日本の政治情勢の劇的な転換だ <菅首相辞任表明に反応した海外勢> [2021年09月09日(Thu)]
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菅首相の辞任表明が、外国から見ると日本の政治情勢の劇的な転換だと見れるようだ。
確かに、空気は変わってきたといえる。女性の総裁選立候補は花をそえた。 データ イギリス・ロイター」2021・9・9 したがって、資産運用者は常に有利な投資先を求めて世界中に目を配っているが、そこに飛び込んできたのが、日本の政治情勢の劇的な転換だ。 日本人である我々でも「菅義偉首相が自民党総裁選に出馬せず」のニュースには驚いた。 しかし、この報道に一番驚がくしたのは、日本株をアンダーウェイトに放置していた海外投資家と思われる。 昨秋来を振り返ると、外国人投資家は高い支持率で誕生した菅政権を好感し、日本株(現物株式)を昨年10月から今年4月まで4兆0512億円の大幅買い越しだった(東証データ)。 ところが、日本の景況感悪化や後手に回ったコロナ防疫対策もあって、菅政権の支持率は今年5月以降に急落する展開となった。 求心力を喪失した内閣の下で、目前に迫った衆院選を戦わなければならない状況だったと言える。こうした政治リスクの台頭とともに、外国人投資家は5月から8月までに8756億円の日本株大幅売り越しに転じた。 ファンダメンタルズ面を見ても、国際通貨基金(IMF)の日本の成長率予想は、今年が2.8%と緩慢な回復である。 また、マークイットのPMI(8月・総合)も45.5と欧米に劣後している上に、「デルタ株」の感染拡大で内需サービス業の回復が、いつになるかも判然としない。 したがって、海外投資家は日本株をアンダーウェイトし、夏までの日本株の年初来パフォーマンスは低迷の一語に尽きた。 自民党の川島正二郎・元副総裁は「政界の一寸先は闇」との名言を残したが、今回の政治的大変動は日本株に劇的な転換をもたらした。 日本株の最大の重石であった政治情勢が、急速に好転する期待を投資家は抱いたようだ。 これから自民党総裁選、衆院選と政治イベントが続くが、メディアで報道されているどの候補が総裁になっても、支持率は上昇する可能性が濃厚である。 そして、求心力の高い内閣が、新たな景気浮揚策のパッケージや、統合的なコロナ防疫体制の構築等の政策を吟味すれば、緩慢な回復にとどまる日本経済に好影響を及ぼすと思われる。 9月3日後場からの日本株急騰は、投資家の日本株評価が一変したことを示唆しているようだ。 |



