ロシアのシベリア軽油流出:北極圏最大の事故は始まりに過ぎない? [2020年06月16日(Tue)]
温暖化による影響か、ロシア・シベリア地域の永久凍土が氷解して発電用の軽油が流出したという。
発電用の軽油自体はかなりの温度を持っているから、タンクの下の永久凍土は氷解していた可能性は十分あるだろう。 これも地球温暖化が原因であると考えておくべきであろう。環境破壊には十分な対策が求められる。 データ ロシア・スプートニク2020年06月16日 01:25 5月29日、ロシアのクラスノヤルスク地方の北極圏に位置するノリリスク ・ニッケル社の火力発電所で軽油が流出した。 事故は、コンクリート基礎の上に建えられた軽油貯蔵施設の杭が突如、地中に沈下したことが発生の原因で、これによりタンク内部は減圧され、軽油が漏出して付近の河川に流れ出ることとなった。 同社は、今回の異常な暖冬によって永久凍土が融解したことが事故の原因とみている。生態学者らは、今回の事故を北極圏最大の環境災害と分析している。 軽油は石油の中で最も有毒 この事故で流出した軽油は、2万トン以上。 このうち1万5000トンが付近の水域に、残りは土壌に流出した。汚染の総面積は約18万平方メートル。 水面に生じた油膜の厚さは20センチ、水中の汚染物質の濃度は許容基準の数万倍に達した。軽油は、最も有害な石油製品ランキングの中で最上位を占める。 今回の流出が発生した場所は、永久凍土地帯に位置する北極圏のツンドラという、人がアクセスしにくいエリア。 現在、川に流出した軽油や汚染された土壌の回収作業が行われている。これらは後日、仮置き場から搬出され、処分される予定。 今回の事故は、1989年3月にアラスカ沖で発生したエクソンバルディーズ号原油流出事故、2010年4月にメキシコ湾の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」で発生した原油流出事件に匹敵する。 いずれのケースも原油流出に伴う事故であり、環境への悪影響という点では最大級の人災だとみられている。 「このような事故は突然起こりはしない」 永久凍土の溶解はすでに何年にもわたっており、それを裏付ける事例は多く存在する。 ロシア国立高等経済学院の環境研究所のボリス・モルグノフ所長は、スプートニクのインタビューに対し、今回の事故のメカニズムについて以下のように説明した。 「このような事故は決して突発的に起きるものではありません。第一に、この発電所の設備はすでに長い間使用されており、建設当時の技術が事故のリスクを最大限に低減できるようになっていないのが事実です。第二に、この数ヶ月間でこの地域で観測された異常な高温が、今回の事故の誘因となりました。」 「第三に、軽油タンク自体が永久凍土よりも温度が高いため、事故を回避する措置を講じなければ、タンク自体がその真下にある永久凍土の上層部分の融解を促す恐れがあります。 この危険な構造物を監視するためにセンサーを設置する必要がありました。今回のノリリスク近郊での事故が、北極圏で活動する全ての企業の教訓になることを願っています。 特に危険な構造物の真下にある永久凍土を少なくともモニタリングする必要があります。」 永久凍土はもう永久ではない? |