焦点:欧州EV革命、大量解雇の恐れ 抗議活動も
By Reuters Staff
[2021年09月09日(Thu)]
新型コロナでサービス業、飲食業、旅行会社、宿泊施設等の従業員が、職を失うなどの雇用の不安を抱えているが、EVの進展により自動車産業などの労働者も失業の嵐がやってくる。
先日、トヨタが電池の生産に1兆円以上の投資を行うとしているが、EVが加速すれば従来の従業員はいらなくなってくる。生産部門も再編を余儀なくされる。 併せて、在宅勤務のすそ野が広がり、働き方が変わってくるが、ホワイトカラーでもリストラのあらしがやってくる。会社でのポストの不安がやってくる。 またインフラのレベルでもガソリンスタンドが不要となってくれば、そこで働くss社員も働く場所を失っていく。 これからの10年間は、コロナが収まっても予断を許さない社会が到来する。安定するのは公務員と教員、消防隊員、警察官、そして自衛隊員であろう。 データ イギリス・ロイター通信 2021・9・10 [ブリュッセル 6日 トムソン・ロイター財団] - アンドレア・クネーベルさん(55)はこの20年間、ドイツ・ビュール市にある自動車部品大手ボッシュの組立工場で働き続けてきた。 しかし欧州が化石燃料車から電気自動車(EV)への転換を加速する中、同社は2025年までに人員を700人削減する計画だ。クネーベルさんはその1人になるかもしれない。 EVセクターの労働者は従来の自動車に比べてはるかに高い職能を要求される上、必要な人員は少なくなる見通しだ。 欧州自動車製造工業会(EAMA)によると、自動車産業はEUの労働人口の約7%に相当する1460万人の雇用を直接、間接に生み出しているが、大量の解雇が行われる恐れがある。 欧州連合(EU)は、域内の温室効果ガス排出量の約15%を生み出すガソリン・ディーゼル車について、2035年以降の実質的な販売禁止を提案している。 EVセクターの労働者は従来の自動車に比べてはるかに高い職能を要求される上、必要な人員は少なくなる見通しだ。 欧州自動車製造工業会(EAMA)によると、自動車産業はEUの労働人口の約7%に相当する1460万人の雇用を直接、間接に生み出しているが、大量の解雇が行われる恐れがある。 労働組合員のクネーベルさんは、労働者を代表して経営陣と交渉を進めてきた。しかしホワイトカラー職に就く彼女自身のポストさえ安泰ではないかもしれない。 クネーベルさんによると、ビュールとビューラータールにあるボッシュの工場では今のところ、EV製造のスキルを身につけるための再訓練の機会はほとんど提供されていない。 労組は2工場の従業員3700人のうち、最大で半分が最終的に職を失う可能性があるとみている。ドイツ全体では数千人のレイオフが実施される見通し。もっともボッシュの広報担当者は「できる限り社会的に受け入れ可能な」方法で行うだろうと述べた。 広報担当者は、ディーゼル車用のパワートレイン・システムの製造にはEV用の10倍の労働者が必要だ、とも説明した。 代替となる雇用や訓練の機会が提供されない限り、これだけの規模の人員余剰は、低炭素経済への移行に伴う社会的コストについて厳しい疑問を提起することになる。 エコノミストの間では、環境に良い製品や事業モデルへの移行は雇用と成長にプラスの影響をもたらす、との見方が強まっている。 しかし比較的高齢かつ職能が低く、再配置が不可能で再訓練の機会も与えられない労働者には特別な支援が必要になると、労働者の権利向上を求める活動家らは訴えている。 クネーベルさんはコンサルタントの仕事を探そうかと考えているが、「私の年齢では」成功するかどうか分からないと話した。 欧州の労組はEVへの急速な移行を強く支持してきた。最近の調査では、クリーンエネルギー産業が生み出す雇用を勘案すると、2030年までに失われる雇用は正味3万5000人分にとどまると試算されている。 加えて、EV充電インフラの製造、設置、運営で10万人以上の新規雇用が生まれそうだという。 しかし労組内からは、こうした予想は楽観的だとの声も上がる。 |