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【令和6年12月定例会】政務活動費増額議案への討論 [2025年01月11日(Sat)]
◆山中啓之の反対討論、全文を掲載します
令和6年12月定例会最終日(12月17日)、議員提出議案第23号「政務活動費の交付に関する条例の一部改正」が上程され、議会の総意も確認できていないのに質疑も委員会付託も省略された上でスピード採決され、可決しました。
昨年の議会報告会などでお話ししたところ反響が予想以上だたっため、当日の議論(討論)をした唯一の私・山中啓之の原稿を掲載します。
※表現等一部異なる場合は議会中継の記録を優先して下さい。()カッコ内は読んでいない時もあります。尚、完全に正確な議事録は3月定例会招集日をお待ちください。
以下、討論原稿です。

皆様こんにちは。山中啓之です。市民力(山中啓之、湯浅文)を代表して【議員提出議案第23号ーと本日番号を知りましたがー松戸市議会政務活動費の交付に関する条例の一部を改正する条例の制定について】反対の立場から討論を致します。

■(現状)
政務調査費を前身とする「政務活動費」は、議員の調査研究に役立てるため必要な経費の一部として、条例に基づき会派や議員に対して交付するものです。現在の交付金額は、議員1人当たり月額5万円(年間60万円)を交付しています。本議案は、現在の交付額を1人月額3万円増加して8万円(年間96万円)、議会全体として年間総額2640万円から4224万円へと1584万円、1.6倍もの増額を行おうとするものです。

 国では「政治とカネ」問題が連日議論されていますが、 市議会でも市民からお預かりした税金を扱う「政治とカネ」については極めて重要な問題であり、本来、市民を交えたオープンな議論が必要とされています。しかし、この度の各幹事長名で提出された議案の背景をみると、市民は傍聴できない幹事長会議での議論に端を発して、物価高騰などを理由に提案への運びとなりました。私が傍聴していた幹事長会議では、議案以外の議論の資料は「議員報酬額及び政務活動費額の類似都市との比較」という、殆ど中核市・政令市または千葉県を例に、全て政務費が本市以上の交付額の自治体が20件程度掲載されたA4×1枚のみでした。
また、本議案では、現状の本市議会で山積する使途の課題改善や、1日15300円を上限とする宿泊費の枠などについては盛り込まれていません。加えて現状では議員派遣費も1議員あたり年間20万円を上限として使用が可能な状態です。拙速に集約されたと考えます。
 上程までの政策立案プロセスにおける議会としての市民への透明性の確保や意見聴取が皆無であるという手続き的な問題に加え、現状の政務費を巡る課題が山積する中での増額は、到底市民の理解は得られないと考えます。昨今の物価高騰が厳しい折ですが、それは市民も同様かそれ以上に感じています。そんな中、平均年収以上に報酬を頂いている議員が今、自ら同額を求めるのは、‘お手盛り’との批判を免れません。
以下、詳しく反対理由を述べさせていただきます。

◆1点目。まず、本当に政務活動費は現状の交付額で足りていないのかという疑問です。直近の令和5年度の政務活動費の議員個人分について、議会HPを見ると、全議員中、交付決定額を超えている議員(つまり交付額では足りず自費で支出している議員)は私を含め僅か14人(全体の議員の約3割=31.8%)でした。大半の議員は残額計上があり、中には交付額の半額にあたる30万円以上残している議員も複数いらっしゃいます
会派交付分については1つの会派も超過しているところはありません。更に、超過総額と残額の総額を比較すると、会派分は残額が618,902円も上回っています。同様に個人分は2,440,063円も残額が上回っており、その合計残額は3,058,965円となっています。政務活動をどれだけ行うかは議員の裁量に委ねられていますのであえてその是非はここでは論じません。ただ、使用実績からは、大半の議員は現在の交付額で足りているのではないかという疑問が払えないことは、はっきりと分かると思います。

◆2点目。広報費―いわゆる活動報告レポート―についてです。松戸市議会HPには政務費について『支出にあたっては、条例で定める政務活動費を充てることができる経費の範囲に従って使用し、市政に関する調査研究に役立てるため必要な経費以外のものに充てることはできません。』と掲載があります。そして議会で政務活動費を充てることができる経費の範囲を研修費や事務費など、11項目に明確化しています。そのうちの1つが「広報費」です。広報費は『議員/会派の調査研究活動及び議会活動並びに姿勢について市民に報告するために要する経費』とされており、いわゆる市政報告として、一般質問の内容や議会報告会の告知等を書いたレポートを発行することができます。しかし、ここで全国的にしばしば問題になるのが、このレポートに議員本人の顔や全身の写真やプロフィールの掲載などがある場合です。その内容が議会の報告ではなく議員個人のPR活動と解されたり、事実上、次の選挙に有利になる活動のではないかといった批判などから、時に住民訴訟等に発展し、時には議員に対して政務費の返還命令が出るようなケースも少なくありません。
 さて、先ほど同様に、本市で全議員の個人交付分の政務活動費の使途を調べてみたところ、多くの議員が広報費を計上しています。中には100%全額を広報費(活動報告レポート)に使用している議員も少なくありませんでした。
やろうと思えばデザイン作成から、印刷、折り加工、(ポスティングや郵送、新聞折込み、封筒や切手・郵送料など)配布にかかる費用まで全て政務活動費を使用する事ができます。
 我が市議会では、住民監査請求や訴訟とまではいかずとも、度々この活動レポートやビラの写真等に纏わる問題点が会議で指摘されてきましたので、問題意識は共有していると思います。全国の判例等に則り、掲載スペースを厳格化すべきという声もありますが、現在の本市議会の規定やマニュアルにはまだそこまで盛り込まれていません。議員各人が自己の裁量で按分計上したりしているのが現状です。
 いずれにせよこの広報費については、毎年度、議会内でも多数指摘されていますが、その都度部分的に改善されることはあれども新たな課題が絶える事はなく、現在まで来ています。当然、住民から訴訟を起こされるリスクも常に抱えています。本市議会でも、かつて空(カラ)領収証問題などがあり、市民の目はますます厳しくなっていると感じます。1点目で申し上げた使用実績から鑑みると、今回、交付額を増額すれば、この市政報告というビラやレポートに使われる合計額が今以上に増える事が容易に推測されます。交付金額が増せば今以上にその使途が市民の目にも触れることになり、現状の体制では様々な事故やリスクを増す事に繋がりますので、賛成できません。

◆3点目。議会内部のチェック体制の貧弱さです。議員自身が受け取り、使うお金に纏わる問題は、議員が自分たちで条例というルールを定め、自分たちがその効果を受けることができるため、往々にしていわゆる‘お手盛り’と市民から厳しい目で批判されます。議会には自らを律する体制が求められています。では、我が議会はどうでしょうか。松戸市議会では過去に発生したトラブルなども踏まえてよりよい政務活動費の使途を目指す「経理責任者会議」があります。当該年度の4月から翌年3月の1年分の全会派と議員の領収証が添付された収支報告を事前に閲覧し、明らかに社会通念上問題と思われる点や全議員で話し合った方が良いと思われる点等をまとめ、その後、会議に臨みます。指摘事項は、例えば領収証が添付されていない宛名が前の会派名のままであるといった基本的な書類不備から、先ほど申し上げた広報費のような計上自体がいかがなものかといった指摘まで多種多様であります。会議では全議員の指摘事項が共有され、指摘した議員の主旨の説明と指摘を受けた議員の見解を述べるなどして、議会としてどこまで認めるべきかの合意点を探ります。
 当初は全ての指摘事項に対し、時間をかけて丁寧かつ活発な議論が行われていました。しかし、当初は1週間程度あった事前の収支報告の縦覧期間がだんだんと短縮され、今では3日間と非常に限られた時間となっています。今はタブレットにデータを入れれば済む話かもしれませんが、それもない状況で紙を1枚1枚手でめくる必要があり、限られた部数の収支報告書のコピーを互いに譲り合って必死に閲覧している状況です。全議員が収支報告を見てはいないでしょうが、少数会派や無所属の議員が、全会派と全議員分の収支報告に目を通すには3日では時間的に相当な困難があると共有して頂けると思います。きちんと縦覧しなければ、きちんとした指摘の整理や後の実りある会議は期待できませんから、事前準備はとても重要です。今ではこの期間は極力他の仕事を入れず、朝から夕方まで縦覧できる限りしています。大変ではありますが、市民の関心事に応えるのは議員の重要な責務だと思っています。たとえ議員有志で懇親ソフトボールなどが開催されても、そこに割ける時間はありません。
 さて、そこまで熱心に指摘事項を洗い出した上で整理し、提出して経理責任者会議に臨んでいるわけですが、この経理責任者会議のあり方が変わってしまいました
5〜6年前に突然、座長が指摘事項を書いた紙を参加者で共有するにとどめ、いつものように議論が行われず、指摘された議員は自分でよく考え、改善すべきと思えばすればよし、逆もまた然りと、つまりは自己責任に重きを置くやり方に変更されました従前までの丁寧な問題認識の共有と対話を通じた意見交換や合意形成を図るやり方が無くなったことに、これまでの課題解消へ向けた一定の働きが消えてしまった事と、解決されぬまま積み上げられてゆく指摘事項(=つまり課題)の数および内容の深刻さに、強い危機感を抱いているのは、私だけではないと思います。そもそも会議とは意見を出し合う事が基本です。紙で内容を個々に一瞥するだけならばメールで済みます。座長が特定のテーマをあらかじめ決めて会議が行われることはありますが、従来の意味でいう経理責任者会議は縦覧期間を含めてもはや形骸化していると言わざるを得ません。この形骸化への危機感は、特に強く議員に共有認識として頂きたいため、先般も経理責任者会議にて申し上げた通りです。この数年間、短縮化されてしまった経理責任者会議を、せめてまずは以前のLVまで戻し、可能な限り充実させ、広報費をはじめ累積した各課題に対して議会一丸となって改善を求める事こそが、松戸市議会の市民に対する信頼につながると信じています。課題への対処が各議員依存状態で、脆弱なチェック体制のまま、増額は市民の理解が得られるとは思えません。

個人的には、議員になってから18年程、残額を1円たりとも出た事がなく超過分を毎年自費で支出している私としては交付額の充実は必要と考えますが、議会HPに「本市議会では、政務活動費の使途基準について、経理責任者等会議において協議し、適正化に努めております」と書いてある市議会の経理責任者会議は、もはや準備のための閲覧日からして短縮の一途、指摘事項を出しても入念に議論されなくなり形骸化の一途ですので、かつて『事故』が起きた我が市議会に席を置く者の1人として、問題の予兆の増幅をこのまま指をくわえて見過ごすことはできません。逆に、事故予防の強化と改善サイクルの体制確立をまず図るべきと強く考えます。

◆4点目。他の制度や規定と整合性のとれた改善が不十分と考える事です。各幹事長からは、1議員あたり年間20万円の議員派遣費の話も出たようです。これにより、同じ会派や他の会派の議員と日帰りや宿泊を伴う視察を行う事が可能ですが、政務活動費を用いても同様の視察は可能です。議会から派遣されるという形をとるため、厳密には主旨が異なりますが、議員が現地に赴いて学ぶことや市民への活動の反映という点では基本的に大きく変わりません。議員派遣制度の総括は議会としてまだしていないようですが、(条例にはないが只今の提案者の説明によると)廃止の方向で考えるとの意見も出ているようです。ただ、現状では議員派遣は使える事になっており、こちらも1点目の主旨と同様、使用上限額と残額をどう考えるかを整理する必要があります
 また、政務活動費も議員派遣も、宿泊費は規定によりどちらも1泊15300円を上限として計上することができますが、それこそ昨今の物価高騰などにより、この金額を超過した際、その分は議員個人の持ち出しによる支出となります。もしも議員の視察活動を充実する目的ならば、交付金額の上限を上げるより先に、この金額枠の見直しを考えなければならないのではないでしょうか。議員は議会活動以外にも様々な活動があり、年にそう何度も何度も泊りがけで視察に行くのは現実的には非常に困難だと感じています。しかし、たとえ1回でも宿泊すれば、どの議員にもこの上限額15300円問題には直面するので、影響のでる事象を先に考えた方が賢明だと思います。

◆5点目。最後になりますが、増額案の立案から本日までの議論におけるプロセスでの市民参加の不在です。市民感覚を逸脱した公金の使途は市民から許しがたいとされることはこれまで述べてきた通りです。現実に政務活動費を使用させて頂きながら考えるに、個々の多くの問題は実際には1か0(ゼロ)かで解決するものではなく、グラデーションを纏った問題が多いと感じています。議員報酬や定数もそうですが、現状で高い/多いと感じる人もいれば、中には逆の人もいることでしょう。その時に、市民の声を聴く姿勢が我々議会には求められているのではないでしょうか。例えば、議会報告会を開催してその際に市民からご意見を頂いたり、アンケートによる聴取を行うなど、試行的にでも本気になればできる方法は沢山あると思います。行政へのチェックや要望、提案だけではなく、二元代表制の一翼を担う議会の構成員である我々が自ら、納税者の声を聴くのは私が先に述べた市民の信頼を得ることと共に、様々なリスクを低減する事にも繋がります。特に今回のような事案は、じっくりと市民の意見を聞いて決めようではありませんか。

 以上の理由から、本議案には反対を致します。

市民から「知らないうちにいつの間にか政務活動費が増額されていた」「このご時世に理解できない」「自分たちの意思が反映されていない」等と言われぬよう、しっかりした客観的根拠をもってルールを定め、議会自らのチェック体制の充実による事故の予防体制の強化を行った上で、『市民の為に有効に政務活動費を使って仕事してくれてありがとう!』と言われるような政務費のあり方を目指したいと強く願って、私の討論とさせて頂きます。
ありがとうございました。
                                    以上
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