

わたらせ渓谷鉄道は、以前から乗ってみようと思っていた鉄道ではある。単線の鉄道の旅というのは時間ができてからできる楽しみであろうと思う。鈍行の単線でのんびりと旅する。
この鉄道は、桐生市と間藤(まとう)駅までを結ぶ17駅、営業距離数44.1kmである。
ここの目玉はトロッコ電車である。事前の予約券が必要で、そのほかに乗車賃が往復かかる。
合計約3000円である。小生はトロッコわっし1号の9時30分発に乗った。

もともとは、足尾銅山で産出された銅の輸送を目的として鉄道で、1914年(大正3年)足尾鉄道として開業した。以前はc12型蒸気機関車も走っていたようである。
当時は、トンネルや橋桁の技術があまりなく、山すそを這うようにしてつくったために,景観がよい鉄道となった。
今は長いトンネルもある。1918年国有化され足尾線となり、1987年JR東日本となった。
当然単線である。トロッコなので窓にガラスなどなく、真夏の暑い中ではあったが、風がさわやかで渡良瀬川の川路からの冷気が気持ち良い。トンネルの中を走る時は寒いくらいであった。
終点の間藤駅は今は何もないが、昔はその奥に精錬所(地元の人は溶鉱炉と言っていた)があり、そこまで貨物線が走っていたそうである。(足尾本山駅)線路が生い茂った草木の下に見えていた。
風景は良いが、足尾鉱毒事件で公害事業のはしりともいえる事件が起こっているので複雑な心境にはなる。

江戸時代より銅の産出があり、一時閉山になっていたものを明治時代に古河鉱業(現在古河機械金属)が開山した。大きな鉱脈を発見し、一時は全国の産銅の4分の1は足尾鉱山から産出されていた。
1890年にその公害により農民が苦しみ、農民運動の中心にいた田中正造が明治天皇に直訴して(失敗したが)全国に有名なった。米からカドミウムが検出されていた。
1972年(昭和49年)調停が成立し補償が行われた。1980年代まで稼働したが現在は閉山となっている。鉄道は観光鉄道として稼働している。

