
読書のすすめ 統治新論 大竹弘二 国分功一郎
民主主義のマネージメント。2015年1月31日 初版
国家と如何につきあうか。主権、憲法、
この本は、特に、法学部の卒業生・在校生並びに"法律と政治" に携わっている方は 是非一読してもらいたい本である。
昔の近代政治学への取り組みは、 マキヤヴェイリからであったが、中世には政治が神学―ローマ教会に 従属していたのを、政治がそうした宗教道徳から切り離して リアリスチックにとらえたものだとして学んできた。
もっとも16世紀の時代からマキヤヴェイリズムは無道徳な権力理論で 権謀術数として非難の対象となってきたが。
だが、近代政治学の原点 になるものであることは確かであろう。
”君主論”は物語の小説として読んでもおもしろい。
この対談はシュミット、スピノザ、シエイエス、フーコー等が出てきて その思考と思想が盛られていて参考になる。思考の多角化という考え方 のヒントとなる。それを狙って書かれているのだろう。
この書ではドイツのナチス政権というものの分析を通じて民主主義を 問い直そうという視点がある。
ナチス政権というものは行政が何でもできる状態 、いわば行政の夢のようなものを実現した政権であるという。
法律を超えてその都度の予測できない処置・命令を拡大して行くという点 にナチス体制の特徴があるという。ナチスはそれを“全権委任法” によって実現した.。
行政というものは、議会や民主的な手続きをできるだけ遠ざけて、 効率よく物事を処理しようとするという方向にどうしても行ってしまう。 この方向を極端に推し進めるとナチス体制になろだろう、という。
ナチス政権については、もっとよく研究し、学び直さねばならないだろう。 立憲主義と民主主義を考えて行く上で、分析が必要な体制であろうと思う。
