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2019年07月17日

【明大生からの質問】2019/04/24の質問

明大生からの質問20190424.jpg

問 たくさんのことをやろうとするとお金がかかってしまいます。大学生でどのような手段でお金を得ますか?
答 学生時代に様々な辛いバイトを体験しましょう。


大学時代、私はお金を得つつ社会勉強をするため何十種類もバイトを経験しました。特に効率的だったのは、キツイ引っ越しや夜間の掃除などの肉体労働でした。さらにお金がたまったのは、レタス畑の収穫やスキー教師など田舎での住み込みバイトです。食費など生活費が不要な上、お金を使う場所も無かったからです。

これらの辛い経験は、社会に出てからも役立ちました。「もっと辛い仕事が世の中にはある」ことを知ったことで、たいていの辛い仕事をきつく思わなくなったからです。また様々な現場で多様な考えと生き方をしている人たちを知ることで、誰とでも自然にコミュニケーションできるようになりました。


問 お金があまりないのですが、お金をかけずに自分の引き出しを増やすにはどうしたらいいですか?
答 ぐるっとパスで名画名品を。食べログでB級グルメを。サブスクで名画名曲を。図書館で名作を。


多感な大学生時代に東京の中心にある明大に通えるほど幸せなことはありません。学生時代に、どれだけ美しいもの(醜いもの)、美味しいもの(まずいもの)を味わったかどうかで、その後の人生の豊かさが決まるからです。

まずは東京や近郊の美術館・博物館の多くが入場無料ないしは割引になる「ぐるっとパス」を購入しましょう。1か月1100円換算の低コストで、片っ端から建物や近隣の公園や街並みも含むミュージアムウォッチングに出かけましょう。私は自転車通勤と「ぐるっとパス」を組み合わせて、月10回は展覧会を楽しんでいます。好き嫌い関係なしに古今東西の名作や名建築を見続けるうちに、目が肥えてきますし、自分の好みもわかってきます。そして、その習慣を10年続ければ、やがて嫌いなものがなくなって、何もかも美しく感じられるよう審美眼が磨かれることになります。

また、食べログなどを駆使して、自分の好きなB級グルメメニューを食べ比べましょう。例えば、神保町はカレーの聖地なので、週に1回は、ひとりでカレーの名店めぐりをするのも良いでしょう。たかがカレーでも、どうしてお店によってこれだけ味が違うのか、店の雰囲気が違うのか、顧客が違うのか、驚くでしょう。もちろん、ぐるっとパスで美術館・博物館めぐりをするなら、その界隈のB級グルメの名店を訪ねたり、パン屋さん、カフェめぐりも合わせて楽しむと良いでしょう。

また、今はアマゾンプライムなどのサブスクリプションサービスを活用すれば、月1000円前後で、古今東西の名画や名曲に触れることができて天国のようです。図書館に行って、名画や名曲ベスト100といったガイド本を手に入れて、好き嫌いにかかわらず、1年間でその本で紹介された全作品を味わってみましょう。自分の世界が広がるだけでなく、自分の生涯を変えてくれる師匠や先輩と話した時に盛り上がる「心の合鍵」にもなります。

もちろん時には、生演奏にも触れてください。東京はコンサートの宝庫ですが、ほとんどの人が、そのメリットを活用していません。調べれば、無料や格安の演奏会も多く、われらが新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートも安い学生券や当日券があるので楽しんでくださいね。

何より、日本ほど古今東西の本を、図書館で幅広く読める国はありません。日本の悪口を書いた自虐本までベストセラーになる国ですし、宗教・思想フリーだからです。ここでも、読むべき名作100のようなガイド本を見つけて、かたっぱしから読んでみましょう。

いずれにせよ、大切なことは、それらの感想を、短い言葉で良いから書き留めて、できればSNSなどで記録・発信しておくことです。それこそ、みなさんの心の成長の自分史になるでしょう。その地道な努力は、みなさんの評価を上げ、誰かの目に留まることもあるでしょう。


問 苦労の末に壊れないリスクとの向き合い方や、物事の引き際について教えてください
答 若いうちに応分のリスクに立ち向かうことで強くなれ引き際も直観でわかるようになります。


こればかりは理屈ではなく、時には痛みも感じながら、体で覚えるしかありません。だから、守ったり気を使ったりすべき家族や部下などがいない若い頃=傷つくのは自分だけで済む時=に、リスクに向き合う挑戦を繰り返すことが大切です。

若いうちにリスクを避け、うまく立ち回って偉くなったとしても、より大きなリスクが目前に迫ってきます。守るものが多くなり責任が増すからです。若い頃からリスクとの付き合い方に慣れ親しむことなく、より重大な決断をしなくてはならないとしたら、私だって逃げ出してしまうか、壊れてしまうでしょう。

味わった痛みの分だけ、強くなれるし、引き際のカンも良くなります。そして人にもやさしくなれるのです。ぜひ、若いうちに、応分の小さなリスクテイクから練習を反復してください。


問 この失敗があったからこそ今があるというような失敗はありますか?
答 例えばバブル崩壊を間近で見たから、投機はしない人生を歩もうと思いました。


証券会社勤務時代に、バブルに浮かれる人とその突然の崩壊で慌て苦しむ人を間近で見ました。私自身も、ボーナス払いで買った自社株で損をして、退職時には退職金どころか残りの借金を返済したぐらいです。また父が不動産などを過剰投資していたため、わが経営者時代は、の五十億円を超える債務返済をしてきたのです。

だからこそ、一攫千金ではなく、額に汗して、誰かに具体的に喜ばれる地道な人生が一番だと感じるようになりました。

もっと簡単に稼ぐ方法も学びましたが、あえてそれは使わない、むしろ自分を成長させて、その知恵や行動で社会還元しようと考えています。


問 自分の人より尖った「変さ」を強く認識する手段はありますか?
答 自分より優れた師匠に見つけてもらい伸ばすのが一番です。


残念ながら自分の長所は自分にはわかりづらくできているようです。それを自覚し伸ばせるのは一部の天才しかいません。往々にして、自分が尖った「変さ」だと思っているものは凡庸で、自分の中にある「当たり前の部分」こそが真の個性である場合もあるのです。

「守」「破」「離」という言葉があります。多くの人は、自分もこうなりたいと憧れる師匠に真似び=学びながら、その師匠から独自の個性を見つけ伸ばしてもらうことで、尖った変さを磨いていくと考えます。

また矛盾するように聞こえるかもしれませんが、尖った「変さ」は、すぐに誰かに認められるよりも、評価されない不遇の時期が長ければ長いほど、磨かれることも多いのです。何十年も、皆からバカにされ、辛い目にあっても、自分の個性を守り抜き、磨き上げた人だけが、偉大な変人になれると考えています。


問 どんな仕事であっても3年経たないと本当の楽しさがわからないか疑問に思いました?
答 もちろん、バイトをしながら、これは辛くて続けられないと思った仕事もありました。


例えば、その一つは大井競馬場でのガードマンのバイトです。ガードマン自体は立派な仕事だと思いますが、私の勤務は、事件もなく、あいさつを交わすことも道を訊かれることもなく、ただ立っているだけでした。何もしないでじっとしているのは楽勝かと思いきや、これほど辛い仕事は無いと悟りました。

自分の仕事が誰かに役立っているかどうかわからない。それでいて、何もアクションをせずに、じっとしていなくてはならない。これが辛いのです。

逆に、初日で辞めたくなるほど体がきつかったレタス畑収穫のバイトは、やっているうちに楽しくなりました。体が慣れてたくましくなったこともありますが、要領よくやると速くキレイに収穫できるとわかって面白くなったからです。また、汗をかいて仕事をした後の夕焼けが美しく見えたり、ごはんが美味しく感じられたりするのも意外でした。

ですから、フツーに言われる楽な仕事ほど私にとっては苦痛で、ツラいけれど達成感が感じられ、自ら上達成長できるキツイ仕事の方が私には向いていることがわかりました。


問 社畜になりたくないと思うのですが、社会の多くの企業はそんな人物を求めているのではないでしょうか?
答 20世紀はそうでしたが、これから社畜の仕事はAIロボットIoTに取って代わられます。


デジタルトランスフォーメーションで企業の在り方も働き方も一新されるのですから、まともな経営者なら、もう社畜は要らないと考えるでしょう。そうした守旧派の人たちは、むしろ新時代の抵抗勢力=AIやロボットに仕事を奪われるので導入反対する人たち=になりかねないからです。

社畜になりたくなかったら、即ち自分らしい働き方をしたかったら、会社の期待を超える成果を上げながら、マニュアルを超え、AI・ロボットではできない、独自の働き方を提示することです。それには、他の人の何倍も稼ぐ気概と行動力が大切で、その実績さえあれば、どんな会社に行っても社畜にはならないでしょう。

ただし、そんなニュータイプの働き方をしながらも、組織の中で浮かないように、むしろ上司などの食事や飲み会の誘いには積極的に出ましょう。実は、そんな場所でこそ、古くて新しい達人の働き方、あるいはこれから無くなる働き方を学ぶことができるからです。そして、先輩の教えも請いながら、新しい提案をできて賛同される人間関係を築きましょう。うすれば、新しい才能と働き方を、上司や同僚の嫉妬や妨害工作を受けずに貫けるでしょう。


問 外国人の方々と人間関係を築く時に、特に心がけていることはありますか?
答 外国人に限らず、相手の好きなもの・こと・ひとに関心を抱いて好きになるようにしています。


日本人の特技は、宗教や戒律などに縛られずに、相手の文化を矛盾なく受け入れ、好きになって、改良までしてしまうことです。それは、東京で食べられる世界の料理の多様さと美味しさを考えればわかるでしょう。

ですから、外国人であれば、その出身国の料理・文化・芸術などを調べて好きになることをすれば良いでしょう。同時に、日本に来ている外国人は、日本人以上に日本の文化を知り愛してくれています。マンガ・アニメ・ゲームなどのサブカルだけでなく、相撲・歌舞伎・能・浮世絵・刀剣・寺社仏閣・禅などの日本文化にも精通するよう勉強しましょう。

この考え方は、日本の地方出身者に対しても同じです。その土地を訪ねたことがあり、名所・旧跡や郷土料理を知っていて、地元の偉人を尊敬し、祭りに参加したことがあるとなれば、喜ばれるわけです。

つまり、自分と出自が違う人は、自分の知らない素晴らしい世界を知っている。それを「知りたい、味わいたい、愛したい、現地で体験したい」という情熱と好奇心が一番大切ということになります。


問 仕事と遊びを完全に分けて考えるのはよくないと話されていたと思いますが、その点についてもう少し詳しく聴きたいです。
答 これからの成熟化社会での消費の中心は「遊び」になるので「遊び人」しか仕事ができません

例えば、これからの日本の主力産業となる観光地域づくりの世界で活躍したいのなら、誰よりも旅行好きな、旅の達人になる必要があります。その土地土地の魅力を発見し、美味しい店かわいい店を探し、素敵な宿や温泉を誰よりも知らなくてはなりません。

しかし、私が全国各地の観光関連のみなさんに講演した時に、驚くのは、旅の達人が少ないことです。日本国内はもちろん、世界を旅して楽しんだ経験がないのに、お客様の気持ちがどうしてわかるでしょうか。また、肝心な地元の魅力を訪ねても、私よりも詳しくない場合も多いのです。つまり、地元を楽しみ味わい尽くしていないのです。

だから、私が心がけているのは、最高の旅人になることです。世界を旅するだけでなく、毎日のルーティンである、自転車通勤をしている時でも、旅なのです。新しい店を見つけたら入ってみて、通ったことのない路地があれば、そこに潜む絶景を探してみるのです。

言い換えれば、人生を誰よりも楽しむことが、お客様の知らないワクワクを創り出し提案できる、21世紀の企画開発者、起業できる経営者の条件なのです。。


問 新しいことに手を出すことが苦手です。どんな気持ちでいれば、自分の居場所を失わずにチャレンジを続けることができますか?
答 20代で安心できる自分の居場所など、本当の居場所ではないと捨て去ることです。


私は、自分が何もしないとつぶれてしまうような会社やプロジェクトを綱渡りしていきてきました。ファンタジー映画によく出てくるように、吊り橋を駆け抜ける足元から橋が崩れていくようなイメージです。足を止めずに前に走り続けなければ谷底に落ちてしまうので、自分の安住できる居場所などありませんでした。

でも、今ではその修羅場を感謝しています。ものぐさな私ですから、修羅場にいなければ、安住して何もしなかったと思うからです。逆に、新しいことにチャレンジする私を笑った人の多くは、残念ながら時代の潮流に乗り遅れて、廃業か倒産してしまいました。

つまり、人間は、苦手かどうかなど言ってられないような逆境に置かれて初めてポテンシャルを発揮できる「本来ものぐさな動物」だと考えます。焼け野原から日本人が奇跡の復興を成し遂げたのは、自分の居場所がなく、復興せざるをえなかったからです。

今のお役所や大企業にせよ、若者たちにせよ、新しいことにチャレンジしなくなったのは、何もしなくともとりあえずの間は安心な「居場所」ができてしまったからでしょう。しかし、「ゆでがえる」のたとえのように、居心地のように環境下、緩慢な変化に気づかないまま、ある日臨界点を超えて死に至っては、寂しい限りです。どんな安楽な居場所であっても、それはは決して永遠に残るものではないのです。


問 どのような経緯で色々な会社の社外取締役や団体の役員になったのですか?
答 誰よりもはやく新規事業にチャレンジし、発言機会があれば誰よりもはやく手を挙げたからです

まずは、数多くの修羅場を味わったことと、そこをブレイクスルーする新規事業や新団体の立ち上げの当事者になったことが評価されたのでしょう。絶滅危惧種のTシャツ屋の後継者となり、多大なバブルの負の遺産を抱えながら、インターネット活用などで生き残った。つまり火中の栗を拾った勇気と、それを乗り切る企画力・行動力・忍耐力がたまたま評価されたということでしょう。

また、講演会などでは、最前列に座って、最初に質問をして、最初にあいさつに行きました。誰も発言しない会議でも、真っ先に発言をしました。この習慣は現在も続けています。また、昨今では、明大講義で実践しているように、講演会で学んだことを即座にSNSで発信して、お礼メールやメッセージを差し上げて、ネットとリアル両面で交流することを続けました。

また、こんな私にでも声をかけてくださる方がいらっしゃったら、どんなに苦手で専門外のことでも、講演であれ、専門会議であれ、とにかく全部引き受けました。そして、たとえ素人の目線であっても、それを逆手に取った皆が驚く発言や提言をして、期待以上の成果を上げるように努力しました。

私が、授業の最初にあいさつ希望者を挙手で募ったり、質問するように促すのも、そんな理由からです。しかし、残念ながら、受講生の多くは「自分で自分のチャンスをつぶして」いますね。悲しいことです。


問 女性がはたらくことで 1)雇われている側にとって大切なことは何だと思いますか 2)会社側にとって大切なことは何だと思いますか?
答 1)甘えず自制せず普通の人の倍以上の成果を出す 2)中小・ベンチャーほど時流を先取りして重用


1)私を含め、多くの経営者仲間が昨今の志望者を見ると女性の方が優秀だと認めています。ただし、一部の女性は入社後、自発的に能力を活かし伸ばしていこうという意欲に欠け、言われた仕事をこなすだけになる傾向があります。むしろ社内起業家を目指すぐらいの意気込みで働いて「能ある鷹」は爪を出しましょう。ただし、意識高い系は、男女問わず先輩社員から嫉妬され疎んじがられる可能性も高いので、まずは倍の成果を上げられるようにし、同時に20代は、素直でかわいい社員でいるよう心掛けましょう。

2)優秀な社員が欲しい中小企業やベンチャー企業では、性別・年齢・学歴などにこだわらず重用する傾向があります。そこで、女性社員が働きやすい勤務形態・時間などを用意する企業も増えています。一方、年功序列や学閥などでガチガチの一部大企業では、コンプライアンスの視点で女性向け福利厚生を充実させていても、実質は男社会で女性が働きにくい場合もあります。ですから、企業規模・知名度などに関わらず、女性を大切にして、役員や幹部社員として女性が楽しそうに働いている企業を探すと良いでしょう。意外にたくさんありますよ。


問 やりたいことが多すぎて、うまくすべて回せないのが悩みです。時間は有限であるため、ある程度選択する必要があるのでしょうか?
答 人がやらない新しいこと・地味なこと・苦手なことに時間を割り振りましょう。


無意識のうちに、好きなこと、得意なことばかりやってしまうのが、私を含め人間の性です。ですから、有限の時間の一定割合は、自分の夢にリンクしつつも、自分が(多くの大学生=ライバルも)やりたくない苦手なことに挑戦するために割り振りましょう。

例えば、起業するにも新規事業を始めるにも、財務会計や決算書の知識は不可欠ですが、多くの明大商学部生は簿記の資格も持っていません。そこで、最低でも簿記3級は取得し、一歩進めて、中小企業診断士の勉強をするのもおすすめです。

また、海外で活躍して、要人と交流するには、古今東西の文化・芸術・歴史の知識は不可欠です。東京は美術館・博物館・大使館の宝庫ですので、ぐるっとパスなども活用しながら、週に1つずつ巡っていけば、かなりの勉強ができます。

あとは、国内外を貧乏旅行して、世界と日本の今を、現場体験してほしいですね。


問 独創共栄は造語だそうですが、それは相手を思いやるという意味が含まれていますでしょうか?
答 はいその通りです。個性・多様性の尊重と相互扶助・協働の意味を込めています。


独立自尊の精神は、たしかに集団無責任や同調性圧力過剰の日本において必要でした。しかし、その言葉が行き過ぎると、自分だけよければという個人主義が台頭して、コミュニティが崩壊します。

そこで、お互いの個性を尊重して「みんな違ってみんないい」と感じる寛容の精神を持ちながら、必要に応じて助け合い一緒にゴールを目指す、個人も仲間もコミュニティも思いやる生き方が「独創共栄」という言葉が目指す世界です。


問 嫌いなことをやり続けるためのコツはありますか?
答 反復練習を習慣化して3年ガマンすればできるようになる好きになると信じることです。


残念ながら反復練習するのが当たり前の習慣をつくるしかありません。

嫌いなことをやり続けるコツとして、まずは毎日続けられる短くて負荷の軽いトレーニングから初めて、3日坊主と3か月の壁を超えることです。3か月続けると習慣化して、続けるのが苦ではなくなります(ただし楽しくはありません)

3年の壁を越えれば、ある程度できるようになって楽しさもわかってきます。そして、苦手を克服した喜びも味わえます。そこに至る自信がなければ、師匠や仲間(ライバル)を作ると良いでしょう。

一つでも苦手克服の成功体験があれば、次に困難なことに取り組むときも、3日3か月3年の壁さえ超えれば大丈夫と目算できるようになります。


問 現在の大学生のインターンや就活・就活制度についてどのように感じていますか?
答 うらやましいと思います。しかし企業調査不足で経営者とSNSでつながらないのは不思議です。


私の大学生時代よりは、インターンもインターネットもありはるかに恵まれています。

ところが、多くの学生はそれを実感していないでしょうし、相変わらず企業調査も甘い上、就職戦線もみんなと同じ最前線に準備もせずに突進していくのは滑稽でもあります。

例えば、日経HRの渡辺茂晃さんがヒントをくださったように、SDGsに取り組む企業のガイド本を買って、そこを徹底的にインターネットで調べてはいかがでしょう。そして、そこで学んだことや大学生ならではの提言をSNSなどで発表してから、インターンに申し込んではいかがでしょう。もしも経営者や幹部がFacebookをやっていたら、メッセンジャーで直接アピールしてもいいかもしれません。たとえ、インターンを受け付けていなくても、面白い生徒だと思ってくれれば道は開かれるでしょう。

同様に、日経「未来面」に毎回、提言の投稿をして、1回でも採用されれば、それを武器に、当該社はもちろん、就活にも役立つでしょう。ここでも、経営者がSNSを活用しているような企業であれば、メッセンジャーで直接アピールできます。

つまり、既存の就活制度にとらわれなくとも、今や希少資源である自ら考え自ら行動する「意識高い系」大学生に出会いたい経営者は山ほどいて、そんな経営者ほどSNSを活用しているので、堂々と一番偉い人にコンタクトすれば良いのです。


問 一日の中で楽しみにしている時間はいつですか?
答 朝から晩まで楽しい習慣だらけなので決められません。


朝起きたら、ストレッチと体操をするのが好き。朝ドラを見ながら足つぼ刺激の板を踏みつつ、青汁ミルクとパンを食べるのが好き。骨伝導スピーカーで、好きなラジオのインタビュー番組ポッドキャスティングor1万曲入りiPodシャッフル再生を聴きながら、自転車で1時間の通勤をするのが好き。その途中で見つけた美しい景色を写真で撮ってインスタするのが好き。毎日初対面の人、あるいは尊敬する人と面談して、新しい発見をしつつ、お役立ちの提言をするのが好き。会社ビルの上で暮らす母のために、近隣のスーパーで美味しいお弁当やサラダを買って、徹子の部屋を見ながら一緒に食べるのが好き。尊敬する人たちが集まる企業orNPOの会議で、学びつつ皆が驚く意見を言うのが好き。全国各地の経営者や学生向けの講演会や研修で、目が輝く人と会うのが好き。訪ねた先で、町あるきをして、地元の人しかいかないようなB級グルメの店や、銭湯に行くのが好き。ぐるっとパスやJAFカードを使って、お得に美術館・博物館めぐりをするのが好き。道の駅で買ったご当地の食材を使った夕食をいただくのが好き。ホームシアターやタブレットで、世界の名画やアニメを見るのが好き。おふろにゆったり入りながら本を読むのが好き。タモリ倶楽部など、深夜テレビを見ながら、寝る前のストレッチや体幹トレーニングをするのが好き


問 様々な教えや情報をすべて正しいと思い込むことはリスクではないかと思いますがいかがでしょうか?
答 おっしゃる通りです。両面の意見を聴き、善悪を超えて、無記の状態で判断できるようになりたい


今は、図書館もインターネットもあるので、うまく活用すれば、様々な情報を峻別したり、いいとこどりをできるようになりました。

しかし、ご懸念のように、多くの人が自分の好きな都合の良い情報だけを入手する上、さらにAIで好きな情報リコメンドをされることで、ネトウヨ、ネトサヨ的な原理主義者になりがちです。

そうならないためには、両面の情報を手に入れる吟味することです。ディベートの手法で、自分と反対の意見を述べる側に立って討論するというのがありますが、それと同じことです。

例えば、あなたが右なら左の意見を、左なら右の意見を。キリスト教徒ならイスラム教を、あるいは仏教を学べば良いのです。私も、主張の異なる人が良く出演するようなインタビューに触れることで、偏りそうな自分を調整するようにしています。

それから、時間軸を長くとって、歴史を学ぶのも良いでしょう。現在の過ちの多くが、過去にも起きているのでヒントになります。良いと言われたものが悪いことをして、悪いと思われたことが良いことをしたなどという、善悪を超えた進化の過程を学べば、目先の善悪にとらわれなくなるでしょう。

一言で言えば、善悪を超えた「無記」の状態をつかめるようになる、二分法を超えると、精神的に自由になれるのですが、これは一問一答では答えづらいので、森 政弘先生の「無分別のすすめ」「退歩を学べ」などを読んでみてください。



この記事へのコメント
問 現在の大学生のインターンや就活・就活制度についてどのように感じていますか?
答 うらやましいと思います。しかし企業調査不足で経営者とSNSでつながらないのは不思議です。

私の大学生時代よりは、インターンもインターネットもありはるかに恵まれています。

ところが、多くの学生はそれを実感していないでしょうし、相変わらず企業調査も甘い上、就職戦線もみんなと同じ最前線に準備もせずに突進していくのは滑稽でもあります。

例えば、日経HRの渡辺茂晃さんがヒントをくださったように、SDGsに取り組む企業のガイド本を買って、そこを徹底的にインターネットで調べてはいかがでしょう。そして、そこで学んだことや大学生ならではの提言をSNSなどで発表してから、インターンに申し込んではいかがでしょう。もしも経営者や幹部がFacebookをやっていたら、メッセンジャーで直接アピールしてもいいかもしれません。たとえ、インターンを受け付けていなくても、面白い生徒だと思ってくれれば道は開かれるでしょう。

同様に、日経「未来面」に毎回、提言の投稿をして、1回でも採用されれば、それを武器に、当該社はもちろん、就活にも役立つでしょう。ここでも、経営者がSNSを活用しているような企業であれば、メッセンジャーで直接アピールできます。

つまり、既存の就活制度にとらわれなくとも、今や希少資源である自ら考え自ら行動する「意識高い系」大学生に出会いたい経営者は山ほどいて、そんな経営者ほどSNSを活用しているので、堂々と一番偉い人にコンタクトすれば良いのです。

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この考え方は正に「目から鱗」、自分がどれだけ狭い視野で就活というものを見ていたのか思い知らされました。
また、この文から「固定概念に自分がハマってしまっている自分を客観的に認知して意識的に脱するべき」という教訓を得ました。
固定概念は自分で固定概念と認知できないから恐ろしいものです。
きっと色々な人に話を聞いたり、様々な意見の記事や本を読むことが自分をメタ認知する鍵になるのでしょう。
自分もたくさんの人に話を聞いて自分を客観的に見つめ直し、得たinputはしっかり発信していきたいと思います。
また、久米さんが紹介してくださった新しい就活というものも実践していけたらと思います。

大変学びになるQ&Aありがとうございました!

p.s
久米さんジョジョお好きだったんですね!
自分も大好きで生きる糧にしています。
特に好きな言葉が下の2つです。

「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている」「向かおうとする意志さえあれば、たとえ今回は犯人が逃げたとしても、いつかはたどり着くだろう?」「向かっているわけだからな…違うかい?」 
「オレは「正しい」と思ったからやったんだ。後悔は無い…こんな世界とはいえオレは自分の「信じられる道」を歩いていたい!」

ジョジョ好きの仲間に会えて嬉しい限りです!
Posted by 佐藤昭啓 at 2019年07月24日 15:46
夜分遅くにコメント失礼いたします。
講義受講者の川西です。
 
先日講義をしていただいた日経HRの渡辺さんより、日経新聞未来面の紙面にアイデアが掲載されたとの連絡を頂きました。
なかなか無い経験になるでしょうし嬉しかったので、1日遅れましたが、こちらのコメントにも取り急ぎご報告させていただきます。
 
Facebookにも投稿していますので、
もしよろしければご覧ください!
https://bit.ly/32L2kAq
 
 
コメント返しも読ませていただきました。
「就活」に関する答えは、よく考えると当たり前のことだなと感じました。
 
自分は最も使うのがFacebook (同世代では少数派かもしれませんが...) なので、イベント等で会った面白い社会人の方とは繋がって後日「人生相談」させてもらうことを、図らずも実践していました (笑)
 
今後もこういったことを継続し、前向きにワクワク生きている人たちに刺激を受けながら、自分らしいキャリアを歩んでいきたいと思っています!
Posted by 川西 尚仁 at 2019年07月23日 23:44
旅行には長期休みの時に毎回行きますが、遊ぶことだけを考えていて、目的を持って旅行に行ったことはあまりありませんでした。
確かに、目的を持って行くと他の側面からも旅を楽しめるので、今後は目的を持って計画を立てて旅をしたいと思いました。
今、ひとり旅をしたいと思っているので、今回教えていただいたことを参考にさせていただきたいと思います。
Posted by 深尾 駿一 at 2019年07月22日 18:16
質問とそれに対する回答がすべて面白く、見ていて飽きないことに加え、お忙しい中でこれだけ多くの質問にひとつひとつ丁寧にお答えになられている久米先生のタイムマネジメント力に驚かされる質問返しのコーナーでした。
Posted by 河村健太郎 at 2019年07月22日 14:26
お腹がくちくなったら、眠り薬にどうぞ。
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。
Posted by omachi at 2019年07月19日 17:31
質問返し、ありがとうございました。

どれも自分が一度は思ったことのある疑問への返答だったので、とても興味をもって読みました。

特に、一日の中でたのしみな時間という質問で、
朝から晩まで楽しい習慣を、目に浮かぶ鮮明なイメージができるほど言葉で表現されているのが印象に残りました。

私は恵まれた環境にいるにもかかわらず、好きなことは何?と聞かれると、考えてパッと出ない自分がいます。
先生のように、一つ一つの瞬間を大事にして、一日を豊かな心で生きていくことが幸せで、かつ素敵な発見ができる人生になるのだと思いました。

また、今キラキラと生きてらっしゃる久米先生も、学生時代はつらい仕事をたくさんしたからこそ今がとても楽しく、幸せな瞬間に感じ、大切にできるのかもしれないと思いました。

私が来年春から入る会社では、あえて自分の得意でないと思っていた営業の仕事をします。
ですが、その中で将来起業する際に活かせるものがあると信じて、たくさんのものを盗んで自分の血肉にしようと思っています。

(ちなみに、去年就活前からこの授業を受けたかったと心から思いました。(笑))

学生生活も残りわずかですが、今自由な時間がたくさんあるからこそ、一人旅に出この授業で学んだことを活かしながらてたくさんの気づきをしていきたいと思います。
Posted by 冨塚由希乃 at 2019年07月17日 19:48
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