リンパ浮腫マッサージは
リンパ浮腫は
リンパ浮腫は、いったん発症すると難治性で一生付き合う必要がある疾患である。 また、患者の90%以上は女性であり、その女性の外見にかかわる疾患であるため、 患者の精神的、肉体的苦痛は計り知れないものがある。
リンパ浮腫の定義は、フェルデイ(foeldi)らによる定義を引用すると、 "リンパの輸送障害に組織間質内の細胞性蛋白処理能力不全が加わって 高蛋白性間質液が貯留した結果起きる臓器や組織の膨張"としている。
すなわち、手術や放射線治療によりリンパ系の輸送障害が発生した場合 (日本の場合90%位)や、先天的なリンパ管の発育不良が原因となり、 (日本の場合10%位)、運び去られるべき組織間質内の血漿由来の蛋白成分が 患肢に貯留する。
その蛋白成分や細菌などを白血球(リンパ球、マクロフアージなど) が処理してリンパ系機能を代償する能力も低下するために発症する蛋白が多い浮腫 ということになる。高蛋白性の浮腫ということが他の原因で発症する 浮腫と異なったリンパ浮腫の最大の特徴である。
リンパ浮腫の発生
日本の場合先天的な原発性リンパ浮腫は10%から20%位であるので、 手術後に発症するリンパ浮腫について、乳癌手術後約10%の発症率とされ、 子宮癌手術後約25%の発症率と推定している。これから概算すれば、 年間1万人前後のリンパ浮腫患者が新たにみられることになる。
続発性リンパ浮腫の原因疾患
子宮癌手術後が圧倒的に多く下肢リンパ浮腫症例の60%、 続発性下肢リンパ浮腫の84%を占めている。子宮癌のうちでは、 手術治療に放射線治療を併用することが多い子宮頚癌が体癌よりも 高率であった。
その他にも、腹部、骨盤内操作を伴う手術や, 鼠径リンパ節への放射線治療、骨盤骨折なども原因であった。 上肢リンパ浮腫は、乳癌手術後がほとんどであるが、 その他、外傷で浮腫をきたした症例が見られた。
浮腫治療法としてのマッサージ・微小振動刺激効果
最近のわれわれの実験結果によると、皮膚におけるリンパ産生能が、 皮膚局所に特に"ツボ"と呼ばれる部分のマッサージや60--80hzの 機械的バイブレーション刺激によって著明に亢進することが判明した。
リンパ産生能増加現象は、マッサージやバイブレーション刺激によって 組織間隙圧が増加し、細静脈領域の血行動態を変化させ、 高分子物質を含めた物質の透過生を亢進させたと考えられる。
詳しくは"リンパ浮腫診療の実際――現状と展望" 監修加藤逸夫先生を参照ください。