コラム:自由主義世界の敵に回ったトランプ大統領
だがそれでも、1987年の自著「Trump: The Art of the Deal」(邦題「トランプ自伝:不動産王にビジネスを学ぶ」)に倣えば、トランプ大統領が自由主義世界における交渉役を担い、あらゆる交渉で成果を得るための教訓を、国際問題に応用する可能性はあった。
トランプ大統領がそのような役割を担い、米国だけでなく、少なくとも西側諸国の利益に目配りをしていれば、それは私たちに恩恵をもたらしただろう。
だがトランプ氏は、自由主義世界の交渉役になりたいとも思っていないようだ。
ヘルシンキで16日に行われた米ロ首脳会談の後、勝ち誇るプーチン大統領の傍らに立ったトランプ大統領のパフォーマンスは、すべての民主主義者にとって恥知らずなものだった。
隣国ウクライナでは領土の一部を奪い、他の地域でも反乱を煽り、シリア内戦ではアサド独裁政権の勝利を助け、自国においては最も独立性の高い市民団体を閉鎖に追い込み、自身のでっち上げたハリボテ「民主主義」に対するあらゆる挑戦を無視しているプーチン大統領の前で、トランプ大統領は自らの面目を潰してしまったのである。
データ
ロイター 2018.7.26