれまで社会人としてご活躍してきた中で、ご自身の中での物事の優先度は変化してきたでしょうか?そして、現在最も重要だと思うことは何でしょうか?様々なご経験をされてきた先生の意見を知りたいです。

A 人気企業ランキングにない、友人や家族も知らない未来のオンリーワン企業を探します。


私の場合は家業に役立ちそうな、まったく未知の新規事業という視点だったのですが、ご質問のような勤めぬく就職だとすると、ちゃんと長持ちして稼げる企業でないといけませんね。

まずは、就職人気ランキングに入っていて、両親が勧めたり、友人がうらやんだりするような企業は全部除外します。就職前後の競争が激しい上、入社時がピークでその後下り坂になるケースが多いからです。例えば、私の卒業時は、銀行や保険会社が大人気でしたが、入社した時のままの社名の会社は、今やひとつもありません。全部、倒産や合併・支店統合に見舞われ、役員どころか部店長になることさえ難しくなってしまったのです。

一方で、あえて名前は出しませんし、学生に対する知名度もないでしょうが、ひそかに世界のトップシェアを握っているような地味な企業も、日本には調べれば多々あります。多くは、B2Bの特殊部品や生産財の企業です。本社が地方にあることも少なくありません。

それから、もちろん、来るべきデジタルトランスフォーメーション後の世界で、プラットフォームとなったり、コア技術を持ったりするICT企業も、当然、選択肢になります。ただ、この世界は、技術革新があまりにはやく、浮き沈みが激しいので、業種・技術・企業の吟味がシビアです。

とにかく、友人たちから「聞いたこともない企業だな、なんでそんな企業に入るの?」と言われたら、その就職は成功だと思いましょう。


Q 私はずっと自分の好きなことに関わる仕事がしたいと思っております。周りでも、好きなことを仕事にしたいと考える人は多いです。個人的に「好きなことはお金を使ってやればいい」と言う先生の言葉は、苦手なことだからって敬遠する必要はないという意味だと解釈しました。しかし、先生は嫌いなことに挑戦してほしいと受講生に訴えかけているような気がしました。私が考えすぎなのかもしれませんが、先生は好きなことを仕事にすることについてどう考えますか。

A 好きなことを仕事にできれば最高ですが、どんな仕事も好きになれる方が変化対応力に富み、結果として楽しい生き方だと私は考えます。



好きなことができると思って会社選びをして、逆に挫折することも少なくありません。好きな業種に入っても、会社には必要な職種が山ほどあり、希望部署につけるとは限りません。さらに、あなたと同じように好きな花形職種を目指して入社し、独自のスキルを持った先輩・同僚・部下と激しい競争を勝ち抜かなくてはなりません。がんばって花形職種につけても、自分の好きなように会社がやらせてくれるとは限りません。仮に希望部門の責任者(時には社長)になっても、こんなはずじゃなかったと思うかもしれません。

つまり好きな会社に入っても、好きであるがゆえに悩みや苦しみが逆に大きくなる可能性もあるのです。そんな辛くてさびしい事例をたくさん知っています。激しい恋愛結婚ほど、いざ冷めたり憎み合ったりすると悲惨な結末を迎えるのに似ているかもしれません。

一方、前の回答にあるような、人気もなく、よく知らなかった会社に入ったらどうでしょう。もともと期待もしていないし、知識もないので、どんな職場に回されても新鮮に映るかもしれません。自分の得意ジャンルでなければ、素直に上司のアドバイスを聞けて、かえって上達がはやいかもしれません。そして、理想と現実のギャップにも悩まずに気が付けば3年10年と経てば、いつしかその仕事が得意になり、好きにもなっているでしょう。

私も、苦手な業種・職種を渡り歩いているうちに、どんな仕事も面白いものだと思えるようになりました。だから、どこに放り込まれても、それなりに楽しみながら、人並み以上の成果が出せる自信が持てるようになりました。昔は、私の祖父母や両親も含めてお見合い結婚が多かったのですが、逆に離婚が少なかのは不思議です。きっと、過剰な期待もせず、こんなもんだと暮らしているうちに、いつの間にか馴染んだからではないでしょうか。。


Q 全く違う業種の仕事に就いていた印象が強かったのですが失敗するリスクは考えていましたか?

A 常に修羅場で自転車操業だったので、失敗するリスクで悩んでいるヒマがありませんでした。


振り返れば、常に崖っぷちを歩いていたので、もちろん失敗するリスクは大きかったのです。だからリスクを考えなかったわけではありません。

しかし、ずっと修羅場を歩いていると、リスクに対する感覚もだんだんマヒして慣れてくるから不思議です。とび職の達人が、私たちなら立つことさえできない高層ビルの上でも作業ができるようなものでしょう。

さらに、立ち止まったらコケてしまう、とにかくこぎ続けなければならないような自転車操業の状況では、悩みこむ時間もありません。ただただ一所懸命こいでいたのです。

かといって、今はどうかというと、やはり足元がぐらぐらしている感じです。新大学での新しいプロジェクトなど、いつも挑戦を続けているからです。ファンタジー映画によくあるように、吊り橋が、自分の後ろで、どんどん崩れていくようなイメージを持ち続けています。おそらくこの感覚は一生続くでしょうし、それが当たり前だと思えば、不思議となれるものですし、ちょっと楽しい感じもします。


Q PCスキル、言語力、コミュニケーション能力と就職活動でチェックされる点は色々あると思いますが、先生はどれが一番大切だと思いますか。

Q SNS以外で、一緒に働きたい若者像はどのようなものですか?

A ここに書かれていませんが、当たり前のことを「すぐやる→やり抜く」意思の力が一番大切だと思います。


懇意の経営者や人事責任者と話して不満を聞くと、逆にどんな若者を求めているかがすぐわかります。

「やれと言ってもやらない」「強く言うと会社に来なくなる」
「ただやれと言っても動かない」「具体的な指示やマニュアルをくれという」
「上司や部下と交わらない」「公私の区別が明確すぎて付き合えない」
「たった3カ月でやめてしまう」「これからという3年でやめる」

つまり、スキル以前に社会人基礎力、自ら一歩踏み出す主体性、自分の頭で考える問題解決力、さらにチームと成果を出す協調性に欠けている若者が多いのが悩みなのです。

だから、懇意の編集者と、このベンチャービジネス論を通じて「起業の教科書」を創ろうと考えていたのですが、イマドキの明大生を見て「すぐやる技術」「やり抜く技術」を書くことに決めました。そして思いがけず、ベストセラーになって若者や経営者に読まれているのも、こんな当たり前のことができない人が多い証左でしょう。

詳しくは、2冊の教科書や、より詳しく書かれた私の他の著書を読んでみてください。
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Q YouTubeがメジャーになってきている世の中ですが、私はテレビがとても好きです。久米先生のお知り合いでテレビ業界関連の人はいますか。また、テレビ業界に入るためにやっておくべきことなどを知っていれば、教えていただきたいです。

A 今年は予定が合いませんでしたが、昨年のゲスト講師 NHKの平田直樹さんの講演録をご覧ください。


明治大学ラグビー部OBで、NHKで活躍されている平田さんが、昨年、一昨年と、ゲスト講師をしてくださいました。講義ブログに紹介されているのでご覧ください。またfacebookもされているので、記事や番組の感想などを添えて、直接お尋ねになってはいかがでしょう。

ひとつだけアドバイスすると、北斎のことと、大英博物館・あべのハルカスでの北斎展のこともよく勉強してから、16のルールに従って、失礼のないようにメッセージをお出しください。

https://blog.canpan.info/meiji_venture/archive/369
https://blog.canpan.info/meiji_venture/archive/356


Q ベンチャー企業にも多種多様なものがありますが、なぜゲームのベンチャー企業を選択したのですか?

A ゲーム会社とい業態よりも、企業理念と経営者にほれ込んだからです。


私は、家業を継ぐ勉強のために就職先を探していました。中小企業向けのコンサルティング会社に内定をもらってからは、当時、注目されていたベンチャー経営者に会える好機と、会社説明会めぐりを繰り返していました。

そして、当時ユニークな経営をしていたミサワホームの会社説明会に行ったときに、その子会社、イマジニアの存在を知ったのです。今で言うスマートホームのようなコンセプトに感銘し、神藏孝之社長(当時)と面談しました。

正直に、私は「父の会社を継ぐための修行のために就職すること」や「コンサルティング会社に内定もらっていること」を話すと、「馬には乗ってみよ」で、実際に現場に出なければ経営の勉強にならないと叱咤されました。そこで、次の瞬間には社長と握手していました。

現状では後発のファミコンゲーム会社で、しかも経営危機の状態だと知ったのは入社してからでした。でも、この修羅場で飛込営業とゲーム開発をしたからこそ、今の私があります。


Q 進路の決定などをする際に、周囲の方からの反発を受けた場合はどのように対処されていたのでしょうか。

A 私が選んで生きていく人生だからと、心から説得するしかないでしょう。


私の場合は、父の会社に戻ると約束していたので、ゲーム会社への就職でさえ反対はされませんでした。しかし、証券会社に転職する時は反対されました。自分は株式投資が大好きなのに、不思議ですね。後で聞くと、大会社に入ると、もう戻ってこないと思っていたそうです。

でも最終的には押し切りましたし、バブル崩壊後、父の会社に戻るときには「いい勉強をしたな」と言われました。

私も親だからわかりますが、子供にはつらい思いをさせたくないし、自分の成功体験や価値観を押し付けたくなるものです。でも、私は、どこの大学の授業でも「親が勧めるところには就職するな」と熱く語っています。(もちろん私の子供にも)

就職は親の見栄や安心感のためにするものではありません。自分自身の幸せ、自己実現のために就職するのです。講師である私も含めて、もし誰かの意見を聞いて就職したら、何か悪いことがあるたびに、その人を恨むことになるでしょう。かといって、その人が後始末をしてくれるわけではありません。結局は他人事なのです。

だからこそ、就職先は自分で考え、自分の責任で、自分で決断するものです。その強い覚悟を、親を含めて反対している周囲の人に伝えましょう。


Q 就職活動において、明治大学よりも上の人と競争するのに必要な能力は何だと思いますか。

A 今時、学歴を気にして、学閥を大切にしているような企業に未来はないでしょう。


何が上だかわかりませんが、そんな細かいことは気にする必要はありません。上?の人ほど、就職人気ランキング上位の企業を、レミングのように目指しますから、上記の通り、「人の行く裏に道あり花の山」と逆張りの就活をすれば、無意味な競争を避けられます。

お示しした「16の習慣」を身に着け、SNSを使って、企業のキーパーソンと直接つながる独自の就職活動をしましょう。

その練習のために、このベンチャービジネス論では、facebookを活用しているような先輩経営者やキーパーソンをゲスト講師にお迎えしているのです。

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久 米 信 行  https://www.facebook.com/nobukume
         https://www.instagram.com/nobukume/
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iU 情報経営イノベーション専門職大学 教授 https://www.i-u.ac.jp/
久米繊維工業株式会社 取締役相談役     https://kume.jp/
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著書一覧 【amazon  著者ページ 】http://amzn.to/ohUO9Z
連載コラム【日経産業SmartTimes】https://tinyurl.com/nikkei-kume
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多摩大学 客員教授 / 明治大学 講師 / 社会貢献支援財団 評議員
東京商工会議所 墨田支部 副会長 / 墨田区観光協会 理事
新日本フィルハーモニー交響楽団 評議員 / 日本舞台芸術振興会 評議員 

2020年05月13日

【2020第1回】私の起業体験とガイダンス

受講生のみなさん

こんにちは!講師の久米 信行です!

今年はコロナウイルスの影響で授業開始が1カ月遅れ、しかもzoomを使った授業になってしまいました。残念なところもありますが、逆に、今年しかできないこともあるはず。私も、いつになく気合を入れて3カ月間、みなさんの「濃厚な」時空を共有したいと思います。

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この講義の特色は、元気な起業家、社内起業家のみなさんに出会って、知恵と勇気をいただけることです。今年も、素晴らしいゲスト講師の方にご登壇いただきます。8人中5人が明治大学出身のOB,みなさんの先輩です。

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私も、年に一度、この場でしかお会いできないような多忙な各界のスペシャリストのみなさんです。ぜひ、以下の16のルールを習慣化して、ご縁を結んでください。きっと、みなさんの就職活動や起業に役立つスキルが身につくはずです。

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それでは、これから3カ月間、どうぞよろしくお願いいたします。

▼本日のレジュメはこちらです
20明大VB01.pdf

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2019年07月23日

★★★7/24教室変更★★★アカデミーコモン308F

受講生のみなさま

7月24日(水)5限の最終発表の教室が試験期間のため変更になります

明治大学商学部教室変更.jpg

【ベンチャービジネス論】教員:久米信行
 日時:7月24日(水)5限
 教室:アカデミーコモン308F

どうぞお間違えなきようよろしくお願いいたします。

久米 信行拝

2019年07月17日

【明大生からの質問】2019/04/24の質問

明大生からの質問20190424.jpg

問 たくさんのことをやろうとするとお金がかかってしまいます。大学生でどのような手段でお金を得ますか?
答 学生時代に様々な辛いバイトを体験しましょう。


大学時代、私はお金を得つつ社会勉強をするため何十種類もバイトを経験しました。特に効率的だったのは、キツイ引っ越しや夜間の掃除などの肉体労働でした。さらにお金がたまったのは、レタス畑の収穫やスキー教師など田舎での住み込みバイトです。食費など生活費が不要な上、お金を使う場所も無かったからです。

これらの辛い経験は、社会に出てからも役立ちました。「もっと辛い仕事が世の中にはある」ことを知ったことで、たいていの辛い仕事をきつく思わなくなったからです。また様々な現場で多様な考えと生き方をしている人たちを知ることで、誰とでも自然にコミュニケーションできるようになりました。


問 お金があまりないのですが、お金をかけずに自分の引き出しを増やすにはどうしたらいいですか?
答 ぐるっとパスで名画名品を。食べログでB級グルメを。サブスクで名画名曲を。図書館で名作を。


多感な大学生時代に東京の中心にある明大に通えるほど幸せなことはありません。学生時代に、どれだけ美しいもの(醜いもの)、美味しいもの(まずいもの)を味わったかどうかで、その後の人生の豊かさが決まるからです。

まずは東京や近郊の美術館・博物館の多くが入場無料ないしは割引になる「ぐるっとパス」を購入しましょう。1か月1100円換算の低コストで、片っ端から建物や近隣の公園や街並みも含むミュージアムウォッチングに出かけましょう。私は自転車通勤と「ぐるっとパス」を組み合わせて、月10回は展覧会を楽しんでいます。好き嫌い関係なしに古今東西の名作や名建築を見続けるうちに、目が肥えてきますし、自分の好みもわかってきます。そして、その習慣を10年続ければ、やがて嫌いなものがなくなって、何もかも美しく感じられるよう審美眼が磨かれることになります。

また、食べログなどを駆使して、自分の好きなB級グルメメニューを食べ比べましょう。例えば、神保町はカレーの聖地なので、週に1回は、ひとりでカレーの名店めぐりをするのも良いでしょう。たかがカレーでも、どうしてお店によってこれだけ味が違うのか、店の雰囲気が違うのか、顧客が違うのか、驚くでしょう。もちろん、ぐるっとパスで美術館・博物館めぐりをするなら、その界隈のB級グルメの名店を訪ねたり、パン屋さん、カフェめぐりも合わせて楽しむと良いでしょう。

また、今はアマゾンプライムなどのサブスクリプションサービスを活用すれば、月1000円前後で、古今東西の名画や名曲に触れることができて天国のようです。図書館に行って、名画や名曲ベスト100といったガイド本を手に入れて、好き嫌いにかかわらず、1年間でその本で紹介された全作品を味わってみましょう。自分の世界が広がるだけでなく、自分の生涯を変えてくれる師匠や先輩と話した時に盛り上がる「心の合鍵」にもなります。

もちろん時には、生演奏にも触れてください。東京はコンサートの宝庫ですが、ほとんどの人が、そのメリットを活用していません。調べれば、無料や格安の演奏会も多く、われらが新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートも安い学生券や当日券があるので楽しんでくださいね。

何より、日本ほど古今東西の本を、図書館で幅広く読める国はありません。日本の悪口を書いた自虐本までベストセラーになる国ですし、宗教・思想フリーだからです。ここでも、読むべき名作100のようなガイド本を見つけて、かたっぱしから読んでみましょう。

いずれにせよ、大切なことは、それらの感想を、短い言葉で良いから書き留めて、できればSNSなどで記録・発信しておくことです。それこそ、みなさんの心の成長の自分史になるでしょう。その地道な努力は、みなさんの評価を上げ、誰かの目に留まることもあるでしょう。


問 苦労の末に壊れないリスクとの向き合い方や、物事の引き際について教えてください
答 若いうちに応分のリスクに立ち向かうことで強くなれ引き際も直観でわかるようになります。


こればかりは理屈ではなく、時には痛みも感じながら、体で覚えるしかありません。だから、守ったり気を使ったりすべき家族や部下などがいない若い頃=傷つくのは自分だけで済む時=に、リスクに向き合う挑戦を繰り返すことが大切です。

若いうちにリスクを避け、うまく立ち回って偉くなったとしても、より大きなリスクが目前に迫ってきます。守るものが多くなり責任が増すからです。若い頃からリスクとの付き合い方に慣れ親しむことなく、より重大な決断をしなくてはならないとしたら、私だって逃げ出してしまうか、壊れてしまうでしょう。

味わった痛みの分だけ、強くなれるし、引き際のカンも良くなります。そして人にもやさしくなれるのです。ぜひ、若いうちに、応分の小さなリスクテイクから練習を反復してください。


問 この失敗があったからこそ今があるというような失敗はありますか?
答 例えばバブル崩壊を間近で見たから、投機はしない人生を歩もうと思いました。


証券会社勤務時代に、バブルに浮かれる人とその突然の崩壊で慌て苦しむ人を間近で見ました。私自身も、ボーナス払いで買った自社株で損をして、退職時には退職金どころか残りの借金を返済したぐらいです。また父が不動産などを過剰投資していたため、わが経営者時代は、の五十億円を超える債務返済をしてきたのです。

だからこそ、一攫千金ではなく、額に汗して、誰かに具体的に喜ばれる地道な人生が一番だと感じるようになりました。

もっと簡単に稼ぐ方法も学びましたが、あえてそれは使わない、むしろ自分を成長させて、その知恵や行動で社会還元しようと考えています。


問 自分の人より尖った「変さ」を強く認識する手段はありますか?
答 自分より優れた師匠に見つけてもらい伸ばすのが一番です。


残念ながら自分の長所は自分にはわかりづらくできているようです。それを自覚し伸ばせるのは一部の天才しかいません。往々にして、自分が尖った「変さ」だと思っているものは凡庸で、自分の中にある「当たり前の部分」こそが真の個性である場合もあるのです。

「守」「破」「離」という言葉があります。多くの人は、自分もこうなりたいと憧れる師匠に真似び=学びながら、その師匠から独自の個性を見つけ伸ばしてもらうことで、尖った変さを磨いていくと考えます。

また矛盾するように聞こえるかもしれませんが、尖った「変さ」は、すぐに誰かに認められるよりも、評価されない不遇の時期が長ければ長いほど、磨かれることも多いのです。何十年も、皆からバカにされ、辛い目にあっても、自分の個性を守り抜き、磨き上げた人だけが、偉大な変人になれると考えています。


問 どんな仕事であっても3年経たないと本当の楽しさがわからないか疑問に思いました?
答 もちろん、バイトをしながら、これは辛くて続けられないと思った仕事もありました。


例えば、その一つは大井競馬場でのガードマンのバイトです。ガードマン自体は立派な仕事だと思いますが、私の勤務は、事件もなく、あいさつを交わすことも道を訊かれることもなく、ただ立っているだけでした。何もしないでじっとしているのは楽勝かと思いきや、これほど辛い仕事は無いと悟りました。

自分の仕事が誰かに役立っているかどうかわからない。それでいて、何もアクションをせずに、じっとしていなくてはならない。これが辛いのです。

逆に、初日で辞めたくなるほど体がきつかったレタス畑収穫のバイトは、やっているうちに楽しくなりました。体が慣れてたくましくなったこともありますが、要領よくやると速くキレイに収穫できるとわかって面白くなったからです。また、汗をかいて仕事をした後の夕焼けが美しく見えたり、ごはんが美味しく感じられたりするのも意外でした。

ですから、フツーに言われる楽な仕事ほど私にとっては苦痛で、ツラいけれど達成感が感じられ、自ら上達成長できるキツイ仕事の方が私には向いていることがわかりました。


問 社畜になりたくないと思うのですが、社会の多くの企業はそんな人物を求めているのではないでしょうか?
答 20世紀はそうでしたが、これから社畜の仕事はAIロボットIoTに取って代わられます。


デジタルトランスフォーメーションで企業の在り方も働き方も一新されるのですから、まともな経営者なら、もう社畜は要らないと考えるでしょう。そうした守旧派の人たちは、むしろ新時代の抵抗勢力=AIやロボットに仕事を奪われるので導入反対する人たち=になりかねないからです。

社畜になりたくなかったら、即ち自分らしい働き方をしたかったら、会社の期待を超える成果を上げながら、マニュアルを超え、AI・ロボットではできない、独自の働き方を提示することです。それには、他の人の何倍も稼ぐ気概と行動力が大切で、その実績さえあれば、どんな会社に行っても社畜にはならないでしょう。

ただし、そんなニュータイプの働き方をしながらも、組織の中で浮かないように、むしろ上司などの食事や飲み会の誘いには積極的に出ましょう。実は、そんな場所でこそ、古くて新しい達人の働き方、あるいはこれから無くなる働き方を学ぶことができるからです。そして、先輩の教えも請いながら、新しい提案をできて賛同される人間関係を築きましょう。うすれば、新しい才能と働き方を、上司や同僚の嫉妬や妨害工作を受けずに貫けるでしょう。


問 外国人の方々と人間関係を築く時に、特に心がけていることはありますか?
答 外国人に限らず、相手の好きなもの・こと・ひとに関心を抱いて好きになるようにしています。


日本人の特技は、宗教や戒律などに縛られずに、相手の文化を矛盾なく受け入れ、好きになって、改良までしてしまうことです。それは、東京で食べられる世界の料理の多様さと美味しさを考えればわかるでしょう。

ですから、外国人であれば、その出身国の料理・文化・芸術などを調べて好きになることをすれば良いでしょう。同時に、日本に来ている外国人は、日本人以上に日本の文化を知り愛してくれています。マンガ・アニメ・ゲームなどのサブカルだけでなく、相撲・歌舞伎・能・浮世絵・刀剣・寺社仏閣・禅などの日本文化にも精通するよう勉強しましょう。

この考え方は、日本の地方出身者に対しても同じです。その土地を訪ねたことがあり、名所・旧跡や郷土料理を知っていて、地元の偉人を尊敬し、祭りに参加したことがあるとなれば、喜ばれるわけです。

つまり、自分と出自が違う人は、自分の知らない素晴らしい世界を知っている。それを「知りたい、味わいたい、愛したい、現地で体験したい」という情熱と好奇心が一番大切ということになります。


問 仕事と遊びを完全に分けて考えるのはよくないと話されていたと思いますが、その点についてもう少し詳しく聴きたいです。
答 これからの成熟化社会での消費の中心は「遊び」になるので「遊び人」しか仕事ができません

例えば、これからの日本の主力産業となる観光地域づくりの世界で活躍したいのなら、誰よりも旅行好きな、旅の達人になる必要があります。その土地土地の魅力を発見し、美味しい店かわいい店を探し、素敵な宿や温泉を誰よりも知らなくてはなりません。

しかし、私が全国各地の観光関連のみなさんに講演した時に、驚くのは、旅の達人が少ないことです。日本国内はもちろん、世界を旅して楽しんだ経験がないのに、お客様の気持ちがどうしてわかるでしょうか。また、肝心な地元の魅力を訪ねても、私よりも詳しくない場合も多いのです。つまり、地元を楽しみ味わい尽くしていないのです。

だから、私が心がけているのは、最高の旅人になることです。世界を旅するだけでなく、毎日のルーティンである、自転車通勤をしている時でも、旅なのです。新しい店を見つけたら入ってみて、通ったことのない路地があれば、そこに潜む絶景を探してみるのです。

言い換えれば、人生を誰よりも楽しむことが、お客様の知らないワクワクを創り出し提案できる、21世紀の企画開発者、起業できる経営者の条件なのです。。


問 新しいことに手を出すことが苦手です。どんな気持ちでいれば、自分の居場所を失わずにチャレンジを続けることができますか?
答 20代で安心できる自分の居場所など、本当の居場所ではないと捨て去ることです。


私は、自分が何もしないとつぶれてしまうような会社やプロジェクトを綱渡りしていきてきました。ファンタジー映画によく出てくるように、吊り橋を駆け抜ける足元から橋が崩れていくようなイメージです。足を止めずに前に走り続けなければ谷底に落ちてしまうので、自分の安住できる居場所などありませんでした。

でも、今ではその修羅場を感謝しています。ものぐさな私ですから、修羅場にいなければ、安住して何もしなかったと思うからです。逆に、新しいことにチャレンジする私を笑った人の多くは、残念ながら時代の潮流に乗り遅れて、廃業か倒産してしまいました。

つまり、人間は、苦手かどうかなど言ってられないような逆境に置かれて初めてポテンシャルを発揮できる「本来ものぐさな動物」だと考えます。焼け野原から日本人が奇跡の復興を成し遂げたのは、自分の居場所がなく、復興せざるをえなかったからです。

今のお役所や大企業にせよ、若者たちにせよ、新しいことにチャレンジしなくなったのは、何もしなくともとりあえずの間は安心な「居場所」ができてしまったからでしょう。しかし、「ゆでがえる」のたとえのように、居心地のように環境下、緩慢な変化に気づかないまま、ある日臨界点を超えて死に至っては、寂しい限りです。どんな安楽な居場所であっても、それはは決して永遠に残るものではないのです。


問 どのような経緯で色々な会社の社外取締役や団体の役員になったのですか?
答 誰よりもはやく新規事業にチャレンジし、発言機会があれば誰よりもはやく手を挙げたからです

まずは、数多くの修羅場を味わったことと、そこをブレイクスルーする新規事業や新団体の立ち上げの当事者になったことが評価されたのでしょう。絶滅危惧種のTシャツ屋の後継者となり、多大なバブルの負の遺産を抱えながら、インターネット活用などで生き残った。つまり火中の栗を拾った勇気と、それを乗り切る企画力・行動力・忍耐力がたまたま評価されたということでしょう。

また、講演会などでは、最前列に座って、最初に質問をして、最初にあいさつに行きました。誰も発言しない会議でも、真っ先に発言をしました。この習慣は現在も続けています。また、昨今では、明大講義で実践しているように、講演会で学んだことを即座にSNSで発信して、お礼メールやメッセージを差し上げて、ネットとリアル両面で交流することを続けました。

また、こんな私にでも声をかけてくださる方がいらっしゃったら、どんなに苦手で専門外のことでも、講演であれ、専門会議であれ、とにかく全部引き受けました。そして、たとえ素人の目線であっても、それを逆手に取った皆が驚く発言や提言をして、期待以上の成果を上げるように努力しました。

私が、授業の最初にあいさつ希望者を挙手で募ったり、質問するように促すのも、そんな理由からです。しかし、残念ながら、受講生の多くは「自分で自分のチャンスをつぶして」いますね。悲しいことです。


問 女性がはたらくことで 1)雇われている側にとって大切なことは何だと思いますか 2)会社側にとって大切なことは何だと思いますか?
答 1)甘えず自制せず普通の人の倍以上の成果を出す 2)中小・ベンチャーほど時流を先取りして重用


1)私を含め、多くの経営者仲間が昨今の志望者を見ると女性の方が優秀だと認めています。ただし、一部の女性は入社後、自発的に能力を活かし伸ばしていこうという意欲に欠け、言われた仕事をこなすだけになる傾向があります。むしろ社内起業家を目指すぐらいの意気込みで働いて「能ある鷹」は爪を出しましょう。ただし、意識高い系は、男女問わず先輩社員から嫉妬され疎んじがられる可能性も高いので、まずは倍の成果を上げられるようにし、同時に20代は、素直でかわいい社員でいるよう心掛けましょう。

2)優秀な社員が欲しい中小企業やベンチャー企業では、性別・年齢・学歴などにこだわらず重用する傾向があります。そこで、女性社員が働きやすい勤務形態・時間などを用意する企業も増えています。一方、年功序列や学閥などでガチガチの一部大企業では、コンプライアンスの視点で女性向け福利厚生を充実させていても、実質は男社会で女性が働きにくい場合もあります。ですから、企業規模・知名度などに関わらず、女性を大切にして、役員や幹部社員として女性が楽しそうに働いている企業を探すと良いでしょう。意外にたくさんありますよ。


問 やりたいことが多すぎて、うまくすべて回せないのが悩みです。時間は有限であるため、ある程度選択する必要があるのでしょうか?
答 人がやらない新しいこと・地味なこと・苦手なことに時間を割り振りましょう。


無意識のうちに、好きなこと、得意なことばかりやってしまうのが、私を含め人間の性です。ですから、有限の時間の一定割合は、自分の夢にリンクしつつも、自分が(多くの大学生=ライバルも)やりたくない苦手なことに挑戦するために割り振りましょう。

例えば、起業するにも新規事業を始めるにも、財務会計や決算書の知識は不可欠ですが、多くの明大商学部生は簿記の資格も持っていません。そこで、最低でも簿記3級は取得し、一歩進めて、中小企業診断士の勉強をするのもおすすめです。

また、海外で活躍して、要人と交流するには、古今東西の文化・芸術・歴史の知識は不可欠です。東京は美術館・博物館・大使館の宝庫ですので、ぐるっとパスなども活用しながら、週に1つずつ巡っていけば、かなりの勉強ができます。

あとは、国内外を貧乏旅行して、世界と日本の今を、現場体験してほしいですね。


問 独創共栄は造語だそうですが、それは相手を思いやるという意味が含まれていますでしょうか?
答 はいその通りです。個性・多様性の尊重と相互扶助・協働の意味を込めています。


独立自尊の精神は、たしかに集団無責任や同調性圧力過剰の日本において必要でした。しかし、その言葉が行き過ぎると、自分だけよければという個人主義が台頭して、コミュニティが崩壊します。

そこで、お互いの個性を尊重して「みんな違ってみんないい」と感じる寛容の精神を持ちながら、必要に応じて助け合い一緒にゴールを目指す、個人も仲間もコミュニティも思いやる生き方が「独創共栄」という言葉が目指す世界です。


問 嫌いなことをやり続けるためのコツはありますか?
答 反復練習を習慣化して3年ガマンすればできるようになる好きになると信じることです。


残念ながら反復練習するのが当たり前の習慣をつくるしかありません。

嫌いなことをやり続けるコツとして、まずは毎日続けられる短くて負荷の軽いトレーニングから初めて、3日坊主と3か月の壁を超えることです。3か月続けると習慣化して、続けるのが苦ではなくなります(ただし楽しくはありません)

3年の壁を越えれば、ある程度できるようになって楽しさもわかってきます。そして、苦手を克服した喜びも味わえます。そこに至る自信がなければ、師匠や仲間(ライバル)を作ると良いでしょう。

一つでも苦手克服の成功体験があれば、次に困難なことに取り組むときも、3日3か月3年の壁さえ超えれば大丈夫と目算できるようになります。


問 現在の大学生のインターンや就活・就活制度についてどのように感じていますか?
答 うらやましいと思います。しかし企業調査不足で経営者とSNSでつながらないのは不思議です。


私の大学生時代よりは、インターンもインターネットもありはるかに恵まれています。

ところが、多くの学生はそれを実感していないでしょうし、相変わらず企業調査も甘い上、就職戦線もみんなと同じ最前線に準備もせずに突進していくのは滑稽でもあります。

例えば、日経HRの渡辺茂晃さんがヒントをくださったように、SDGsに取り組む企業のガイド本を買って、そこを徹底的にインターネットで調べてはいかがでしょう。そして、そこで学んだことや大学生ならではの提言をSNSなどで発表してから、インターンに申し込んではいかがでしょう。もしも経営者や幹部がFacebookをやっていたら、メッセンジャーで直接アピールしてもいいかもしれません。たとえ、インターンを受け付けていなくても、面白い生徒だと思ってくれれば道は開かれるでしょう。

同様に、日経「未来面」に毎回、提言の投稿をして、1回でも採用されれば、それを武器に、当該社はもちろん、就活にも役立つでしょう。ここでも、経営者がSNSを活用しているような企業であれば、メッセンジャーで直接アピールできます。

つまり、既存の就活制度にとらわれなくとも、今や希少資源である自ら考え自ら行動する「意識高い系」大学生に出会いたい経営者は山ほどいて、そんな経営者ほどSNSを活用しているので、堂々と一番偉い人にコンタクトすれば良いのです。


問 一日の中で楽しみにしている時間はいつですか?
答 朝から晩まで楽しい習慣だらけなので決められません。


朝起きたら、ストレッチと体操をするのが好き。朝ドラを見ながら足つぼ刺激の板を踏みつつ、青汁ミルクとパンを食べるのが好き。骨伝導スピーカーで、好きなラジオのインタビュー番組ポッドキャスティングor1万曲入りiPodシャッフル再生を聴きながら、自転車で1時間の通勤をするのが好き。その途中で見つけた美しい景色を写真で撮ってインスタするのが好き。毎日初対面の人、あるいは尊敬する人と面談して、新しい発見をしつつ、お役立ちの提言をするのが好き。会社ビルの上で暮らす母のために、近隣のスーパーで美味しいお弁当やサラダを買って、徹子の部屋を見ながら一緒に食べるのが好き。尊敬する人たちが集まる企業orNPOの会議で、学びつつ皆が驚く意見を言うのが好き。全国各地の経営者や学生向けの講演会や研修で、目が輝く人と会うのが好き。訪ねた先で、町あるきをして、地元の人しかいかないようなB級グルメの店や、銭湯に行くのが好き。ぐるっとパスやJAFカードを使って、お得に美術館・博物館めぐりをするのが好き。道の駅で買ったご当地の食材を使った夕食をいただくのが好き。ホームシアターやタブレットで、世界の名画やアニメを見るのが好き。おふろにゆったり入りながら本を読むのが好き。タモリ倶楽部など、深夜テレビを見ながら、寝る前のストレッチや体幹トレーニングをするのが好き


問 様々な教えや情報をすべて正しいと思い込むことはリスクではないかと思いますがいかがでしょうか?
答 おっしゃる通りです。両面の意見を聴き、善悪を超えて、無記の状態で判断できるようになりたい


今は、図書館もインターネットもあるので、うまく活用すれば、様々な情報を峻別したり、いいとこどりをできるようになりました。

しかし、ご懸念のように、多くの人が自分の好きな都合の良い情報だけを入手する上、さらにAIで好きな情報リコメンドをされることで、ネトウヨ、ネトサヨ的な原理主義者になりがちです。

そうならないためには、両面の情報を手に入れる吟味することです。ディベートの手法で、自分と反対の意見を述べる側に立って討論するというのがありますが、それと同じことです。

例えば、あなたが右なら左の意見を、左なら右の意見を。キリスト教徒ならイスラム教を、あるいは仏教を学べば良いのです。私も、主張の異なる人が良く出演するようなインタビューに触れることで、偏りそうな自分を調整するようにしています。

それから、時間軸を長くとって、歴史を学ぶのも良いでしょう。現在の過ちの多くが、過去にも起きているのでヒントになります。良いと言われたものが悪いことをして、悪いと思われたことが良いことをしたなどという、善悪を超えた進化の過程を学べば、目先の善悪にとらわれなくなるでしょう。

一言で言えば、善悪を超えた「無記」の状態をつかめるようになる、二分法を超えると、精神的に自由になれるのですが、これは一問一答では答えづらいので、森 政弘先生の「無分別のすすめ」「退歩を学べ」などを読んでみてください。



2019年07月10日

【2019第10回】ゲスト講師 ベンチャー支援者・作家 徳本昌大さん

受講生のみなさん

本日ご登壇いただくゲスト講師は、明治大学の先輩で作家であり、数多くのベンチャーを応援している徳本昌大さんです。

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徳本さんは、最初のあいさつリーダーに躊躇していた
明大の後輩たちに、強烈なメッセージを発してくださいました。

それは、徳本さんの信条でもある「偶然力」を
味方をつける話です。

 人生には、予測不可能なことのほうが多いし、
 あなたは遭遇する人々や出来事の影響を受け続けるのです。
 結果がわからないときでも、行動を起こして
 新しいチャンスを切り開くこと。
 偶然の出来事を最大限に生かすことが大事なのです。

 J.D.グランボルツ

徳本さんは、毎日、書評ブログを書くことで、
著者である経営者、コンサルタント、編集者と
どんどん友達になっていきました。

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ブログを書くということは
誰かを応援する。ギブをするということ。

好きなことを好きな人と
するようになってから
人生がうまくいくようになった。

これがルール。
あとはその人が好きな人かどうか。

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様々な会社の社外取締役をするうちに
専門外のスキルも詰めるようになった。

コーチングで人生を変えると決めて
100の夢リストを書いてみる。

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お父さんお母さんに未来の相談をしてもダメ。
ブレーキを踏む人とはつきあうのをやめる。

幸せな人、元気な人、ビジョナリストと付き合う。

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受講生のみなさんは、徳本さんのメッセージや
10箇条を胸に、最終講義での「夢」発表に
取り組んでください。

そして、徳本さんが驚くようなビジネスプランがあれば
直接提案してみてください。


#ビジネスプロデューサー #徳本昌大 #書評ブログ
https://tokumoto.jp/