
読書のすすめ 日米同盟VS中国・北朝鮮 アーミテージ・ナイ緊急提吟言 リチャード・L・アーミテージ ジョセフ・S・ナイjr 春原 剛(日経)
2010年(平成22年)12月20日 第一版
この本は2010年の出版であるので、5年ほど前の自民党から民主党に政権交代したときに 書かれたものである。
“緊急提言”ということは、この題名だけでも、この政権交代でアメリカ側がいかに 狼狽したかということを表している。
日本人が自公政権以外の政権を選択したことは アメリカにとっては思いもよらぬことであったのであろう。
この本の中で、小沢一郎を反米主義者と決めつけ、鳩山由紀夫の“東アジア共同体” 構想はアーミテージは“非常に驚かされた”と言い、鳩山を“ドリーマー”として 切り捨てている。
小沢一郎が、後で無罪となるような微罪で政界から葬り去られたことは、アメリカが 最も望むことであったろうということは想像できる。

追記
2016念末にアメリカの大統領選の後に,トランプ氏は、反トランプを明確にしていたアメリカの日本担当高官を排除した。あるいは,意見を用いなくなった。
安倍政権はそれらの、いままで日本を利権としていた反トランプのアメリカの高官を排除した。
これは、その意味で画期的な出来事と言えるのではないか。
したがって、本書は昨年2016年までのアメリカの対日政策の方向性を暗示しており、昨年までの安倍政権はその政策に沿ってきていたということができる。
しかし現在は違っていることを認識する必要がある。
端的にいうと、アメリカの反トランプ派は、反ロシアであり、日本をアメリカの属国とみているアメリカ人からは、安倍政権がロシアとパイプを創っていくことがおそらく我慢がならないことであろうと思う。
アメリカの中央情報局(CIA)は反ロシアであるから、トランプのロシア対策を巡って対立は必然という図式になるのであろう。トランプは中央情報局の縮小を考えているとの報道もある。
日本もその争いに無関係というわけにはいかないということであろうと思う。反トランプ派からすれば安倍政権のロシア政策はいかがなものかということになるのではないだろうか。
今の政治の動きを冷静に読み取ることが、世の中の動きを透けてみさせるのではなかろうか。
