
健康寿命を延ばし、いつまでも自分の足で歩き、寝たきりを防ぐためにも、「筋肉」の重要性がますます高まっている。
ただ、やみくもに筋トレしても効果は上がらない。“筋肉博士”こと東京大学大学院教授の石井直方さんに、知っておきたい筋肉の基本的な仕組みについて解説していただこう。
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転倒につながる「運動器の機能低下」はもちろん、「脳卒中」「認知症」という要介護になる原因を予防するために、筋トレによる筋肉量の維持、筋力の強化が重要になってくるということだ。
ただし、やみくもに筋トレをしても効果は上がらない。筋肉を鍛えることでどのような変化が起きるのかという基本的な仕組みから、今回も引き続き石井さんに解説してもらおう。
筋肉の種類は「心筋」「骨格筋」「平滑筋」の3つ
人体には約650以上もの筋肉があるといわれている。だが、スポーツやトレーニングをするとき以外、普段の生活の中でその存在を意識することはあまりない。
「筋肉は、体を動かすための運動器であり、車で言えばエンジンです。筋肉がなければ、しゃべることもできませんし、物を食べることも、極端に言えば、呼吸もできません。
体の中にある臓器のうち消化管や血管の壁は『平滑筋』という筋肉でできています。
じっとしていても、心臓の『心筋』は拍動を続けて血液を送り出していますし、腸はぜん動運動を行っています」(石井さん)
<データ>
2018/1/26 松尾直俊=フィットネスライター日本経済新聞