
データ
ブルームバーク2018・6.25
実質的に日量70万バレル程度の供給増加になる−ナイジェリア石油相
最終コミュニケは具体的な増産水準を明記せず
石油輸出国機構(OPEC)は22日ウィーンで開いた総会で、来月からの原油増産に合意した。
イランが増産に反対し拒否権発動をちらつかせていたが、ぎりぎりの妥協にこぎ着けた。
ロシアなど非加盟国も合意に加わる見込みで、原油高が一服しそうだ。
サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は総会後記者団に、「名目」で日量100万バレルの増産に合意したと述べた。
一部の産油国には増産の余力がないため、今年下期の市場に実質的に供給が増えるのは日量70万バレル程度になるだろうと、ナイジェリアのカチク石油資源担当国務相が述べた。
原油高を緩和するための増産を1カ月にわたり主張してきたサウジアラビアとロシアの思惑が通った形だ。
ただ、最終的な声明にはファリハ・エネルギー相が述べた増産の規模は明記されず、ベネズエラなどによる意図した以上の減産を巻き戻し、2016年に当初合意した生産水準に戻すことに焦点を当てるとしている。
OPECは総会での合意を批准するため、ロシアなど非加盟の産油国を加えたOPECプラスの会合を23日に開く。
原題:OPEC Agrees to Oil-Output Boost After Reaching Iran Compromise、OPEC+ Will Boost Oil Output After Saudis Secure a Deal With Iran(抜粋)
付記
アメリカのトランプ大統領は、内心では石油の生産が制限され、石油価格がさらに上昇することに期待していたのであろう。
何故なら、原油価格が上昇し石油製品価格が上げれば、アメリカ国内の石油採掘企業並びにシールガス採掘企業が潤うからである。
OPECが原油の生産制限をして価格を高めに誘導することは、アメリカフアーストを掲げるトランプ氏にとっては国内産業の復興になり、次の中間選挙を控え望ましい動きになるはずが、増産では、ここで一時ストップという局面になったというところあろう。