新渡戸稲造の言説を下記に、引用する。
「象徴」という言葉は 新渡戸が日本文化を知らない西洋人にわかるように使用した、に過ぎない。
「してみるとコクタイは、最も単純な言葉に戻してみると、 この国を従え、我国の歴史の始めからそれを統合してきた ”家系”の長による、最高の社会的権威と政治権力の保持を意味する。
この家系は国民全体を包括すると考えられる ー というのは、 初代の統治者はそお親類縁者を伴って来たし、現在人口の大部分を 形成しているのは、それらの人々の子孫だからである。
狭義においては、その”家系”は統治者のより直系の親族を含む。 こうして天皇は国民の代表であり、国民統合の象徴である。
こうして人々を統治と服従において統一している絆の真の性質は、 第一には、神話的血縁関係であり、第二には道徳的紐帯であり、 第三には法的義務である。」
(『日本ーその問題と発展の諸局面』183-184頁, 新渡戸稲造全集第18巻、2001年、教文館)
憲法改正の論議が行われようとしているが、憲法上で表れている象徴の意味をよく考えねばならない。
まさか新渡戸稲造の思考を取り入れたというわけでもあるまいと思うが。