
韓国にもイスラエルにも──トランプは交渉の達人ではなく「操られる達人」
2018年5月22日(火)17時00分
ダニエル・レビ(米政策研究所アメリカ・中東プロジェクト会長)
アジア大陸の両端で、両極端の「トランプ的外交」が展開している。正反対の現状を浮き彫りにしてくれたのは、ドナルド・トランプ米大統領自身だ。
トランプは5月8日、記者会見でイラン核合意からの離脱を表明。同時に、マイク・ポンペオ米国務長官が米朝首脳会談の準備のために北朝鮮に向かっている最中だと明らかにした。
外交の余地が生まれたのは、トランプが繰り広げてきた脅しのおかげだと主張することはもちろん可能だ。
しかしトランプ政権の外交を決定付ける特徴とは、大統領本人の気まぐれな性質ではないかもしれない。
予測不可能性は国政の有効なツールになり得るが、活用するには慎重に練られた戦略が不可欠だ。
ところが今の米政権では、上級高官も大統領の次の行動を推測するしかない場合が多い。
知らされていないからではなく、大統領自身が分かっていないからだ。
つまり中東と朝鮮半島でのディール(取引)の行方を左右しているのはトランプではなく、それぞれの地域の指導者の性格と優先課題にほかならない。
データ
アメリカ ニュースウイーク 2018.5.22
