
技の世界のお話
技(わざ)というものは量質転化の法則が活きてくる世界である。
技の量的蓄積が、一定量を超えるとその技に質的変化をもたらすという意味である。
何事もそうであろうが、まずは基本の技術を使いこなすというところから入る。
そして、その技術を正しく使い、マニアルを忠実使いこなすことがまず求められる。
マニアルに習熟すると、現場ではそのマニアルでは対応できない事態というものに遭遇することが必ず発生する。
そのイレギラーの事態を自分で考え独自の方法を考えだして、それを乗り越えていく、解決していく、ことで自らの独自の方法を編み出していくことができてくる。
そして、やがて自分の独自の独創の境地に達することができる。
これが、量から質への転化の法則の実現である。
鍼灸マッサージの施術の分野でもこの法則が、最も確実に出てくる世界であり、現場の技量の差というものがはっきりと出てくる。
江戸時代に天体望遠鏡を製作して太陽の黒点を観測した、天才で多くの発明をした科学者の國友一貫斉の言葉が次のように残っている。(江戸時代に太陽の黒点を日本人が観測していた。!)
“新規ノ細工五度十度仕損(しそこない)シハ常也、此仕損度々聊(いささか)タリ共近寄也” 國友一貫斉
天才であっても失敗を重ねて少しずつ成功に近ずいていくわけであるから、凡才は量をこなして、質を高めていくということは必然なのである。
量をこなすことによって質が上がっていく。質があがれば、量をこなせるようになっていく。
少し困難でも、目に見える結果が出るまで一定量をこなすことが必要である。
量質転化は沢山の失敗から学びがあるのである。
実行、失敗、検証、修正の繰り返しである。
そして量をこなすため、早くたくさん行動する。量とスピードがバロメーターである。
成功とは失敗を繰り返した先にある。
量質転化の法則とは、量的な変化が質的な変化をもたらし、質的な変化が量的な変化をもたらす。 三浦つとむ “弁証法とはどういう科学か”
天才が1つであれば、凡才は10を行おう。天才が1つの失敗をすれば、凡才は10の失敗も恐れず先に進もう。
そうすればなにも恐れることはない。
量質の転化が起こり、質の転化が量の転化を起こし、量をこなすスピードが上がってくる。
普通の人は努力を10倍して質的転化を呼び込もう。
