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読書のすすめ 世界 第57号  丸山真男 ある自由主義者への手紙  1950年(昭和25年)9月 [2017年03月05日(Sun)]
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日本の民主主義について
日本に民主主義という言葉の意味とその精神が、 ほんとに日本人のものになっているのかどうか検証する年が 敗戦後70年経った現在ではないかと思う。

民主主義というものが、我々の生活―会社、地域社会、 家族などのなかに基本的生活様式として定着している のであろうか。或いは、日本の政治行動の中で生きているのであろうか。 よく考えねばならない年である。

丸山真男“ある自由主義者への手紙”
丸山真男がいみじくも昭和25年9月に雑誌世界に “ある自由主義者への手紙”の中で述べていることは示唆に富む。 以下引用

“まず、最初に僕(丸山真男)が強調したいことは、おおよそ、 我々の社会とか政治とかの問題を論ずる場合に抽象的なイデオロギーや 図式から天下り的に現実を考察していくことの危険だ。

現在問題になっているようなイデオロギー、―例えば自由主義とか 共産主義とか社会民主主義とかいうようなーは思想としては いずれも舶来であり、日本人が自ら生活体験のなかから 生み出していったものではない。

民主主義がアメリカ人にとって所謂way of Life となっている のと違って日本人の日常生活様式とこういういろいろの イデオロギーとは実は未だほとんど無媒介に併存しているにとどまる。 “と述べている。

そして、そこからの脱却について、処方箋を下記のように述べているが、 それこそ日本人の根源的な問題であるが、敗戦後70年にして丸山真男の 期待のようにはいかず、混迷を深めているだけであろうというのが 小生の実感である。

以下引用
“わがブルジョアジーの光輝ある伝統はなお脈々として彼らの 後継者の胸奥に宿っている。大衆の自発的能動性の解放が執拗に 阻まれて、その結果として生じたレベルの低さとか自暴自棄性とかが、 また解放尚早の根拠ずけにされるという恐るべき悪循環は 今日依然として断ち切られていない。

この悪循環に止めを刺すのは、いかなる形にせよ外からの あるいは上からの恩恵的解放ではなく、言葉の真実の意味での 内からのトータルな革命以外にはおそらくないだろう。

以上、僕は(丸山真男)は日本の諸社会関係の民主化を引きとめ 伝統的な配線構造を固定している力がどんなに強靭なものかを、 主として具体的な人間関係と行動様式を中心にして述べた。引用終

白井聡 ”日本戦後史論”
そして、白井聡は日本戦後史論 2015年2月28日発行で 次のように断じている。白井聡は2013年に永続敗戦論を表している。 まだ読んでおられない方は、是非、一読されることをお勧めしたい。 以下引用

”アメリカからすると元ファシストも左翼も、どちらもろくでもない んですが、彼らは元フアッシストの方がましだろうと考えた。 その結果、戦前の保守勢力が引きつずき権力の座にとどまることに なりました。

戦後の日本は民主的な国家になったと言われますけれど、 それは虚構です。
日本を敗戦に導いた連中がそのまま留まり、その後継者たちが ずっと権力の座にとどまって現在までつずいています。 だからこんな国に本物の民主主義などあったわけがない。
中略

こうした批判が永遠に新しいままでありつずけることこそ、 この日本の戦後という時代の本質に他ならないのです。

対国内的には敗戦をごまかし、アメリカに対しては無条件降伏 しました、お手上げです。日本の保守政治勢力はアメリカの許し のもとで権力の座にとどまったわけですから、彼らがアメリカに 対して頭が上がるわけがありません。

これが対米従属と呼ばれる構造を形成した根本原因です。 こうやって日本はアメリカに永遠に負けつずける。”引用終

日本の民主主義をいうものを、根本から問い直し、 自分なりに考えていかなければと思う。
小生は、”民主主義”といわれても何か実感がわかないのと、 昨今の政治状況を見ていると、憲法を解釈だけで180度違う 判断等にしてしまうことなどの政治の動向になっており、 日本人としてどうすべきか真剣に考える”時”を感じる。

丸山真男の”ある自由主義者への手紙”は昭和25年という時代に 書かれているので、その時代のイデオロギーの問題に触れつつ 丸山真男のスタンスを明確に表しているので、一読をお勧めしたい。

丸山真男が本書のなかで、(日本は、)”本当の下からの革命は未だかって 経験したことがない。”とも述べている。その経験がなくて 眞の民主主義があると言えるのかということを言外に示唆し そして、”内なるトータルな革命以外にはおそらくないだろう。” としている。だがそれこそ残念だが日本にとって遠い道のりであろうと思う。

しかし、大衆が、自分で考え、判断し、自分の責任で行動するようになり”内なる” 、精神のレベルから自分を変革していけば、突き崩すことが出来るかもしれない。

<データ>
日本戦後史論 白井聡・内田樹 2015年2月28日
世界 第57号  丸山真男 ある自由主義者への手紙 
1950年(昭和25年)9月
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Posted by ゆう東洋医学研究所 at 15:38 | 読書のすすめ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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